船旅と少年少女と。

 夫人との話し合いと、ネオスが提供してくれた魔道具、どちらなのか両方なのか。


「アンジェ、大丈夫そう?」

『はい、意外と揺れないんですね、大丈夫です』


 良く話してくれる様になったし、笑ってくれる様にもなった。

 けれどコレはこのグループのトップが誰なのか、そして自分の立場について理解したから、だけ。


 そうよね、ファウストは素地が良いから体感で理解してただけで、別に私じゃなくても良いんだものね。

 ネオスも、私がデュオニソス様の巫女だと思っての事だろうし。


「気を付けて回るのよ」

『はい』


 距離を置かないとね。

 勘違いさせない事も、大人の役割なのだし。




《ファウストが拗ねてますよ、最近構ってくれない、と》

「勘違いさせない様にしていたつもりなんだけど、そも私が勘違いしてたのよね。私じゃなくて、グループのトップに媚びへつらってるだけ、生存本能に素直に従ってるだけなのに」

『それか凄く見る目が有るか、色々と見て来たけど、やっぱりローシュが1番だよ』


「そらババァの転移者だもの、常識だ知識だ、そこらの小娘には負けませんし」

『もー、アンジェ投げ捨てて良い?代わりはまた探すからさ』

《そうしましょうか、こう拗ねる要因なんですし、ローシュの様に唯一無二では無いんですし》


「じゃあ似たのが現れたら私も投げ捨てられるのね」

《全く同じだとしたら、それはローシュですから投げ捨てませんよ》

『取り合いにならなくて平和かもね?』


《それでも交代はしますよ、同一なら同じ様にしないと変化を生みますし》

『それもそれでいいかも知れないけど、ローシュはそこ拘りそうだよね』


「まぁ、そうかも知れないけど」

《好意か恩義かを見極めてあげるのも、大人の役目ですよローシュ》

『何でも恩義だって思われたら、それもそれで悲しいもんね』


《そうですよ、自分で自分を褒めたいですね、良く折れなかったなと》

「頑固ですみませんでした」

『嫌な目に遭ったんだから仕方無いよ、ローシュが悪いんじゃなくて、向こうの男達が悪かったの』


《ある意味では見る目が有ったんでしょうけど、結局は見る目が無かったワケですし》

『これからも大事にするからねローシュ』


 コレで誤魔化されないのも、ローシュの可愛らしい所なんですが。

 本当に拗れる様なら、本気でブリテンに置いていくつもりなんですけど、優しいローシュは悲しむんでしょうね、




「アーリス、ネオスに良い子は、誰か思い付かない?」


 ほら、やっぱりちゃんと言わないから、こうなるのに。


『それこそ姫様位じゃないと、難しいと思うよ?』


「あぁ、スペランツァ姫ね」

『アレにはそんなに嫌がって無かったし、ねえ、ルツ』

《ですね、その位の者でなければ納得は難しいでしょうね、愚かな娘の策略で恥をかかされたんですから》


「あら、ウチの領地なら愚かな子じゃない子はいっぱい」

《礼儀作法、考え方、既にミッシェル夫人やクリスティーナ夫人を見てきてしまってるんですから。貴族でも、かなりの位置で無いと難しいかと》


「じゃあルツの出番ね」

《それこそローシュがもう1人居れば直ぐにも勧めますが、そうは居ませんから》


「私が珍しいと理解して貰う所からね」

『だね、普通なら罰として手淫なんてしないだろうし』


「頼まれたんだから仕方無いでしょうよ」

『でも楽しかったんでしょ?』


「まぁ、ざまぁ見ろですわよね、ひぃひぃ言ってたし」

『アレは言わない方が無理じゃない?』

《ですね、無理です》


「けど前回も前々回もしてないんだし、ほら、偶々よ」


『それさぁ、ネオスって、ちゃんと出来てると思う?』

《今まで無かったそうですからね、性欲》


「ぁあ、けど」

『俺はちゃんと注意はしたけどさ、ほら、加減次第で良くないんでしょ?』

《流石に我々の前で、は無理でしょうし、違う性に目覚められても不本意でしょうしね》


『どんなに聞いても大丈夫、しか言わないんだよね』

《私もなんですよ、多分、アナタに遠慮してるのかと》

「何で私?」


《どうしたって身近にはアナタしか居ませんし、そう嫌悪されたくないのでしょう》

「ぁあ、別に首から下はどの女もそう変わらないんだし」

『でもほら、何か言ったら他に女を紹介されるかもって警戒してるかもだしさ。話してくれないんだよね、本当に』


 特に好きだ、とかね。


《ですね、ローシュで良くなって貰っても全然良いんですけどね、聞いてもいたんですし》

『ローシュから聞いてあげてくれない?この前の赤面も、もしかしたらその事かもだし』


「ご褒美の時の?」

『ローシュにエロい事が聞きたかったのかもよ?』


「それご褒美じゃないんじゃない?」

《聞き辛いからこそ、そう言う体なのかも知れませんし、ご褒美の件も合わせて聞いてあげてみてくれませんか?彼は優秀ですし、あの2人の世話も良くしてくれてますから》


「分かったわ、ファウストとアンジェの様子見が終わったらね」


 後はネオスがどうするか。




《良いんですかローシュ様》

「偶には様子見もしないとね、ちゃんと綺麗にお部屋を使ってて偉いわね、アンジェも」

『いえ、はい、ありがとうございます』


 ありがとうって言っても、どんなに好きだって言っても、本当に伝わってるかどうか分からないから。

 だからいっぱい言わないといけないのに、色んな言葉で伝えないといけないのに。


《着いたらもっと勉強しますね》

「無理しないでね、子供は元気が1番なんだから」

『はい』


《早く着くと良いですね》

「無事にね、シケが1番怖いもの」

『あ、天候に恵まれてるそうで、順調だって聞きました』


《うん、どの人に聞いても言ってます》

『もしかしたら早く着くかもって』

「そう、神様にお礼を言わないとね」


『はい、寝る前と、着いてからも』

「そうね、着いたらお礼とお祝いをしましょうね」

《はい》


「ネオスから聞いたけど、もう本を何冊も読み終えたんですってね、良く酔わないわね」

《だって暇なんですもん》

『運動もしてますけど、刺繍は危ないし』


《書くのは揺れるし、あ、他の人に借りたりもしてますよ》

『デッキで読んでる人のを借りたり、読んで貰ったりしてます』

「良い人と一緒で良かったわね」


『はい』

「よし、このまま寝ましょうか」

《もう1人で寝れますってばぁ》


「あら本当?アンジェは大丈夫?」

『はい、ファウストがいつも先に寝てます』

《いつもしりとりしてるんです、それとか食べ物の名前とか》


「それお腹が空きそうね?」

《ちょっと、けど夢に出てきてくれないんですよ、不思議》


「夢より起きてから食べなさいって事かも知れないわね」

《だからローシュ様も出て来ないのかな》


「起きて会いなさいって?成程ね」

『あの、私は本当に大丈夫ですから、心配しないで下さいね』


「でも嫌な事を言われたり、されたら言うのよ、暫く船から吊るして干物にするから」

《お魚料理有るんですよねブリテン》

『フリット?でしたっけ?』


「ギリシャの高級料理ね」

『ネオスさんが教えてくれたんです、新鮮な卵と油と小麦粉を使うって』

《どんな味なんです?》


「着いたらね、さ、寝るわよ」

『もー、本当に大丈夫ですから、お願いですからお部屋に戻って下さい』

《じゃあ僕と寝ましょうローシュ様》


「ほら、やっぱり寂しいんじゃない」

《冗談ですもん、ネオスさんともお話し合いして下さい、凄く良く僕らの面倒を見てくれてますから》

『はい、お世話になってます、良くして貰ってます』


「そんなに良い子なのねネオスは」

『はい、優しい良い大人です』

《ですね》


「じゃあ、アナタ達をお手洗いに送ったらね」

『はい』

《はーい》


 ネオスさんは大人だから良いな、もしかしたらキスして貰えるかも知れないんだし。

 早く大人になりたいな。




「ごめんなさいねネオス、子供達の事をどうもありがとう」

『あ、いえ、大人として当然ですから』


 流れを作った、とは言われたけれど。


「ご褒美の件なのだけど、言い辛い事なのよね?」


『そっ、はぃ』

「娼婦的な人は紹介して欲しく無い?」


『出来れば、嫌です』

「本当に、無理に子を成そうとしたり、結婚しなくて良いのよ?」


『ただ、そう、出来れば、慣れたいとは思ってます』


「ぁあ、確かに難しいわよね、慣れたくても心を許せる相手じゃないとだし。けど、だからこそ、無理に慣れなくても良いのよ?それでも良いって人を見付ければ良いんだから」


『やり方が悪いと、子を成せない、と、聞いてるので』

「高級娼婦の存在意義よねぇ、もう少し滞在してれば良かったかしら」


『その、出来たら、ローシュに』


「女らしい手じゃないから楽しく無いと思うわよ?」

『その、握る加減を、強さが分かれば良いので』


「はい、手を出して、この位」

『コレ、アーリスにも握って貰ったんですけど、意外と、良く分からなくて』


「要は強く握ら無ければ良いだけよ、あ、潤滑液でも渡しておきましょうか?」


『それ、他の人にも、したんですよね』

「ちょ、それアーリスね。それ罰よ罰、拷問って言われる部類の事よ?」


『私には、ダメでしょうか』


「ネオス、何か悪い事をしたの?」

『あ、いえ、ソレじゃなくて』


「無理に慣れなくても良いのよ?アナタは十分頑張ってるんだから」


『見て、欲しいんです、自分で最初に見た時、グロテスクだなと思って』

「あぁ、ソレはうん、本当に言い出し辛い事だわね」


『それで、もし変じゃないなら、そのまま触って欲しいんです』


「慣れる為に?」

『だけじゃないんですけど、見慣れたり、触られ慣れたくて』


「それは」

『無理なら、ダメなら良いんです、本当にグロテスクだし』


「今でもそう思ってるの?」


『はい』

「よし、じゃあ取り敢えずは見てみましょうか、って言ってどうにかなるの?」


『そ、ぅ、後ろから抱き締めて貰えれば、多分』

「私は例外、珍しい、そこは分かってるわよね?」


『はい、ちゃんと他を見て、良く探します』

「ルーマニアに着く間でも、良い子を探すの」


『はい』

「よし、じゃあ少し明かりを落としましょうね」


『はい』


「はい、じゃあ抱っこね」

『はぃ』


 もう、コレだけで、恥ずかしい筈なのに。


「あら元気、ちゃんと抜いてる?」

『最近は、船に乗ってからは、してないです』


「4日で溜まるのは精子だけ、性欲は別みたいだから好きに抜きなさいね?」

『はぃ』


「うん、変じゃないから大丈夫よ、サイズも十分、問題無し」


『その、手の上からで良いので』

「ぁあ、握る強さね、正直、弱い程良いと思うわ。それから好きな人に慣れさせて貰って、我慢して欲しいって言われたら、それからコツを教えるわ」


『何回も、出来る方が、良いですか』

「人によるから、ネオスがどうしたいかよ、1回だけで良いか、何回もしたいか」


『何回も、したいです』

「じゃあ、そう言う人を探しましょうね」


『やり方、変じゃないですか』

「変じゃないし、そこは気にしないの、ゆっくりだし弱いから大丈夫」


『っローシュ』

「大丈夫、変じゃないわ、綺麗よネオス」

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