次は~ブリテン王国のプリトルウェルのサウスエンド~。
テムズ川を遡上する為、サウスエンドで小型船に乗り換えたのだけど。
この小型船がまた優秀で、帆が有るけど着脱式だから橋をくぐれちゃうのよ、便利過ぎ。
大丈夫かしら。
《ようこそ、お噂は家の者から聞いておりますわ》
サンジェルマン家から分家し、移住したホーエンハイム家のご長女、ミシェル夫人の娘さん。
現女王と同じ名、メアリー夫人。
「凄いわね、運転する技術も必要だし、帆を下げてマストをしまうのもだし」
《ふふふ、そこも後でご説明させて頂きますわ》
あぁ、やっぱり知ってる言葉だと耳馴染みと言うか、脳馴染みが良いわね。
「耐久性、成程」
《ココら辺では風が凄いですし、海洋用ともなれば大型化に強度と問題が出ます。なのであくまでも内地用、諸外国への技術の秘匿も敢えてしていません》
「けど、現地で製造されてしまったら」
《ウチが知れば交易を途絶、友好国や同盟国としての資格を剥奪、ですね》
「強い、羨ましいですわ」
そしてイギリス人の系譜に育てられた方、凄い綺麗な英語。
なんだけど、もうね、誰も彼もチンプンカンプンって顔。
そうよね、フランス語が源流らしいけれど、パッと聞いて同じだとは思えないし。
けど、アーリスは平気みたいね。
《あ、説明書も用意してありますから、どうぞ》
「ありがとうございます、アーリス、アナタは聞き取れたわよね?イエス?ノー?」
『いえす』
可愛い。
《流石、メリュジーヌ様の近縁の方ですね》
『のー』
やだ、凄く可愛い。
「ふふふふ、お会い出来ますかしらね」
《それがですね、かなり遠くて、それこそエジンバラの方にいらっしゃるとだけは聞いてるんですが。祖父母達ならお会いした者も居る、とだけで、私達の世代は会えないままで》
何でもエジンバラの対岸にいらっしゃったらしく、けれども人が増えた事で争いが盛んになり、妖精達と共に地面ごと天へと登りリーブン湖が出来上がった。
と、した、そうで。
「スコットランドとの併合で、ですか」
《そうですね、それこそ正史通り各地で争ってたんですが、神々や妖精も含めてある時からお姿が見えなくなり。そう、させて貰ったそうで》
ココ、誰もお姿を現してはくれないのよね。
「残念ですが、私も今はちょっと」
《あ、いえ、疑っているワケでは無くて。寧ろ、本当にお怒りになって、消えてしまわれたのではと》
あぁ、妖精さんは居るのね。
けど、そうよね、妖精の粉が無いと見えないって正史の方でも言われてるんだし。
「お会い出来たら直ぐにお知らせ致しますわ」
《ぅう、ありがとうございますぅ》
妖精さん、メアリーの事が大好きじゃない。
《ローシュ様、ココと言えばどなたなんですか?》
「そうよねぇ、本当ならケット・シーさんとお会いしたかったのだけれど」
《ココでも猫に逃げられてますからね》
「アーリス、アナタが睨むせいじゃない?」
『ジッと見てるだけだし』
「それマジで逃げるからダメ」
《先ずは妖精の名から、にしてみますか》
「それか、やっぱりスカアハさんかしらね」
ローシュが影に呑み込まれ、その影も消えてしまった。
魔法の気配も無く、本当に。
『ローシュ!』
「はい」
《ローシュ、今》
「そうよね、ちょっと前にそこで落ちたのよ」
《今ですよ》
「ぁあ、時間がズレてるのね」
『ローシュ』
「はいはい説明するからちょっと、そうね、そこのティールームに寄りましょう」
この地でも子供と言う概念、そしてアルコールの概念も存在しており、胎児と子供の為に絶対禁酒主義=Teetotalismが定着している。
なので子供達にはホーリックと呼ばれる麦粥の様な飲み物と、シラバブと呼ばれる暖かい乳製品の飲み物が選ばれ。
私達の品物はローシュがそのまま選び、並べられ。
《ローシュ》
「あ、このシラバブはワイン入り、コレはリンゴ酒の暖かい飲み物。ホットワインはネオスね、後は紅茶とコーヒーよ」
《本当に読めるんですね》
「簡単なモノだけよ、それこそホーリックとシラバブは全く知らなかったわ」
『ローシュ』
「はいはい、待って、コレはオートケーキ、押し麦で作ってあって甘くないからジャムでも付けてって。はい、それでさっきの説明ね」
ローシュはスカアハ神の居る影の国に行ってたって、そこでクーフーリンの話をして、意気投合して協力して貰える事になったって。
『何を話してたの?』
「妖精の事を聞かれて、ちょっとね」
「あの妖精はいけ好かん」
「ですよねぇ、既婚者なのに既婚者にって。しかもエメルが邪魔しに来たら、置き去りにして下さい、って泣くとかもうね、明らかに狙ってやってますよねアレ」
「しかもエメルに惚れ直すべきで、どうして妖精の方へ心を移せると言うのだ、そんな愚か者に育てた覚えは無い」
「アレは向こうの悪しき男の欲望が込められてるんですよきっと、美女と美女に取り合いをされたい。うん、実に低能が過ぎます」
「全くだ、争うより分け合うべきだ。そして貴殿らは実践している、うん、実に素晴らしい」
「と言う事でご協力頂ける事になりました」
『“俺は聞き取れてるけど、他のは多分、無理だよ?”』
「ぁあ、まだ慣れて居らぬか、不便だな言葉の壁とは」
「後でアーリスが言ってくれるでしょ、任せるわね。さ、どうぞ、美味しいですねワイン入りシラバブ」
「うむ」
ローシュの横に、もう1人のローシュ、それがスカアハ神だって言う所からだよね?
はぁ、文字が早く書ける様に練習しておけば良かった。
覚えてられるかな。
「それで、向こうでは、マナナン・マクリル様は素晴らしいと思うのですが」
「アレは妖精の記憶もだが、ウチの弟子に加えてエメルの記憶まで取り払ってくれた、アレも良いヤツだ」
「良い妖精は居ないのですかね?」
「お前の中に有るティターニアだが、まだココには存在しておらん、成立しておらんのだよ」
「あぁ」
「なので精霊的でな。寧ろアレだ、メルクリウスの嫁はどうだ、ロスメルタも良いヤツだぞ」
「ぉお、メルクリウス様のお嫁様ならお呼びしなくては、ロスメルタ様はいらっしゃいますでしょうか」
《ふふふふ、不思議よね、この知識のいびつさ》
「申し訳無い、何分自国にも神が多いもので」
「アレだ、オスマン帝国より多いらしいぞ」
《まぁ、108体も》
「それ実質無限に居る、と言う意味なんです」
「どうだ、驚いただろう」
《素敵、楽しいわ、もっと覗いても良いかしら?》
「どうぞ、神性に関わる事だけなら」
「離縁の事は良いだろう、コヤツらも知っておるのだし」
「そこはまぁ、ですけど楽しくないですよ、本当にケンカばかりですから」
《寧ろ、よね》
「甘い物にも塩を入れるだろう、それと同じらしい」
「であれば、はい、どうぞ」
《ありがとう》
「何処までも甘い奴だな」
「良く言われます」
「あぁ、私もマナナンも知るなら、ルーを呼べば良いだろう」
「出自が不遇過ぎでは?」
「あぁ、ココではその合わせ技になっているからな」
「えっ」
「幽閉されていた娘を可哀想だからとバンシーと共に助けに行ったが、まぁ見事に惚れ、そのまま抱いた。その時の悲鳴を聞き付けバロールが駆け付け男を殺した、そして娘は出産の末に死に、子供だけが残った。耐えられなかったバロールはマナナンに子を預け鍛冶に熱中した、そしてルーが育ち、自分の目の前に現れると。敢えて言い放ったのだよ、お前の両親を殺したのは自分だ、とな」
「えー」
《そもそも幽閉は予言から子を守る為だったのよね、悪漢に襲われ娘を亡くす事になるだろう、と》
「転生者が予言だと伝え、悲しい物語を防ごうとしたんだがな、ダメだった」
《バロールの成功を妬んだ者が綺麗な娘が幽閉されてるって、言っちゃったのよね》
「それを陰で支えてしまったのが、バンシーと名乗る転移者だった。お前が言う、正史派だな、ルーが生まれない事を危惧しての暴挙。それに妖精が加担したのだよ」
《でもアレよ、閉じ込められて可哀想だからって、ね?》
「まぁ、その後でかなり狩られたからな、マナナンが浮島へと移動させたんだ」
《妖精の羽根をより多く揃えた者が土地を支配する、って》
「アレは一神教がココに取り入ろうと噂を流しての事だが、冷静に考えれば分かった筈だ。そして国は、イングランドの女王のモノとなった」
《先人の知恵?も有るけれど、女王は妖精を守る側だったものね》
「小さい悪戯でも疲弊するからな、スコットランドとウェールズの陥落後、エルフと妖精達は真のアヴァロンへと至った。となっている」
《けど、飛べないのは不便よね、アヴァロンは浮島だもの》
「馬なら幾らでもやれるんだが、我らの事を心配しての事なのだろう」
「はい、ですね、余波がココへ到達しては困るので」
「悪しき考えを、どうにか払拭出来ぬものかな」
《そうね、男達には甘過ぎる毒、悪しき者の手によって簡単に利用されてしまう新しい毒》
「砂漠地帯では非常に有意義なんですけどね、ルツ」
聞き取れた単語を書き取り、出来るだけ聞いてはいたのだけれど。
分からない。
どれだけ自分が無能だと理解すれば良いんだろうか。
『ルツさん、砂漠地帯の事か、一神教の事かと』
「あぁ、ごめんなさいネオス、と言うか凄いわね、そう」
「ふむ、では私達がお前達の言葉に合わせてやるとするか」
《あ、そうね、ごめんなさいね気が利かなくて》
《全くだ、何処で間に入れば良いのか全く分からなかったぞ、少しは手加減をしてあげなさい》
「アナタが言いますかメルクリウス様」
《そこはうん、全くもってその通りだが、向こうでの件は私だけの意思では無いからな。本当に》
「因みにだが、その子には聞かせておらんからな」
《ふふふふ、ローシュが独り言を言ってるって思ってるの、可愛いでしょ》
「でしょ、って」
《まぁまぁ、次の航海も順調に進むわよ、ね?》
《あぁ、そこは保証する》
「エジンバラに竜が居る、そこまで行き、呼べば答えてくれる筈だ」
『女の子じゃないと困るんだけど?』
「あぁ、そうだったな、であれば魔導具で性別を変えて呼ぶしかあるまい。異性に惹かれるのが竜なのだから」
《じゃあねローシュ、美味しかったわ、ふふふふふ》
《すまんな》
「私はお前の影に居る、何時でも呼ぶと良い、ではまたなローシュ」
「はい、どうもありがとうございました」
《こう、最初から》
「すまんが我々は万能では無いんでな、ローシュの記憶から情報を得て整理していた、アレ以上に早くは無理だ。ではな」
《失礼しました》
「凄く珍しいわよね、驚くルツ」
《こう、地面から顔を半分お出しになる神は初めてだったので》
「そうね、素敵な方でしょ、メリュジーヌ様に会った時から決めてたの。あ、後で捧げ物としてお願いね、食べてみたいって言って下さったの」
『頑張って作った甲斐が有ったね』
「ね、あら、飲まなかったのねネオス」
『飲む間が無かったと言うか、はい』
「アーリスと協力して記録して、アンジェは私と一緒に目の前のお店に行きましょう」
『はい』
ふと周りを見ると、何事も無かったかの様に人々が過ごしていた。
幻の様に過ぎ去ったけれど、コレは事実で。
『よし、頑張ろうネオス』
『はい』
ネオスさんやアーリスさんが頑張って、お夕飯も終わって、もう寝るだけ。
そんな時、隣の部屋からアンジェが怒られながら引きずられて来た。
自分も体を明け渡すって、服を脱いでローシュ様に迫ったらしい。
「誰がこんな事を教えたの」
『違っ違うんです、ただ、ローシュさんに捨てられたくなくて』
《僕は抱かれてませんよ?それこそローシュ様はルツさんとアーリスさんとだけしか、そう言う事はしてない筈ですけど?》
『でも、私、何も出来無いから』
「刺繍だって出来るじゃないの、ココの言葉にだって直ぐに慣れるかも知れないし、そうじゃなくても向こうで役に立って貰う予定なんだから。大丈夫、向こうにはちゃんとアナタのお仕事が待ってるわ」
『でも、発芽だけって』
「凄い大事な事よ、小麦だって少し間違えば育たない事も有る、命を支える大事なお仕事なの。大丈夫、焦らないでも大丈夫」
僕には、スカアハ神から聞いた妖精と同じに思えた。
泣いて縋って、まるでスカアハ様の弟子を誘惑した妖精。
けど、ローシュ様なら大丈夫、幼い女の子にしか思ってないし。
大事は事を分かってる人だから。
《僕、今日はネオスさんと寝ますね》
「そうしてファウスト、ごめんなさい、後でね」
《はい》
『ローシュが怒る声が聞こえた気がしたんですけど、何が有ったんですか』
《アンジェが服を脱いでローシュ様に迫りました》
『は?』
《は?ですよね、僕も意味が分かんないです》
『はぁ、私達がそんな事をしてると思われてしまっていたって事ですよね』
《僕ら良い子なのに?無理ですよそんな言い掛かり》
『それでも』
《あ、ローシュ様、お早いですね?》
「一旦、置いて行くわ。魔導具も回収したけれど、ごめんなさいネオス、アナタの献身を無駄にする事になって」
『いえ』
「ふむ、ソレを我に渡しなさい、無駄にはさせぬ」
「スカアハ様」
「水まんじゅうの礼だ、暫く預かるが良いな坊主」
『はい』
「ふむ、ではまたな」
「はぁ、そう思わせる振る舞いを私が」
《それ、今ネオスさんも言ってましたけど、僕らもローシュ様も良い子でしたよ?じゃなかったらきっと、天使さんが妨害してただろうし》
『それは、確かにそうかも知れませんけど』
《もしかしてヤっちゃったんですか?》
『してないです』
「ごめんなさいね、ファウストの努力も無駄にする事になって」
《いえ、1番はローシュ様に喜んで貰う事ですから、だから元気になって下さいローシュ様》
『少なくともアナタは悪くないです、どうか落ち込まないで下さい』
「ありがとう、よし、ルツ達に説教されてくるわ、だから言ったろって」
『言いませんよ、僕ら含め同罪なんです、誰も悪くないんですから』
「ありがとう。こうなっちゃったけど、もう休んで、また明日話し合いましょうね」
《はい、おやすみなさいローシュ様》
『おやすみなさいローシュ』
私はただ、本当に、捨てられたく無かっただけで。
《アンジェ、アナタは何重にも人を傷付けてしまったの、分かる?》
『はい、すみません、ごめんなさいメアリー夫人』
《情に訴えかける、子が親にするにしても本当に幼い時だけ。アナタの年で行うのは最も下品で下劣、泣き喚き己が命を掛ける事も、例え平民だとしてもやってはいけないの》
『はい、すみません』
《女王に誰も彼もが泣き付き、その通りに動かせばどうなるか、国が乱れるに決まっていますよね?》
『はい』
《では、領主が同じ様に泣き付かれて税を毎日変えたら、家の礼儀作法が毎日変われば。困りますよね?》
『はい』
《そうやって泣き付いて成功しても、結局は自分が困るんです》
『はい』
《では先ず、誰をどの様に傷付けたのか、言ってみて》
『ローシュさんは、そんな人じゃないのに、その様な人だと思っていると、そう、思わせてしまいました』
《そうね、後は?》
『えっ?』
《他の人もよアンジェリーク》
『ミシェル夫人を』
《それと?》
『それから、ルイさんも』
《それから?》
『え?』
《ネオスにファウストも、よ。自分達の振る舞いのせいで、そう誤解してしまったのかも知れない、と悩ませる事になった。それはローシュさんも、ルツさんにアーリスさんも、そう悩ませる様な事をアナタはしたの》
『そん、でも、そんなつもりは』
《この場合、結果が全てなの。あの方が特別だって事は分かるわね、それだけ重荷を背負ってらっしゃるの、とても大きなモノ。民の命全て》
『でも、女王様では』
《重臣、女王の側近も同じ位に背負える様にと、努力してらっしゃるの。それなのにアナタの浅慮な振る舞いで、更に負担を与えてしまった》
『そん、ごめんなさい、違うんです』
《結果が全てです、アナタに悪意が有るか無いかを測れる魔道具も魔法も存在しない。なら、結果を見るしか無いのですが、それとも水に漬けて浮くか試してみますか?》
『あれは、違うんです』
《そうね、アナタが考えてやったワケでは無い、でも他の人がどう思うかしら?魔女狩りの筆頭に立っていた、もしかしたら楽しんでたんじゃないか、じゃなければ続けられる筈も無いだろう。それを、どう、否定するんですか?》
『でも、本当に、違うんです』
《ですよね、分かりますよ、そうやって魔女とされた方達も言ってたでしょうしね》
『ごめんなさい』
《そう言ってたのかも知れませんね、私の友人も》
『そ、ごめんなさい、違うんです本当に』
《ほら、凄く怖いでしょう?けど、ローシュさんは優しかったんですよね、なのに離れられてしまう様な事をしてしまった》
『お、大人は、そうやって、言う事を聞かせてたから』
《ルイに、忘れなさいと言われていた筈では?》
『けど、でも』
《それしか見て無かったんですよね、でも、生き延びたいなら忘れましょう。新しい礼儀作法を覚え、学び、悪しき記憶を忘れましょうね。そうすればローシュさんがちゃんと迎えに来てくれる筈ですから、ね?》
『はぃ』
《大丈夫、決して叩いたり怒鳴ったりも、食事を与えないなんて事もしません。ローシュさんよりは優しいとは思えないかも知れませんが、アナタの命を脅かす事は、決してしません。今日から暫く私がアナタの保護者、良いですね?》
『はぃ』
捨てられたく無かっただけなのに。
「ごめんなさい、メアリー」
《いえいえ、エジンバラからココへ戻って来るまでですし、その間に月経も終わってらっしゃるでしょうから。そうすれば少しは落ち着くかも知れませんし》
「その、ご友人の事は」
《いえ、随分前で、彼女は無関係ですし。彼女が率いた集団は、ちゃんとルイが有効活用してくれると誓ってくれましたし。こう、どうしても地続きは不便ですから、だからコッチへとも誘ったんですけどね。言葉の壁は、どうしても、難しい課題ですから》
「平和な世界になった頃、また一緒に生まれ変われますように、そう神様に願わせて下さい」
《ぁりがとぅ、ござぃます、良いですね、素晴らしいです、その思想》
「
《ぁあ、では私も、どうか、信じざぜでぐだざぃ》
「はい、是非」
私の友人は、ナポリの地方領主だった。
キャラバンに紛れた一部の者が、教えを広める為、金の為に。
優秀な領主だからこそ、彼女は殺された。
憎く無いのかと聞かれれば、憎い。
けれどもアンジェリークは悪くない、それこそ一神教自体も悪くは無い。
悪いのは、それらを利用し利を得ようとした者、悪しき者共。
アンジェリークの改心こそが、私と悪しき者との闘いを収めるだろう。
泥臭い正義が勝つか、綺麗な悪が勝つか。
私は負けない、神々が遣わして下さったローシュが居るのだから。
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