やっと、落ち着いて恋愛が出来る状態、なのに。

 全く自分には気が無い。

 そう周囲にも自信を持って言える程、何も無い。


《一応、婚約者と言う状態なんですが》

「汚名は晴らせる程度にした方が良いですよ、契約上の婚約だと周りも理解している今のウチだからこそで。諦めたらそこで試合終了です、諦めないで下さい、有能なんですから」


 私を有能だと認めているなら、少しは傾けようと打算的に動いても良いモノを。

 逆に高潔過ぎて、コチラに問題が有るのかも知れないとすら。


 いや、ソレこそが作戦だとしたら、頭が上がらないんですが。


 寧ろ高潔と言うより臆病、と彼も言っていましたし。

 ですが、臆病なら、だからこそ女を使っても良いモノを。


《あ、寝台を使って下さい》

「いえ、他人と一緒に眠る事に慣れて無いんで、ココで寝させて下さい」


 大丈夫だと言っても、無理をするな、と押し切られそうな勢い。


 こう、コチラの貞操を守る方へ全力を出させられると。

 こんな風に牙城を崩し様が無い場合、向こうの方はどうなさるんでしょうか。


《何が問題でしょうか》

「もっと上を、高みを目指して下さい。身分だけの問題では無く、貴方は良い人だからこそです。もっと良い人が絶対に現れる、元既婚者の助言です、間違いない」


 純然たる善意、好意。

 逆に、好意が有るからこそ、これだけ慮ってくれているのは分かるんですが。


《ですが、個人の好みと言うモノが有るのはご存知ですよね》

「だけで選んでも失敗したんです、他人の言う事もしっかり精査すべきですよ」


《王は、ブラドとしても、アナタを推していますよ》

「だってアイツは弟ですもの、コッチの身内の言う事ばかりを聞くな、バランス良く意見を聞くのも情報処理特級技術者の義務では?」


《今まで生きて来て》

「だからこそ、好意と言うモノを自覚した今だからこそ、改めて周りを見るべきだと言っている。鳥じゃないなら最初に拘るな、人生は長いんだ、慎重に選べ」


 初めて、自分の長寿が恨めしく思えた。

 ローシュは同じ寿命の者と添い遂げるべきだと、私の為に、言ってくれている。


《分かりました》




 国内が安定するまでだ、と。

 王とクーリナが言うから、婚約者同士になっただけ。


 練習や暇潰しだとしても、勘違いさせないで欲しい。

 チョロいからこそ、気を付けてると言うのに。


『おはようございます?』

「おはようクーリナ」

『おはようローシュ』


「おはようアーリス」

『うん、何も無かったんだね』


 流石スプリットタン持ち、マジで匂いに敏感なのな。


「あぁ、だが勘違いしそうになった」

『勘違いじゃないと思いますけど?』

『そう?』


『アーリスさん、ややこしくするなら出てて貰えます?』

「うん、見回りをお願いします」

『はいはい』


 ルツが婚約者になった事で、アーリスは唾液だけの要求に留まってくれている。


 けどまぁ、人化の為の体液供給だし、本人は竜化を歓迎しているし。

 だからこそ、そこまで負担なワケでも無いのが実態で。


 それこそ好みでは有るし、お互いご褒美感すら有るワケで。


『ローシュさん?』

「あぁ、ちょっと呆けてたわ」


『結婚、そんなに嫌ですか?』

「それこそ顔面偏差値差よ、外見の差もエグいし。そも自分の年齢がね、若かったら夢が見れたんだろうけど、無理よ、ワシぞ?」


『流石に、自信無さ過ぎでは』

「寧ろ何で推せるのよ」


『だって、好き同士は好き同士なんですし』

「好きなら、だからこそ、相手の事を考えて身を引くべき時は引く。我儘で相手の人生を左右させる事に耐えられない、そうして我儘を聞いて貰ってしまったら、今度は尽くさずには居られなくなる。そう思ってしまう様な相手とは居るべきじゃない、居ても苦しむ事になる」


『でも、それだけ分かってるなら』

「観賞用としての好意であって、まだ制御が利く段階だからよ。好意は暴走し易い、何も見えなくさせる事も有る、良い面も悪い面も有る事を知ってしまってるから。だからココは利己的に、冷静に、ね」


『そんなにルツさんを、寧ろ、自分自身を信用してないって事ですか?』

「おう」


『そこ自信満々』

「そらね、1度失敗したので。その失敗も、人の死でようやっと決断出来た位に優柔不断で、愛される事に執着して、見ないフリと間違った方向へ努力する事に逃げてた。クソですよ、ウン子ですわ、バカなのよ。愛に溺れ易いって分かってるから、出来たら、程々の相手の方が良いと思ってる」


『アーリスさんですか』

「まぁ、アレでもよ、溺れそうだもの。それこそクーリナが居なくなったら、多分、体たらく自堕落上等ぞ」


『なら、だからこそルツさんなら』


「君みたいに見た目が良ければね、コレは相応の自己評価の低さも原因なんだ、ごめん」




 ウチの姉上は実に手掛かる。


《お前さ、モラクソ野郎に洗脳され過ぎじゃない?》

「おま、モラ」

『僕が説明しておきました』


「じゃあ言うが、全てが間違った事では無かったからこそ、そうなのかもなと思うワケよ。そして割れ鍋に綴じ蓋論へと帰結する、元から自己評価が低いと言われてたし、仕方無い」


《いや仕方無くねぇし》

「自己評価が高くて良い事有る?高い程にボロクソに言われて、失敗した時のダメージ凄いじゃない。地面から近い程、衝撃は少ないじゃない」

『物理的には、ですけど』


「心もそうよ、元夫、プライドが成層圏外まで突き抜けてたもの。だから失敗は先ず必ず絶対に認めない、脊髄反射で否定から入る。普通さ、自分が洗ったかどうか分からないコップに汚れが残ってる事を伝えられたら。クーリナは家族に言われたら、先ずはどう答える?コレ汚れてるけど、って」


『あぁ、そうだったかな、って。けど』

「ほら。では王よ、アナタが刈り取って活けた花が無惨にも直ぐに萎れた。花瓶に水は入れたが少なかったのかも知れない、なら、俺は悪くないと言い張るか?」

《いや、そうは言わんし思わんが》


「もう真っ先に、俺じゃない、って認めないんですよ。そして自分が洗った事を思い出させてあげない限り、絶対に認めない。そして認める時は、あぁ、って流す感じで終わらせ様とする。でもコッチが洗い残しが有れば、言い方を考えずに指摘してくる。居るでしょ、ココでも、身内になると途端に気を使えなくなる奴」


 あー、姉上の元夫よ、どうか向こうで苦しんだ末に死んでくれてねぇかなぁ。


 なんだよ、どうしてだ?

 政略結婚でも何でも無いのに、どうして大事に、大切にしなかったんだ?


『本当に、お手本みたいなモラクソ野郎ですけど』

「けど、悪意は無いらしいよ、思った事を言っただけで他意は無い、悪気は無いから許せってさ」

《バカだなぁ》


「けど高学歴、それこそ情報処理技術者試験なら高位は取れるレベル、仕事も良い位置」


《は》

「なのに、よ、マニュアルが身内に適応外になるの」


《マジで、何でなんだ?》


「推測だけど、本当に怖い者が居ないから、だと思う。煩く言う者とは距離が取れるし、ビビりだけど怖い者が居なければ」

『横着して、横暴になる』


「推測ね。だって本人は自分を程々の善人だと信じて止まないんだもの、絶対に認めない、悪意は無いって主張する」


『凄い、本当に居るんですね』

「同じ圧で言い返してたからそこまでの暴言は無いけど、地味にゴリゴリ削られてたのよね、自分が細かくて繊細過ぎなのかなって本気で信じてた」


『でも、だと、ウチの父親と少し違うかもなんですけど』


「外面が良いから、外部に対してはそこまでの失敗はそんなに無いし、そもそこまで知れてる様な深い付き合いの人間は殆ど居ない。それから無趣味だったり、逆に趣味をちゃんと持ってたり様々、けどこの悪癖を知る様な友人が居ないと思って良い。知られてても注意もして貰えない、逆ギレか聞き流すかだから、注意されないから自分を悪い子だと思いもしない」


『それで結婚してから、なんですね』

「最初は凄く楽しい人だった、けれど結婚してから嘘が次々と発覚。けど噓じゃないらしい、少し面白可笑しく脚色しただけで、嘘を言ったつもりは無かった。そんな言い訳だか謝罪だか良く分からん事を言って、その時ばかりはしおらしくするけど、数時間もしたらケロッと忘れてる。内省が殆ど出来ない、罪悪感が非常に希薄な人だった」


 あぁ、先代の転生者や転移者が警戒しろって言ってたのは、こう言う人間の事か。

 確かにな。

 さっさと殺処分するか、完全管理か。

 悪意無しにミスされて被害が出たら、挽回するにしても時間が掛かるんだ、殺す方が逆に利益に繋がる奴も居たんだろうな。


『でもルツさんは』

「ルツがそんな人間じゃないにしても。ほら、増長させるとか、甘やかすの得意だって本人にも注意されてるし。向こうでも、周りに言われた事もあるし」


《姉上は簡単に自分を犠牲にするからな。助かってる部分は有るが、そこは本当に気を付けて欲しい、が》


「なら妾だけ侍らすだけの方が安定するかもよ、それこそハーレムよ」


 危ない、ウッカリ認めそうになったわ。

 口が上手いんだよなぁ、極端に見せ掛けてしっかり妥協点を突いて来られると、つい乗りそうになる。


『でも、です、結婚に話しを戻しますよ』

《あぁ、な。だが愛し好いたからこそ、結婚したんだよな?ソイツは》


「どうだかね、何が好きかどう好きか、手付け放題の侍女とかじゃねぇの。ビビりだからこそ手頃かどうかを見極め、便利そうだから手に入れた、だけ。少なくとも過去の経歴からして利便性1位の筈だぞ、何せ多少は知ってるからな、過去の女の事を」


 死ね、元夫死ね。

 どんだけ姉上を拗らさせてくれてんだクソが、クソ野郎、死ね。


《そうなると、確かに、経歴が綺麗な方が結婚は進め易い部分は有るだろうが》

「まぁ、だから初物のルツは悪くない条件でも有るんだけど。ただ、どうしても前の失敗がね、もう好きな人に傷付けられたくないのよ」


 もう、クーリナに殺して貰うか、元夫。

 先ずは社会的に。


 いや、それを頼んで実行されても困る、なんせフォローが出来んのだし。


《すまん。ココは気を取り直して、そうだな、サイコパスについて聞かせてくんないか》


「あぁ、装う事は可能らしいが。サイコパスだって丸分かりな人に会った事有る?」

『と言うか、機微に疎いな、と思う人は偶に居ますけど』


「あぁ、それ別種、多分だけど元夫と同じ人種」

《おいおい、複数種類あんのかよ》


「いや、コレは個人の推論ね。散々悩んで情報を自分なりに統合させた結果、私見や主観を多分に含んでいて、実際や実体とはかけ離れている可能性を存分に考慮して聞いてくれるなら、言いますが」


《分かった。なら書記官を呼ぼう、コレは重要そうだ》




 王に招かれ、偉大なるローシュ様の私見を記録させて頂く事に。


 コレは転移者だからこそ、超越した理論なのだ、と。

 ローシュ様は私にもしっかり言い含めてから、お話を始めた。




『論文にして出し、何で出さなかったんですか?』

「いや医師でも何でも無いのに無理よ、それこそアレでしょ、学術会議系って、浅学ですみませんが質問宜しいですか。って自分より上の偉い人が殺しに掛って来るんでしょ?」


『殺すつもりは無っ、そうですよね、プレッシャーを与えない言い方を考えたって良いわけですし』

「まぁ、そこらのお決まり事は知らんけど。イヤだよ、大人になってまでイジメられたり怒られたく無いもん」


《それこそ本でも難しいのか》


「差別を助長しかねない、医者でも無い癖に、ブスな壁のクセに。内容批判が個人攻撃へと直ぐに向かうんですよ、文化文明が進化したからと言っても成熟度が追い付かなければ諸刃の剣になる。議論になる前に叩き潰されて終わると思いますよ」

『権威、後ろ盾、資格が無いから無知だ、ってなるんです。どんな分野でも、どんな事でも』


「けど育児に関わらない男親の言う事は広める、教師としての資格が有るから、子持ちだから」


『陰謀論は信じてませんけど、一部のお金持ちにより、金持ちにお金が集まる方法が存在しているとは思います。情報を使って』

「あぁ、流行りますよ、って言って実際に流行れば詐欺にはならんからね」


《悪しき情報の使い方の法整備が、ココまで大事になるとはな。俺もまだまだ浅学非才、熟考せねばな》

「いや、肌感で感じ取ってくれてるだけ天才よ、それこそさっき説明した系統のには感じ取る事も不可能だし」


『1説明して3も分かって頂ければ十分です、後は5まで説明したら10まで完璧に理解して、応用までこなして頂けるんですから』

「うん」


《すまんな、ありがとう。よし、休憩だ、下がれ下がれ》

「おう」

『はい』


 僕は夢見がちだった。

 ココでも、向こうでも。


 結婚に夢を見て、家族に夢を見て、親を必要以上に持ち上げていた。

 親も人間、僕もローシュさんも人間で、良い部分と悪い部分が有る。


 しかも父は、僕が思ってたより悪くない、かも知れない。


 それこそ、ローシュさんの元夫や知人よりは、遥かにマシ。


「何、どうしたの、くっ付いて」


『僕の父親、全然、仕事ばっかで家に居なくて。けど、さっきの話、寧ろ母親に当て嵌まるんですよね』


「ほう」

『居てもケンカばっかで、それは父親のせいだって。そんな母親の言葉を鵜呑みにしてたなって、思って』


「あぁ、向こうにしてみたら我こそは、と。自分が何より正しいと思ってるからね」

『そうなんですよね、こうして他人の事なら直ぐに分かったのに』


「自分の、ましてや身近な味方と思ってた人間が実は敵だなんてね、思いたくないって気持ちが先行するからね」


『だからこそ、ローシュさんは慎重なんですよね』

「それもだけど、ワシ弱いからね、自己防衛反応よ。過剰だと言われても変える気は無い」


『そこは変えないで良いと思います、ココで判断を誤ったら死に直結も有り得るんですし。だから、もう、ルツさんの事も推しません』


「推したかったかた」

『だってローシュさんにだけは凄く優しいし、僕が女の子なら良いなと思うので』


「あぁ、ごめん、女に幻滅しないでおくれ、コレはレア種だから」


『それもそれで嫌なんですけど?』

「何故」


『母親の方が、レア種であって欲しいんです』

「辛い思いをさせてすまん」


『違うんです、やっと目が覚めた感じで、ありがとうございます』

「いや、本当なら、君が気が付きたいと思ってる時に言うべき事だったと思う」


 母親にも、妹にも、こんな気遣いはされた事は無かった。

 寧ろ、してくれてたのは父さんだった。


 洗脳されてたのは僕。

 父さんにとって、寧ろ僕が敵だった。


『洗脳されてたのは、僕の方なのに』


 泣いたって何にもならないのに。


「当たり前だとか錯覚だとか、要はバイアスよ……」


 バイアスは適者生存の為の法則、なだけ。

 生まれた場所や時代によって変わる概念、それは悪い事じゃない。


 郷に入って郷に従わなければ死ぬかもってだけで、全く無い方がよっぽどマズい。

 反面教師にしたら良いだけ、けど意識し過ぎない様にしないと、ソレに囚われる事になる。


 そして本質をしっかり考えないと、それこそDVの人みたいに繰り返す事になる。


 相手の意見や考えの否定は心の暴力行為、しかも見た目には分からないから自覚も出来無い。


 けど、自覚した時点で良くなる可能性は有る。

 って。


『でも、罪悪感が、有れば』

「そう、君は直ぐに本質に辿り着いてるし大丈夫。君は嫌な面は受け継がない、悪い面は似ない、なんせ君は元からしっかりしてるもの。大丈夫、君は良い子だよ」


 言い切って貰えるって、凄く大事なんだと思った。

 特に良い事は言い切って貰えた方が嬉しい、信じて貰えてるみたいで嬉しい。


 あぁ、信じて貰ってもいなかったんだ、僕。

 母親にも、妹にも。


『言い切って貰えるって、認めて貰えるって、凄く嬉しいものなんですね』


「あぁ、何でもかんでも否定、断言されてたか」


『今思うと、はい、直ぐに何でも否定系で断言される様な言い方で。でも根本的に自分が正しいって事が、あの人達には大事で。本当とか、真実とか、実はどうでも良いんですよね。だから、話し合いが出来ない、しない』


「君の親がどれだけかは不明だけど、基本的にはそうらしい。どんな山より高い自尊心を守る為、認めない、謝らない」


『そうして他者が悪くなる』

「そう、だって自分は絶対に悪くないからね」


『誤解だ、思い違いをしてる』

「なら言い方を考えろっつの、それこそ日本語って豊かな表現が可能な言語なんだから。伝わる様に言うのは思い遣り、優しさ、当たり前の気遣い」


『謝りたい、帰って父さんに謝りたいです、でも』

「それもだけど、仲良くしたらもっと嬉しいんじゃないかな」


『嬉しい、んですかね』

「少なくとも生まれた時は嬉しかったんじゃないかね、だから妹までは頑張って作って、家族になろうとした。けど、変わってくれるだろうって期待を裏切られて、諦めた。だから味方が増えたってだけでも嬉しいと思う、ワシなら、だけどね」


『味方が、居なかったんですか?』


「でもだって、洗い物をしてくれるだけマシじゃない。浮気しないだけマシ、ギャンブルしないだけマシ、飲み歩かないだけマシ、って。他人も親もさ、1周回って逆に男に失礼だよね。噓も言わない、罪悪感をちゃんと持って、浮気しないで家事も出来るマトモな男だっていっぱい居る筈なのに。そんな人間は沢山居る筈なのに、マシだって言う事で逆に男ってもんを貶めてる事に気付いて無い。そう評価する事で、男を人間扱いして無い事に、気付いてもいない」


『確かに、一般的な言葉ですけど、肯定が否定になるんですよね』


「けどもだ、否定されてムッとする種族も居るから難しい」

『ですよね、しかも相手がウチの母親みたいのだったら、後で居ない所で凄い文句を言うだろうし』


「そうそう、しかも本人には言わないのがな、更によ」

『そうなんですよ、それだけ聞か。本当なら両方の意見を聞くべきで、会ってみるべきなのに、僕』


「どうどう、ただ否定するよりどうすべきか。どう答えてどう反応すべきか、を考えた方が良いと思うが?」


『はい、ですよね、ありがとうございます』

「ですが、ワシの言った事を鵜呑みにせんでくれよ。より良い方法が有るかもだし、そこも良く考えておくれ」


『はい』


 答えを押し付けないし、全否定しない。

 肯定も、肯定したその先も考える。


 僕よりしっかりしている人なのに、どうして自信が無いんだろうか。


 あぁ、元夫さん、元恋人さん達もその世界で生きてたんですもんね。


 そして僕も、その世界に戻る事になる。


 耐えられるかな。

 ローシュさんの居ない、味方の居ないかも知れない世界。

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