早朝の訪問者
「飴さん、僕帰ります」
「えっと何時?」
「5時です。明日、また、来るので」
そう言って、京君は立ち上がっていた。
「ああ、下まで送るよ」
「はい」
俺は、京君を下まで送る。
道路に出た瞬間だった。
「飴さん」
その声の主を見て、京君の顔が、強ばった。
「誰だ?」
目の前に、二人の男が立ってる。
「初めまして、
カーテンコールの挨拶をする俳優のようにお辞儀をする。
「久しぶりだな。俺は、神楽法(かぐらほう)だ。ガリガリ」
冷ややかな笑顔の宗方と、威圧的な態度の神楽が立っていた。
宗方は、銀縁のメガネをあげながら笑っている。
「二人きりで、お話したいのですが?雨宮さん」
そう言って、宗方は笑っている。
「それは、出来ない。京君を一人にするわけにはいかない」
「おっさん、俺がこいつを苛めると思ってんのか?」
神楽は、そう言って俺を睨み付けた。
「お話になりませんね。この機会を逃せばもうお会いする事はありませんよ。美麗の動画の件を知る事も出来ませんよ」
宗方は、冷ややかに笑って、また眼鏡をあげる。
「飴さん、話しをしてきて。僕は、大丈夫だから」
京君は、震える手で俺の手を握りしめた。
「約束しろ。京君に、酷いことをしないと…」
俺は、そう言って神楽を睨み付ける。
「約束?そんなの出来るわけないだろ?ただ、今日は話をしにきただけだから約束は守るよ。おっさん」
そう言って、神楽はニタニタと笑っている。
「本当だな?」
「本当だよ。信じろとは言わないけどな」
神楽は、そう言って笑いながら棒つきキャンディーをガリガリと食べている。
「京君、ごめんよ」
「大丈夫です。飴さん」
「話し合いが、終わったようですね。では、行きましょうか?法、二時間後にこの場所で」
宗方は、わざとらしく俺の進む道を手で大きく差ししめしていた。
「わかってるよ、道理」
神楽は、そう言って笑った。
俺は宗方に、京君は神楽について反対方向に向かって歩いて行く。
暫くして、宗方は、俺の家から歩いて10分程のコインパーキングに入って行った。
「どうぞ」
乗用車の後部座席を開けてきた。俺は、そこに乗り込むと宗方はバタンと扉を閉めた。
宗方は、運転席を開けてエンジンをかけてから窓を開けた。そして、すぐにエンジンをきって俺の隣に座る。
「煙草吸ってもいいかな?」
「ああ、構わない」
宗方は、あらかじめ買っておいた缶コーヒーを俺に渡してくる。
「警戒しなくても、薬ははいってないから」
そう言って宗方は、ニコニコと笑いながら、煙草に火をつけた。
「いただく」
俺は、缶コーヒーを開けて飲む。
「俺をずっと探してただろ?観月さんを使って」
煙草の煙を窓の外に、吐きながら、宗方はそう言った。
「何で、知ってる?」
「俺達の仲間に接触したやつが、美麗の話を聞いてきたからピンときた。雨宮千歳が、探してるってな」
「俺と美麗の事は、金森から聞いていたのか?」
「ああ、そうだよ」
宗方は、灰皿に煙草を押し付けて消して、缶コーヒーを飲みだした。
「美麗に、何を飲ました?違法薬物だろ?」
「違法?うーん。あの日は、どうだったかな?」
宗方は、考えながら、また煙草に火をつける。
宗方は、甘い香りのする煙草を吸ってる。
「思い出せよ」
こいつが、美麗を抱いたのだと思うだけで胃酸があがってきて俺はムカムカが止まらない。
「エッチしたの、怒ってる?」
「どういう意味だ?」
「雨宮さん、美麗の感度は抜群だったよ。あんたが、躾たの?」
「そんな話どうでもいいよ」
「恍惚な表情を浮かべて、俺によがり狂う姿は最高で、今までした中で一番気持ちいいエッチが出来たよ」
「だから、どうでもいいって言ってんだろうが…」
「そのわりに、顔が怒ってるよ」
宗方は、俺を見てニコニコと笑いながら、煙草を灰皿に押し付けた。
そして、唇の端で、ニヤリと笑いながらまだ続けてくる。
「美麗の喘ぎ声は、可愛かったよ。飴ちゃん、飴ちゃんって何度も言ってた。何回したと思う?5回だよ。動画にあるのは、たった一回。その後、美麗は俺のを美味しそうに食べて飴ちゃんもう一回だってさ」
冷ややかに笑う、宗方の胸ぐらをとっさに俺は、掴んでしまった。
「殴るなら、これ全部流してもいいけど?」
宗方は、ディスクを掲げて俺を見つめた。
「美麗とやった、5時間半の映像全て記憶してる。あの編集された動画じゃない。欲しいのは、これと画像じゃないのか?」
その言葉に、俺は手を離した。
「美麗に、何を飲ませた?」
「あー。あれはね。確か、キャラメルだったよ!」
キャラメル?
なんだ、それ。
*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません*
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