恋に話す

俺は、ハリーさんと常さんと別れて、出勤をしていた。


ルージュに行って、いつもの仕事を終えて、いつものバーに来ていた。


変わらない日常だ。


「飴ちゃん、お疲れ」


「お疲れ」


俺に、京君がビールを持ってきてくれる。


俺は、恋に夏生さんと佐古さんの話をした。


「手紙は、いい案だと思うよ」


「うまくいくだろうか?」


「いくといいよね。だって、会いたいとは、思うよ。私なら、紗綾に会いたいもん」


「そうだよな」


俺は、ビールを飲んだ。


佐古さんと夏生さんをどうにかして、俺は会わせてあげたかった。


お世話になった、夏生さんが最後だというのなら、会わせてあげたい。


「飴さん、今日早くあがれます。だから…」


「わかった」


俺は、京君の言葉に頷いていた。


「恋も行くか?」


「今日は、やめとくよ。私は、先約あるから」


「ピンクの子か?」


「あー。あの子は、違う。変な男についてったきり、見てないから」


「変な男って、誰だ?」


「なんだっけ?何か、変な名前のやつ。真っ赤なお菓子持ってた。ねー、京君」


「うん。名前は、思い出せないけど二回来たよね」


そう言って、恋と京君が話してるのを聞いていた。


変な名前……


変な名前……?


まさか?!


「宗方道理って、名前じゃなかったか?」


俺が尋ねると、恋は、少し考えてから、目を大きく広げて俺を見つめる。


「そうそう。道理どおりって変な名前って思ってたんだ」


「そうか」


俺は、恋の言葉に納得した。


宗方は、やはり接触する機会を狙ってここにきていたのがわかった。


「美麗君と何か関係あるの?」


恋は、そう言って心配そうに俺を見つめる。


「ああ、ちょっとな。でも、今調べてもらってる」


「あっちは飴ちゃんを知ってるんだよ。無理だけはしないでね」


「わかってるよ。ところで、ピンクの子は、元気なのか?」


「連絡がつかないんだよね」


「真っ赤なお菓子、食ってないといいけどな」


俺は、恋にそう言ってビールを飲んだ。


「やっぱり、あれヤバイやつなんだね。渡された時に、何か感じたんだよ」


「一回で中毒性があるって話だ」


「そうなんだね」


「恋も京君も、性を薬で潰されてるのに、こんな話をしてごめん」


俺は、二人に頭を下げる。


「大丈夫だよ。気にしてない。でも、自分のような人は増えて欲しくない。快楽を追求する為の道具に、性を利用されたくない」


「そうだな。わかる。それが、全てだと思って欲しくないよな」


「僕は、飴さんのお陰でそうじゃないと気づきました。まだ、怖い。だけど、幸せを感じてるのも事実です」


「ごめんな。俺は、京君を利用してしまってるよな」


「いいんですよ。利用してるのは、僕も同じたから…」


そう言って、京君は笑ってくれる。


「明後日、またあいつが来るんだろ?飴ちゃんに会いに」


「ああ」


「実際、あいつの人気上がったよな。クールキャラから、まさかの可愛いキャラにかわった。飴ちゃんは、すごいね。美麗にも、色気を生み出したわけだから…」


「そうだな。でも、恋。俺は、あいつを抱くのに美麗を抱けないんだよ。抱くと色気は、消えるんだ」


「わかってる。紗綾もそうだから知ってる。欲望をコントロールしてるからこその色気だ。まるで、私に抱かれてるみたいに紗綾のカメラに向ける視線は凄いよ」


「向こう側に恋がいるのをちゃんとわかってるんだな」


「うん。いつだって挑発されてるよ。受け止めてるけどね」


恋は、そう言ってカクテルを飲み干した。


「もう、会わないのか?」


「さあね。向こうが会いたいなら、状況はかわるだろうけど。今は、会わないよ。じゃあ、来たみたいだから行くわ」


「新しい人か」


「うん。カレンちゃん。可愛いだろ」


そう言って、恋は歩き出した。


「飴ちゃんも、頑張って。しばらくは、守らなきゃいけないんでしょ?」


「ああ、そうなる」


「だったら、会えるうちに色気を作ってあげなよ。バイバイ。おやすみ」


「気をつけて」


俺は、手を振った。


恋は、可愛らしい女の子と店を出ていった。


「飴さん、もうあがりますから」


「うん、待ってるよ」


俺は、京君に笑いかけた。


京君は、服を着替えてやってきた。


「じゃあ、帰りましょうか」


「うん、行こうか」


俺と京君は、店を出て並んで歩きだした。








*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません*

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