知り合いだったの?

次の日、俺は夏生さんの病院に行く準備をしていた。


パンを無理やりコーヒーで流し込み。


服を着替えた。


一人で、食べる食事はさらに食べる気がしない。


食事を終えると早めに、家を出た。


電車をつかって、俺は、夏生さんの病院に向かった。


朝9時ー


夏生さんの病室の前につくと中から楽しそうな声がしていた。


コンコンー


「どうぞ」


夏生さんの声がして、扉を開けた。


「おはようございます」


そう言って、お辞儀をして、顔をあげた瞬間俺は驚いた。


「知り合いですか?」


「ああ、こっちにおいで飴君」


夏生さんに言われて、俺はベッド近くに近づいていく。



「久しぶりだな。飴」


「夏生さんと知り合いですか?」


「なっちゃんか?なっちゃんは、知り合いだ」


そう言って、ハリーさんが俺を見て笑っていた。


「黙っていてすまなかったね」


夏生さんは、そう言って俺に頭を下げた。


「飴が、あの仕事をするって言った時、反対だったんだけどよ。なっちゃんの話をだした時に、応援しようと決めたんだ」


そう言って、ハリーさんは笑っていた。


「夏生さんも、俳優とかだったって事ですか?」


「いや、私は違うよ」


夏生さんは、そう言って笑う。


「昔、つり橋で助けた話、覚えてるか?」


「はい」


「その一人が、なっちゃんだ」


俺は、驚いて夏生さんを見た。


「なっちゃんは、18歳だったな!この仕事を受け継ぐ事になって、絶望してたな」


そう言って、ハリーさんは夏生さんを見つめている。


「夏生さんの、両親がやっていた仕事だったんですか?」


俺は、夏生さんを見つめてそう言った。


「そうだね。自分達の代で終わらそうとしていたのだけれど…。事故でね。二人とも突然いなくなった。私は、継がなくてはならなくなったんだよ。在籍してる人達の為にね」


そう言って、夏生さんは寂しそうに笑っている。


「それで、たまたま行った。あの場所で、急に人生を終わらせようって決めたんだよ。そしたら、ハリーさんに出会ったんだよ」


「そっから、なっちゃんには世話になってる。佐古が一夜を共にできる相手を紹介してもらったりな。今回連絡したら、なっちゃんじゃなくて、観月みづきって人が出るから気になって聞いたらなっちゃんが入院してるって言うから来たんだよ」


そう言って、ハリーさんは夏生さんを見ていた。


「ずいぶん痩せちまったな」


「まぁ、あの日から30年以上は経ちますからね。生きた方ですね」


そう言って夏生さんは、ハリーさんを見つめて笑ってる。


「それは、そうかも知れないけどよ」


ハリーさんの目には涙が、少しずつ溜まってきていた。


「飴君に頼まれてる事は、観月が調べてくれているからね」


「ありがとうございます」


その言葉にピンときたハリーさんが、「美麗が、薬飲まされたのか?」と俺に言った。


やっぱり、この人はすごい。


「これです」


俺は、ハリーさんに少しだけ動画を見せた。


「こいつ、会ったぞ」


「いつですか?」


「あれは、いつだったかな?美麗が、俺を迎えにこさせたな。夕方の生放送があった日だな。だから…」


ハリーさんは、そう言いながら思い出そうとしていた。


「俺が、美麗を呼び出した日です」


ハリーさんより先に俺がそう言うとハリーさんは驚いた顔をして

「やっぱり、飴となんかあったのか」と言った。


「はい、見せるって約束をあの日守ったんです」


俺がそう言ったら、ハリーさんはフッと寂しそうに笑った。


「飴、美麗はやっぱり弱かったな。引き離すべきじゃなかったな。飴と美麗」


「そんな事ないですよ。ただ、複雑に絡まりすぎて中々気持ちがほどけないだけだったんです。今からだって」


「駄目だ。ゲイってバレるより薬の方が絶対駄目だ。何で、美麗がターゲットにされたかな。寺を早くつけるべきだったな」


ハリーさんは、そう言って椅子に腰かけて頭を抱えた。


「ハリーさん、金森翔吾が飴君を動画や写真で脅してるようです。飴君が欲しくて、美麗を陥れたのだと思います。ただ、宗方道理にはそんな事は関係ないのです」


夏生さんは、ハリーさんにそう言った。


「凄腕の弁護士家族がついてるから、揉み消せるって噂は本当か?」


ハリーさんは、夏生さんの言葉にそう聞いた。


「はい、神楽法の家族が関わってるのは調べがついてます」


「そうか、だから捕まらないってか…」


ハリーさんは、そう言って頭を叩きながら何かを考えていた。






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