優しくて好き【美麗】

飴ちゃんに、お風呂に連れてこられた。


俺は、飴ちゃんの手を掴んだ。


「まだ、したいの?」


「駄目だよ。明日仕事だから」


俺は、俯いた。


「こんな、美麗見るの久々だな」


飴ちゃんは、そう言ってニコニコしてる。


カッターシャツが濡れて、飴ちゃんの肌が透けてる。


ドキドキする。


「先に、床、拭いてくるよ」


そう言って、飴ちゃんは洗面所の床を拭きに行ってしまった。


暫くして、飴ちゃんが戻ってきた。


飴ちゃんは、お風呂場の扉を閉めた。


洗面器にお湯をすくって、肩を暖めてくれる。


「飴ちゃん、優しいね」


「そうかな?」


飴ちゃんは、優しい。


俺は、飴ちゃんの手を黙って掴んでた。


「本当は、綺麗にされたかった?」


飴ちゃんは、そう言って掴んだ俺の手を握り返してくれた。


「俺は、飴ちゃん以外に、あんな顔したくなかった」


涙が流れては、お湯に落ちてくのを俺は見つめていた。


「泣かないの」


飴ちゃんは、そう言って、俺の頬に手を当てて親指で涙を優しく拭ってくれる。


「飴ちゃん以外に、あんな顔したのが許せない。死にたい。消えたい。汚い。気持ち悪い」


俺は、自分を否定する言葉を全て吐いた。


「でも、キスだけでそうさせれるのは俺だけだよ」


飴ちゃんは、ニコって笑って、俺の背中に優しく指を這わせた。


飴ちゃんのカッターシャツが、また濡れていく。


「体を貫く快感を人は、求めがちだけど…。本当に肌を重ねるって事は、思考も心も体も気持ちよくするって事だよね」


飴ちゃんは、そう言いながら、俺の腕をさわってくる。


そうだった。俺は、飴ちゃんと肌を重ねた時に感じたんだ。


ただ、れられる事だけで気持ちいい事を…。


飴ちゃんは、欲望のままに肌を重ねたりしない。


だから、俺は、飴ちゃんに体を撫でられるだけで溶けていくのだ。


飴ちゃんは、俺の肩を優しく撫でる。


「髪も、体も洗ってあげるよ」


「い、いいよ。そんなの」


「駄目だよ。綺麗にしてあげるから」


飴ちゃんは、そう言って優しく笑ってる。


飴ちゃんは、お風呂から俺をゆっくりあげると風呂椅子に座らせた。


「まずは、髪の毛からだな」


そう言って、シャツの腕をめくって、俺の髪の毛を洗ってくれる。


飴ちゃんの指が、首や耳の近くにれるだけで気持ちよさがやってくる。


飴ちゃんは、優しく流してくれてから、俺の前に座った。


飴ちゃんは、足から順番に優しく手で、丁寧に俺の体を洗ってくれる。


泡立てた泡と、飴ちゃんの掌の感触が凄く気持ちいい。


足の指を一本、一本丁寧に洗われる。


忘れてた。


飴ちゃんは、年に一度だけ、俺にこれをしてくれる。


キスだけで果ててしまう俺の為に…。


こうやって優しく洗ってくれる。


ただ、体を洗ってくれてるだけなのに全身を愛撫されてるような感覚がする。


そして俺は、何度も洗われてる最中に果てるのだ。


そして、丸一日動けなくなる。


「飴ちゃん、帰れるかな?今日」


そう言って、俺は泡だらけの手を飴ちゃんの頬に当てた。


「さあ、どうかな?もう、大丈夫なら帰れると思うよ」


「また、なってるから聞いてるんだよ」


飴ちゃんは、俺を見ないようにしてふくらはぎをマッサージしてくれる。


「飴ちゃん、ごめん」


俺は、飴ちゃんにそう言った。


「ハハ、かけたかったか?」


飴ちゃんが、笑ってそう言った。


「脱いで、カッターにかかったでしょ?」


「大丈夫だよ」


その言葉に、涙が出てきた。


「気にしないでいいんだって」


飴ちゃんは、カッターシャツにかけた事を気にしてると思ったのか、そう言いながらカッターシャツを脱いでいた。


俺は、飴ちゃんの肌を見れたのが、嬉しかった。


そんな俺の気持ちなんか気づいてない飴ちゃんは、太ももを洗ってくれていた。


「飴ちゃん、またどうしよう」


「いいよ、好きなだけどうぞ」


飴ちゃんは、そう言って笑ってくれていた。


「飴ちゃん、恥ずかしいよ」


飴ちゃんは、マッサージするみたいに優しく丁寧に体を洗ってくれた。


飴ちゃんにれられて幸せで、幸せで、失望した気持ちが薄れてくのを感じる。


それは、飴ちゃんが俺を何度も何度もその気にさせるからなのだとわかった。


「失望した気持ちがなくなってきたか?」


飴ちゃんは、そう言って優しく体を流してくれて、ゆっくり俺を立たせた。


やっぱり俺は、膝に力がはいらなかった。


「そこにもたれて立ってて」


飴ちゃんにそう言われて、洗面所にもたれて立った。





*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません*

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