魔法学園のエリートはVtuberを舐めている! ~たとえ百合営業に巻き込まれても私が親友に惚れるわけがない~
第22話 【宙才エリス/個人Vtuver】改めて初めまして! 超天才魔法使いVtuver、ママと一緒にデビューだよ! ゲーム配信もしちゃう!【メスガキローグライク】 そのご
第22話 【宙才エリス/個人Vtuver】改めて初めまして! 超天才魔法使いVtuver、ママと一緒にデビューだよ! ゲーム配信もしちゃう!【メスガキローグライク】 そのご
「ふーん、だ」
「ごめんなさい」
コメント
・ごめんて
・すねないで
・クリアできて偉い!
・<冷やし鍋ラーメン>すねてても可愛いよえりりん!
・めんどくさかわいい
私はすねた。頑張ってクリアしたのに、誰も褒めてくれないので、すねました。
みんなにとって簡単かもしれないけど、私にとっては大変だったんだもん。ちょっとくらい褒めてくれたっていいじゃん! む~!
「もう、ママがやって」
「え、いや……」
「やって」
「だから」
「やって」
「……はい」
コメント
・やるしかない
・機嫌直しておくれ
・ママ、頼んだ
・やっぱり小学生では?
・しっ、今は機嫌を取るんだ!
「下僕のみんな! 見えてるからねっ!」
コメント
・ありがとうございます!
・下僕呼び助かる
・沁みるぜ
・<冷やし鍋ラーメン>なんだろこの気持ち……これが、恋?
・下僕呼びで目覚めてしまった人がいますね……
「もうっ! もうっ!」
§
「あー、えっと。それじゃ私が進めていきます。一応ラスボス前になったら返すからね」
「つーん、だ」
「ラスボスはやるんだよ?」
「む~……は~い」
コメント
・お魚ほぐしてあげてるママを幻視した
・これが親子百合ですか
・親子百合というか、単なる親子
「じゃあまずアビリティが開放されてるのでアビリティ部屋に行きます」
「え、なにそれ!? ずるい!」
「ずるくはないわよ? ボスを倒したから開放されたんだし、今からでもえりりんが使えるし。やっぱり代わる?」
「やだ。ママがやって」
「はいはい」
ユウが苦笑いをして、コントローラーを操作する。ダンジョンの扉とは逆方向に進んで扉をくぐると、いくつか銅像があった。
銅像を調べるとポップアップが出てくる。これで選択するみたいだ。
ナレーション
「ダッシュを有効にしますか ▶はい いいえ」
ナレーション
「ターボを有効にしますか ▶はい いいえ」
ダッシュと、ターボ。どっちも移動速度を上げるアビリティらしい。
ユウはそれを有効化した後も部屋から出ずに、部屋の端っこに移動してジャンプをし始める。
「それと、隠し部屋。ここで三回ジャンプすると地面が崩れて入れる」
「お~!」
がらがら、と地面が崩れると先ほどのアビリティの部屋とよく似た部屋があった。銅像の色が金色になっているくらいしか、違いが判らない。
ユウが金の銅像を調べて同じように操作をする。
ナレーション
「全体速度変更 等倍 二倍速 ▶三倍速」
ナレーション
「全体ダメージ変更 等倍 二倍 ▶三倍」
「これでよし」
「え、なにこれ」
コメント
・気のせいじゃなければ敵味方関係なく、三倍速で三倍ダメージでは?
・高難易度モードかな?
・でも道中無敵で、最強武器なら単なるバフじゃない?
あ、そっか。私がさっきしてもらったものも継続してるんだもんね。それじゃあ単に早くて、こっちのダメージが三倍になったってことか。
「そう。ここまで強い状態なら敵からのダメージ増えたところで変わんないし、ちゃちゃっとやっちゃえばいいかなって」
「ほえ~、そんな便利機能があるんだ」
「えりりんは等倍にしておこうね」
「なんでそんな優しい顔で諭してくるの!?」
失礼だよ! 私だって慣れてくればいつかは倍速とかでも出来るようになるよ!
コメント
・残念ながら当然
・言いすぎるとまたすねるよ
・初めてのゲームだからね、ちゃんと元の調整で遊ぼさせてあげようって親切心だよ
・心折心じゃなくて?
む~、みんな私のことを侮ってるな? 私がすごいってところ見せてやらなきゃ。あ、でも今はユウに代わってもらってるんだった。ラスボスの時に驚かせてやる!
「それじゃ十分で終わらせるわね」
「……え?」
§
コメント
・RTAかな?
・あまりの速度に目が追い付かなったぞ
・十分どころか、五分で終わったが?
爆発エフェクトを伴いながら地面に落ちていく第四ボス。道中のボスもすべて瞬殺だった。ちなみにみんな花の敵で攻撃パターンは……見る前に終わっちゃった。
「まあ、三倍だし、こっちは最強セット連打で終わりだからね」
「す……」
「ん?」
「すっごい! ママすごい!!! かっこいいよ~!!!」
コメント
・うるせぇ!
・馬鹿デカ声量で草
・鼓膜のスペア切らしてるのにどうしてくれんの?
・えりりん、ママのこと好きすぎでは
思わず抱き着いてユウのことを褒める。私には全然できなかったことを、さも当然のことのように済ませてしまう姿に、心がきゅんってきた。やっぱりユウは天才だよ!
「えへへ~。すごいすご~い」
「なに、なんなのもう……ほら、終わったから最後はえりりんの番ね。速度とか戻すからちょっと離れて?」
「む~、やだ」
コメント
・あら~
・抱き着いてる? これ抱き着いてます?
・うすうす察してはいたけれど、やっぱオフコラボかこれ
・ママと一緒にオフコラボデビューとは、また新しいな
「バレちゃった。そうだよ~、ママは私のとなりにいます~。えへへ~」
「まったく……はい、離れて離れて。続きやるよ」
ユウが私の腋に手を差し込んで、私を持ち上げようとする。さすがにユウの力で体が浮いたりはしないけど、仕方ないから離れてあげる。
そうして距離が出来た時、ユウの色が――私への好意、かわいいって色になっていたのに気が付いた。喧嘩をしてからずっと見ることが出来なかった色。私の大好きな色。あったかくて、きらきらとしていて、その色に染まったユウが大好きで――。
私は思わず、ユウにキスをした。
「――――へ?」
「よ~し、ラスボス戦、頑張るぞ~!」
コメント
・いいか、ここから二時間は覚悟せよ!
・楽しんでいこうぜ!
・ちょっとお風呂行ってくる
・晩御飯食べながら見ますね
・<冷やし鍋ラーメン>頑張れえりり~ん!
「がんばるよ~!」
「――――はえ?」
§
「や………………」
思い切り、息を吸い込んだ。
「っっっっった~~~~~~~~!!!!!!」
「うるっさ!?」
コメント
・長く苦しい戦いでした……
・一時間半。二時間切ったぞ
・おめでとう!
・<冷やし鍋ラーメン>おめでとう!!!! すごい!!!
・いや、普通に難易度高かったから偉い
・特定タイミング以外無敵系だったし、普通の難易度だとかなりきつそう
それまでのお花ダンジョンとは打って変わって学校の備品の姿をした敵が出てくるダンジョンだった。ラスボスは車がいくつも合体して出来た機械の怪物で、目を開いているときは攻撃が効かないし、速度の速いタイヤとかを飛ばしてくるからすっごく大変だったけど、なんとか無事にクリアできた。
そして、画面が光に満ちてエンディングが始まる。
主人公
「ここ、は……」▼
ナレーション
「見知らぬ白い天井。ベッドに横たわる自分。腕に付けられた点滴が、ここを病院であることを教えてくれた」▼
主人公
「びょう、いん……? なん、で」▼
少女
「おにーさん……? おにーさん! 目を覚ましたんだね!? ナース、ナースコール!」▼
主人公
「あ、れ……? 君、は……」▼
こうして種が明かされる。つまり、このお話は……。
「そっか、メスガキングちゃんは主人公を目覚めさせるために相互呪縛呪詛式を使ったんだ。呪いによる契約が果たされるように、主人公が目を覚ます、っていうのをこの子が利用した……そういうことだったんだね!」
「正解。ちなみにゲーム内だと明かされてないけど、多分学校からの帰路の途中で、交通事故にあって意識不明なってしまったのだと思うわ」
コメント
・な~るほど!
・私のことを好きにしていい(だから早く目を覚まして)って意味か
・いい話かよ
・途中までずっと花だったのは、園芸部なのか、病院で花を渡されていたのか
・ラスボスが車の化け物だったのはそういうことね
・え、でも呪いが残ってるからマジで好きにしていいってことですよね?
・ぐへへ……
ナレーション
「そうして二人は約束を果たした」▼
少女だった女性
「ね、あなた。私にしてほしいことはあるかしら」▼
主人公
「ああ、いつまでもそばにいてくれ。それだけでいいさ」▼
少女だった女性
「もう、もっと色々してくれてもいいのに」▼
ナレーション
「彼らがどんなことをしたのか……それは彼らだけの秘密である」▼
――END.
「結婚だ~! 完璧なハッピーエンドだ~!」
コメント
・どんなことをしたのかは!?
・スチルは!?
・健全エンドだと!?
・メスガキワカラセはどこへいったんだ!?
・<冷やし鍋ラーメン>誰一人ハッピーエンドに喜んでない!?
――こうして、想定外のことがあったり、すねたりもしたけれど、私のリベンジ配信は無事に楽しい結末を迎えることが出来たであった。めでたしめでたし。
「アリス、さっきの行動についてお話があります」
「……はい」
でも、配信が終わった後はダメでした。
そういえば……い、いいいい、勢いでキスしちゃった~~~!?!?!?
※作者による読まなくてもいい設定語り
メスガキローグライクは、花を愛でることが趣味の心優しき青年が学校の帰りに交通事故にあって植物状態になってしまい、それに対して青年に惚れていた少女が自分の人生を犠牲にするという強い誓約を課すことで強化した呪いで青年の魂に干渉し、現世に連れ戻す――というとてもシンプルなストーリーである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます