魔法学園のエリートはVtuberを舐めている! ~たとえ百合営業に巻き込まれても私が親友に惚れるわけがない~
第18話 【宙才エリス/個人Vtuver】改めて初めまして! 超天才魔法使いVtuver、ママと一緒にデビューだよ! ゲーム配信もしちゃう!【メスガキローグライク】 そのいち
第18話 【宙才エリス/個人Vtuver】改めて初めまして! 超天才魔法使いVtuver、ママと一緒にデビューだよ! ゲーム配信もしちゃう!【メスガキローグライク】 そのいち
【宙才エリス/個人Vtuver】改めて初めまして! 超天才魔法使いVtuver、ママと一緒にデビューだよ! ゲーム配信もしちゃう!【メスガキローグライク】
#Vtuver #個人Vtuver #天才えりりん配信中 宙才エリス.Ch [チャンネル登録]
コメント
・待機
・待機
・そろそろだね
・サムネ可愛すぎん?
§
前回はたった一人しかコメントがなかったのに、配信が始まってすらいないのに何人ものコメントが流れている。その様子を見て私はどこか怖くなった。
エリスちゃんが影響力を持つ人間を利用しない手は無いとユウのアカウントで宣伝した。たったそれだけでここまで人が増えるなんて。
私が考えていた以上にユウの影響力は凄いみたいで、何も知らなかった自分を少し恥じた。
さっきもユウとエリスが何か言い争いしてたみたいだし、仲直りだってまだちゃんと出来てない。本当に上手くできるのか。緊張で身手が震えてくる。
「えりりん、深呼吸して」
「う、うん。ママ」
意識して大きく息を吸って、ゆっくりと吐く。
配信の準備を始めた段階でお互いの呼び方を変えるように言われた。事故はどれだけ気をつけても発生するから、配信部屋に入った時点で切り替えなきゃいけないらしい。
ピリッとした空気感。手元にあるカンペが手汗で縒れる。自分の呼吸音が聞こえてきて、意識しないと呼吸すら上手くできなさそうだった。
隣に座っているユウは、私みたいに緊張してるのかわからない。けれど、とても真剣な表情でコメント欄を見ている。こんな時だけど、ちょっとかっこいい。
でも感情の色が無色だ。つまり私に向けての感情が全く無いということ。隣に座っているのに、ユウの意識は全て配信に向かっている。それが、少し寂しい。
「始めるよ」
「うん、ママ」
その寂しさは、始まりの合図で掻き消えた。
が、頑張るぞ……!
§
「みなさん初めまして! 超天才魔法使いVtuberの宙才エリスです! よろしくお願いします! そして!」
「初めまして、エリスのママであり、マカロンです。よろしくお願いします」
「ミックスマシュマロまんじゅう48ママに来てもらいました~!」
コメント
・きた
・はじまった。まんじゅうせんせ~!
・<冷やし鍋ラーメン>二人とも声かわいいいいい~~~!!!
・せんせー女だったの!?
・想像以上のかわボ
・誰かマカロンにつっこめよ
「マカロンにつっこめだって。ママなんでマカロンの姿なの? そんなに日持ちしないよ?」
「そりゃマシュマロでまんじゅうだから、あんま予想できるお菓子にしたくないからね。できたてほやほやだから日持ちの問題はしなくていいよ」
「え~、でも次の配信までは持たないかも?」
コメント
・最初から賞味期限の話?w
・なんだか独特な感性をお持ちですね・・・
・絶妙に力が抜ける
・マカロンが口開きながらしゃべるのシュールだな
・中身出そう
§
『いい、アリス。まず最初の配信は自己紹介と、いろんなルールを決めること。初めて見てくれた人に、どういった形でこの配信を楽しむのかを理解させる必要があるからね。アリスも初めて触れてみたゲームで操作説明がないと困るでしょ? 前提の共有は大切よ。宙才エリスのコンセプトは以前にも説明したわよね。まずそれをリスナーに伝えなさい』
§
「それじゃ早速自己紹介! まずエリスからね! え~と、まず天才でしょ。美少女でしょ。頭がすごくいいでしょ。それでいて天才! 完璧! 完璧なエリスちゃんで、天才えりりんとか、完璧えりりんとか、パーフェクトえりりんって呼んでください!」
「すごいあたまのわるいじこしょうかい」
「天才なんだけど!?」
コメント
・これは天才(笑)ですね。わかります。
・<冷やし鍋ラーメン>えりり~ん!!
・魔法使い要素どこいった
・すごいポンコツ臭がします
「う~! コメントのみんなまで……次はママ!」
「はい、改めましてみなさんこんにちは。中身がおっさんだと言われて依頼に乗じて未成年とお近づきになろうとしてるってあらぬ噂を立てられた魔法絵師、ミックスマシュマロまんじゅう48です。本日は娘のデビューにお越し下さりありがとうございます」
「あ、そうだ。みんなきてくれてありがとう!」
コメント
・草
・すまん正直思ってたw
・まんじゅうせんせはかわいい女の子だってずっと言われてただろいい加減にしろ!
・マジで声可愛くて好き。せんせ付き合ってください
「ママは私のだからダメです! じゃあ次にどんな配信するのかをお話しするね~!」
カンペとコメント欄を行ったり来たりしながら必死に喋る。ユウの言いつけ通りにとにかく沈黙がないように、それでいて独り言にならないように。
前回とはまるで違うコメントの速度に頭が混乱してくるけど、とにかく焦っちゃダメ。落ち着いて、でもテンションは高めに。
§
『Vtuver、というか現代において人というのは飽和しているの。魔法使いは貴重だからまだマシに思えるかもしれないけど、これすら時間の問題。技術の発展は人の可能性を広げると同時に人の居場所を奪う。誰でも良いのなら選ばない。選ばれないの』
ユウの言葉を思い出す。
『娯楽でもその人だから得られる何かがあると感じさせないと意味が無い。ただ女の子ってだけ。ただゲーム配信するだけ。それだけじゃ次に繋がらない。そんなのいくらでも代わりが効くんだから。だから、初回じゃなくてもいい。そういった楽しみを追っていれば必ず出会えるんだと、期待させなさい。いい、アリス。貴方は――』
§
「配信内容は基本的にはゲーム配信、それと魔法について雑談をしていこうって思ってるよ~!」
コメント
・<冷やし鍋ラーメン>え、いいの?
・魔法の話ってかなり秘密にされてない?
・魔法使い要素まじであるのか
「うん。もちろん話しちゃいけないこと……例えば詠唱を伝えたりとか、魔法文字をそのまま映すとか、そういうのはしないけど、魔法ってこういうルールがあるよとか、魔法科学による影響とかそういうのならお話出来るから」
魔法は秘匿されるべきというのが一般的な考えだ。実際に一般に広まってしまうと効果に変化が起きてしまう魔法だってある。けれど、その全てを秘匿する必要はない。既に学園長から許可はもらっているし、話すことが縛られていたとしても魔法に関してなら私はいくらでも語れる。
これがユウが考えてくれた、私の配信を見ている人だけの特権だと感じさせる要素。リスナーを繋ぎとめるためのカードだ。
「でもでも、最初に言った通り基本的にはゲーム実況でみんなと一緒に楽しく出来たらいいなって思ってます! あと配信時間は基本的には平日は夜に、休日はお昼とかにできたらいいなって!」
コメント
・りょーかい!
・そういえば学生なんだっけ
・魔法雑談楽しみにしてる!
ポジティブな反応が多くてホッとする。けど、それと同時に悪意フィルターの反応がかなり増えた……本当に、魔法使いってだけで攻撃してくる人っているんだね。ユウに事前に教えてもらってなかったら、きつかったかもしれない。
でもネガティブな部分ばかりに目を向けるのは禁止。楽しんでくれている人たちのことを見ていないと、迷走するから。だから元気出せ私! ……これもユウに言われたことなんだけどね。
「それじゃ次に見てくれている人たちのファンネームを決めるよ~!」
§
『ファンネームやタグといったものは一体感を示すために必ず決めなさい。自分はこの人のファンなんだ、ということを他人に示す言葉があるだけで、ファンは安心したり誇ったりする。ある種のアイデンティティね。これに関しては自分でも何個か案を出すこと。迷ったときはリスナーにも聞きなさい。アンケート機能の使いかたは教えたし、それを使ってもいいわ』
§
「というわけで、さっそく私からファンネームの提案! 同級生ってどうかな!」
「天才っぽさ皆無。えりりんの下僕たちとかにしたら?」
「ママ!?」
コメント
・草。はい下僕になります
・同級生……青春じゃん
・こんなかわいい子の同級生になりたかった。下僕でもいいです
・天才(笑)を追いかけ隊とかどうっすか!
・こういうのぱっと思いつかない
・えりりんの下僕、わりと好き
「えぇ……なんでみんな下僕になりたがるの……」
※作者による読まなくてもいい設定語り
自作シリーズ『犠牲者は聖女』の番外編である、と以前の設定語りで書いたが、他の番外編や本編と、この作品で書かれる魔法は根本的に違っていたりする。それは魔素の性質が違うためであり、太陽変質での災害の種類が違うからである。この世界線の魔素の性質は”安定”であるため、一回安定してしまえばかなり平和である。
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