おじいちゃんとの朝

「はぅぅ……。おじいちゃんの膝枕サイコー……」

 今日も今日とて縁側でぼんやり座っているおじいちゃんの膝を頬ですりすりしながら、私は惰眠を貪っていた。

「そうかそうか。喜んでもらえてなによりだ」

「で、今日はなにを企んでるわけ?」

「あはは。今日はなにも企んでおらんぞ?ただこうして座っているだけだ」

「そんなこと絶対ない。絶対なにか企んでる」

「なにもない。本当になにもないぞ?」

 おじいちゃんの朗らかな笑みが、そうではないことを告げていたけれど、それ以上はきかず、私はまた頬をすりすりし始めた。

 いつの間にかぐっすりと眠ってしまっていた。

 おばあちゃんとの結婚記念日は今日だった。

 いつも結婚記念日に、朝早くからおじいちゃんはおばあちゃんを連れて買い物に出かける。

「ちょっと遅れてしまうなぁ」

「かまわん。たまには孫の寝顔を見守るのも、祖父母の務めであろう」

 おばあちゃんにも優しく頭を撫でてもらっていたと、お母さんからきかされたのは、私の好物の(おじいちゃんがいつも買ってくれる)壺漬けを食べている、もうお昼もだいぶ過ぎた頃だった。

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