ママとの夜
「ママのご飯って、正直あんまり美味しくない」
「いいのよ。お腹に入れば全部同じでしょ?ただ温かい白ご飯と温かいお味噌汁と温かい焼き魚を食べることができる。それに満足できるのが人生よ」
「強欲に頂無しだよママ。たまにはいちご、美味しいご飯食べたい」
「なら、次元に頼むことね。あの人、意外と料理上手なのよ。もっとも、こう家を空けてたらそう簡単に頼めないでしょうけど」
ママはいつもこんな感じで、私がいっていることはあまり気にしてくれないのだ。
「ねえ、ママ」
「なあに?」
「次元と結婚してくれてありがとう」
「いまさらなによ。いいのよ、そんなこと。それに、私けっこう次元のこと好きだから、いずれはこうなってたと思うわ」
「でもさ、それでも、やっぱり、ありがとう」
「そんなこといっても、ママの料理の腕は上がらないわよ」
そういうママを、私はギュッと抱きしめて
「ママ、誰かに食事を出してもらえる生活って、こんなに幸せだったんだね」
私はちょっとだけ、泣いていた。
「……、明日は少し、美味しいご飯になるように、ママ頑張ってみるわね」
ママはそうつぶやいて、私の頭を優しく撫でてくれた。
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