パパとの夜

「パパ~」

「だから俺をパパと呼ぶんじゃねぇ」

 帰ってきたパパに抱きつこうと思ったら、怒鳴られてしまった。

「いいじゃん。パパはパパなんだし」

「パパっていっても、戸籍の上だけだろう。そもそも俺たち家族全員血縁関係はないんだ。そんな温もりなんていう言葉が出てきそうな呼ばれ方は嫌いだぜ」

 さっさと上着を脱いで、椅子に腰かけ、すかさずバーボンを取り出し、一服しながらパパはそういった。

「ま、私が無理いって養子縁組やら結婚やらをさせちゃったんだから、呼び方くらいパパの好きなのでいいか。で、なんて呼んでほしいの?」

「次元でいい」

「いいの?」

「信じた奴にはそう呼ばれたいのさ」

「ふうん。じゃあ、次元、遊んでよ」

「おう」

 それから少しの間、次元とポーカーで遊んだ。

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