煙草とライムガム

@akiysd515

第1煙 邂逅

「よ、少年。」

「どう…も。」

「一体こんな時間にこんなに寒い川辺で、なんだタバコでも吸うか?」

「突然なんですか…。まだ未成年です。」

「なんだとぉ?もう24時は回ってるぞ?悪い子だねぇ。」

「まぁ、星でも見ようかなと思って。」

「おっ、奇遇だねぇ私もなんだよ。」

「嘘…。」

「せいかい〜、お姉さんは煙草を吸いにきました〜。」

「いや、隣座らないでくださいよ。」

「つれないことを言うんじゃないよ!」

「お姉さん、もしかしてお酒も?」

「ああ!飲んでる!」

「やっぱり…。」

「なんでわかったんだい、少年よ!」

「そんなテンションだったら誰でもわかると思いますよ…。」

「そうかね、では少年?君はお酒を飲んだことはあるかい?」

「無いですよ、未成年ですから。」

「未成年ねぇ、アルコールがないから逃げられないのかもねえ。」

「どういうことですか?」


「少年、辛いことがあったらまたここにおいでよ。」

「…?別に辛いことがあるわけじゃ無いんですが…?」


「嘘。わかるよ。」

「勝手に決めつけないでください。」

「また会おう、少年?」


彼女はパーカーのフードを被りながらそう言うと2本目のハイライトを口に咥えて火をつけると、右手をひらひらと振って去っていった。


土手の上にある街灯に当てられて、彼女の銀に染めた髪が照ってゆれた。

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