第2話
「んで、本当にどなたなんですか?」
「いや、あんたの息子だよ」
「こんなかわいい息子なんていないわ!第一あなた女の子でしょ!」
「あぁもう、こっちだってわけわかんないよ!」
本当にどうしちゃったんだろうね。
説明しようとも現実離れしすぎてどう話しても信じてもらえない。
といか説明しようもない、朝起きたら角の生えた女の子になってました?そんなばかな話があってたまるか。
あってしまったんだけども・・・
「じゃあ、あんたが本当に雪夜だっていうなら黒歴史な質問するから答えなさい」
「なんで母さんが僕の黒歴史なんて知ってる!!」
「そりゃ私の息子だからよ」
「え、本当に知ってるの?答え合わせしなきゃダメなの?」
「信じてほしいなら答え合わせでも何でもしましょうか」
息子の文化祭にJKコスして姉と偽って遊びに来た母にそんなこと言われるのは、心外だし一緒にしてほしくはないが黒歴史を知られているかもしれない事実に動揺を隠しきれない。
「もうやだ、なんでそんなに知ってるんだよぉ」
「いいじゃない。証明になったんだから私にとっては大事な思い出よ」
そして、根掘り葉掘り自分にとっての黒歴史をクイズ形式で出されては、ひたすらに心を抉られ続けた。本当どこで知り得たのか謎であるし思い出したくない過去を次々に暴かれてSAN値がピンチ。
「じゃあ、出かける準備をなさい。暫く学校をお休みということを連絡しておくから」
「うぇ?どこに行くの?」
「決まってるでしょ?病院よその変な角もどういうものかわからないし、わからないなら調べるのは当然でしょ」
「そっか、わかった着替えるから玄関で待ってて」
母さんも色々考えてくれていたことに感謝をしつつ少しぶかつくが小さめの服を選びベルトでウエストを抑える形で着替える。そして、寝癖を整えるために洗面台に向かい鏡を見た際、初めて自分の姿と対面し新たな事実に息を吞む。
「っ!?うっわぁ、まじかぁ、え?本当に?」
そこに映るのは長年遊んでいて昨日サ終してしまったゲームのキャラ、【アナスタシア】だった。
「どうしたの?もう車の用意もできてるんだからさっさと来なさい」
「え?あ、いや鏡に映る自分に驚きを隠せなくてちょっとフリーズしてた」
「あ、そっかぁ。こんなにかわいく変身してちゃそりゃ驚くわよねぇ」
「うん。それだけじゃないんだけどそうだね。うん、準備できたから今行く・・・」
「??」
こうなってくると先の展開も見えてきてしまう。そしてこれはメタ読みになるが自分だけが起きた現象ではないはずだ。緊張で体が震えるが一先ず病院へ行こう。
「そういえば、どこの病院に行くの?」
「言ってなかったっけ?こう言ったオカルトじみたものは国営で大きな病院の四方院大学附属病院が良いらしいわよ」
「ふーん?」
四方院大学附属病院。皇家直属の4つの名家に管理を任されている国営の病院。埼玉県の奥地にあり、4つの駐屯地に囲われた風に建てられている大きな病院らしい。最近になってから急にニュースなどにも、話題になっておりネットでは立地や専門としている分野がオカルトじみていて何かと怪しいとも騒がれているらしい。
「あそこは、脳医学と細胞研究も盛んらしいから何かしらヒントを得られるかもしれないし一先ず行ってみましょう」
「危険じゃない?なんか怖いんだけど・・・」
「国営なんだし平気じゃないかしら?」
「適当だなぁ。人体実験とかあったらめちゃくちゃ怖いんだけど本当に大丈夫?」
「・・・多分、えっときっと、大丈夫よ?」
「ちょっと、不安を煽る返事やめてよ。マジで怖いじゃん」
「その時は私の方でどうにかするわ。何もわからず現状維持も危険だから、先ずは行動!ね?」
不安が残りつつも一先ず母を信じ件の病院へ向かう決意を固める。しかし、待っていた現実は自分が思っているより重たい結果だったことをすぐに知ることになった──。
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