カオスフィクション
SNOW
第1話
楽しかった日々もいつかは終わりを迎えるわけで、どんなに楽しかったゲームもただエンディングを迎えるか続編の布石となるかは別としてもサ終というものが必ずやってくるわけですよ。
大人気だったMMORPGも20年目にしてついにサ終が発表されて僕は今絶望のど真ん中です。いうて初めて3年しか遊んでいないんだけれども。それでも好きなものが一つ消えるだけで趣味が少ない人間にとっては致命的な出来事と言えると思う。
「あぁ、終わっちゃうのかぁ・・・」
悲しい、鬱い、活力が失われていくのが目に見えて現在悲しみ増大中。でも指は止まらない・・・楽しいから。サ終ギリギリまで遊び尽くす決意とともに現在夏休みを消化中の高校1年生であります。
昨今のMMOにしては珍しくもソロでも遊べる仕様が存在するこのゲームは、自分の趣味にドンピシャで毎日が楽しかったのだ。
最近のコンシューマーゲームや他の趣味に対する熱量があまりないためサ終後の未来が怖くて仕方がない。
「よし!とりあえず残りの時間かけて最終ジョブのスキルとレベルカンスト目指すぞ!」
そして出来上がったキャラクターのステータスがこちらである。
NAME:Anastasia
Race:Aura(Female)
LV.150
1stJOB:Sage 2ndJOB:Monk 3rdJOB:Panacea
名前はアナスタシア。キャラクリで女性型(Female)にしている理由は装備デザインの華やかさが1番の理由だ。男性型は武骨でかっこいいけれどデザインが偏っており自由な組み合わせが少ないため結果的に女性型にしている。ちなみに自分の趣味全振りのキャラクリでもある。
身長150後半、透き通った白髪に赤いメッシュが混じっており耳が隠れるように生えた2本の角、桃色の瞳の中に光の輪がありトカゲのような瞳孔がインパクトを与え神秘の体現と言える力作といえるだろう。
レベルも何とかカンストである150を迎えることが出来たのは僥倖である。1次ジョブの回復職セージ、2次ジョブは突貫力と自己バフに特化したモンク、そして最終ジョブは回復支援特化型のパナケイアだ。
ソロで長く戦う方法を考えた末出来たこの組み合わせは、一見中途半端に終わりそうに見えるが意外にも巧く刺さりサ終直前になる頃になって今更二つ名プレイヤーとして『狂聖女』『ゾンビヒーラー』なんて呼ばれるようになって嬉しいような悲しいようなといった感じだ。
「心残りありまくりだけれどやれることは全部やったよ・・・」
嗚呼、本当に終わってしまうんだなぁと虚無感と開放感で感情が入り混じり視界が歪む。拠り所一つ失うのがこんなにつらいものなのかとようやく実感が出てきたのだ。暫くはやりたいことも特にないしラノベや漫画でも読み漁ってようかなと考えながら、ゲームの終焉を待ち続けながら椅子で眠りについたのだった──。
気が付くと日が昇っておりパソコンの電源は落ちていた。どうやら椅子から床に転がり寝落ちしてしまっていたらしい。ゲームの最後も迎えることもできなかったことに寂しさが募る。
「んぁ?あれ?」
服がダボついて動きづらい、全身がやけに軽く感じるのも変だし何より自分から発したとは思えない可愛らしい声に心臓が縮むような感覚に陥る。
「いやまさかね、そんな馬鹿な、マンガじゃあるまいし HA HA HA・・・」
そっと耳元にある角に触れることにより無理やり意識が引き戻される。こういう時はあれだ。二度寝をしようそうしよう。次目が覚めてるときは全ては幻、妄想、何もなかったOK。
「ちょっと~?いつまで寝てるの?」
「あっ」
「「・・・・・・・」」
ドアが無慈悲にも開き母との突然の対面と流れる沈黙が心を抉る。
嗚呼、諸行無常。こういう時ってタイミングが悪いことで有名だよね。
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