第15話 お姉ちゃんとちゅーしよ?

「ふふふっ、柚希……んふふふっ、柚希、美鈴の柚希……柚希の美鈴」

 ―まさかクラスでもそこそこ中心人物の柚希とこんな関係になると思ってなかったな、柚希とこんな風に……こんなに柚希の事、大好きになると思ってなかったな。


「んふふっ、柚希……ちょっと困っちゃったな。ふふふっ、柚希……えへへ」

 ―本当に大好きになっちゃったな、柚希の事。本当に、柚希だけの美鈴になっちゃったな……もう柚希じゃないと、満足できない身体になっちゃったな。


 ―柚希が美鈴の事見てくれないと、柚希が美鈴だけを見て、感じてくれないと……ふふっ、ちょっとわがままだけど、柚希には美鈴だけ、見てて欲しいな。


「柚希、大好き……大好きだよ、柚希」

 ―明日からは、また「手塚君」と「委員長」の関係だけど……アハハ、それじゃ満足できないかもな、私。


 ―委員長なら耐えられるけど、柚希を知っちゃった美鈴ならもう耐えられないな、多分。柚希専用になっちゃった美鈴は、もうそんなの耐えられないな……だから。


「ふふっ、柚希大好き……明日からもよろしくね。美鈴の事よろしくね、柚希」

 ―これからもずっと、よろしくね。ずっと美鈴の事見て、美鈴の事可愛いって、大好きって……いっぱいいっぱい、言ってほしいな。


 ―柚希だけの美鈴だから、柚希限定だから……これからも美鈴の事、いっぱい見てね、柚希♪



 ☆


「ん~、ゆずから嗅いだことない女の子の匂いがする~……ゆずから、お姉ちゃんの知らない匂いがするぞ~? ゆず、浮気したの? 浮気したの、ゆず?」


「ちょ、姉ちゃんひっつかないで、ここ玄k……え?」

 美鈴の家から帰って、自分の家の玄関。

 顔を真っ赤にべろべろに酔っぱらないながら、そのむちむちの身体をぎゅーっと俺に引っ付けた美人な姉ちゃん―手塚繭26歳が、すんすんと匂いを嗅ぎながら、訝し気にそう言う。


 え、匂いって……た、確かに美鈴といたけど、そんな……って浮気?

「う~ん、浮気だよ~! だって、ゆずには~、七瀬ちゃんも朱里ちゃんもお姉ちゃんもいるのに~! こんな美少女に囲まれてるのに~、浮気するなんてどういうこっちゃ! お姉ちゃん許さないぞ、浮気するにゃんて! ゆるしゃにゃいにょ! ん~、おしおきのちゅー!!!」

 そう言って、ん~、っと俺の方に顔をギュッと寄せながら、唇を突き出してくる、保健室の美人な先生である繭姉ちゃん(26)。浮気とかそう言うの関係なしに、ただキスがしたい、と可愛い顔で迫ってくる26歳女教師の繭お姉ちゃん。


 ……なるほどね、そう言う事ね。

 姉ちゃん酔っぱらうとキス魔だけど、最近俺がキスしなくなったから、理由つけて自分のキスを正当化しようとしてるんだな。


 キスしたいから、俺に浮気とかそう言う理由つけて……姉ちゃん!

「姉ちゃんキスやめろ、俺弟だぞ! 高校生の弟にキスとかダメでしょ、教え子と同い年だよ、姉ちゃん!それに、その誰とも付き合ってないよ、俺。ていうか朱里男だし、姉ちゃん全然ろれつ回ってないし! どんだけ飲んでんだよ、姉ちゃん、だから、キスやめろ……そいやっ!」


「んちゅ~、ちゅ~、あうっ! むむむ~、ゆずのけち~! しょしぇし、そう言う事みゃみゃきゅて~! お姉ちゃんは、ゆじゅの恋人には~、ちゃ~としたおにゃにゃにょこが良いって言ってるの~! お姉ちゃんの事、ちゃんとやしにゃってくれるにょんにゃおんにゃにょにょにゃ~!!! にゃにゃにゃ、ちゅ~! ゆず、ちゅ~、ゆずとちゅっちゅしゅにゅ~!!!」


「もう解読できん! 何いってるかわかんないよ、姉ちゃん! キスもしてくるな、俺は弟! 姉ちゃんストップ、明日恥ずかしくなる奴だよ、これ!」

 ダメだ、完全に出来上がってやがる! ほとんど泥酔寸前まで行ってる時に姉ちゃんだ、これは! 


 飲み過ぎて、見境なくなって、呂律が全然回らくなって……とにかく引っ付くのもキスしてくるのもやめろ、姉ちゃん!

 姉ちゃんマジで美人でスタイルも良くて、引っ付かれると色々むちむち柔らかいところがむにゅむにゅするから興奮するんだよ、普通に! 姉ちゃんが相手でも、美人すぎるから男子高校生は興奮するの……ホント性格以外は美人なんだから、うちの姉ちゃん! だからやめて、引っ付かないで! 姉ちゃん一応教師なんだから!


「みゃみゃみゃ~、みゃ~……ゆじゅ~! ゆじゅゆじゅ、ゆ~じゅ! にゃ~にゃ、にゃんにゃん! ゆじゅ、にゃん! まゆちゃんとゆじゅ、ちゅ~、にゃん! にゃ~にゃ~、にゃん!!!」

 そんな俺の訴えも届かないのか、今日の姉ちゃんは猫化しながら、俺にキスをしようとぐいぐい身体を引っ付けながら迫ってくる。


「にゃ~、ゆじゅ~! にゃんにゃん、ゆじゅゆじゅ、ちゅ~ちゅ~! ちゅ~! ゆじゅとにゃんにゃんしてちゅ~! にゃ~ん……にゃ~にゃ~、ちゅっちゅ……にゃ~ん、ゆじゅ、ちゅ~!」


「……姉ちゃん!」

 何だこの可愛い生物は、何だこのえっちな生物は! 

 やっぱり可愛すぎるだろうちの姉ちゃん、最強だろ繭姉ちゃん! 最高にえっちで可愛い女の人だろ、うちの姉ちゃん!!!

 いつもはクールな表情が、お酒でとろとろ蕩けて甘々な表情になってるし!

 そんな甘々な表情で、俺にいっぱいキスをおねだりしてくるし!


「にゃ~ん? ゆじゅ、にゃんにゃん! にゃ~にゃ~!」

 声だっていつもは低いのに、今は甘える可愛い猫撫で声だし、文字通りにゃんにゃん猫ちゃんのものまねしてるし! 今日は特別可愛い感じだけど! 姉ちゃんのにゃんにゃんプレイは破壊力半端ないし!


「んにゃ~、ゆじゅ~……ゆじゅ~! ぎゅ~、ゆじゅ! ぎゅ~、ちゅ~、にゃ~! ちゅ~!!! ゆじゅ、ちゅ~!!!」

 それにその誰もが憧れる抜群のプロポーションの身体を、惜しげもなく弟の俺に絡みつけてながら、無限に続くキスのおねだり……なんで世の中の男の人は気づかないんだよ、可愛すぎるだろうちの姉ちゃん、我慢ならないだろ! こんな可愛い生物をなんでほっとくんだよ、見る目ないな世間の男の子の人は! めっちゃ可愛いだろ、うちの姉ちゃん! 最高じゃねえか!!! 

 最高に可愛くて最高にえっちで最高にグレートな女の人だろ、うちの姉ちゃんは!


「ゆじゅ、ゆじゅ……ゆ~じゅ~……ひゃっ!?」


「……姉ちゃん、シャンとして! あんた教師でしょ、一応! 生徒みたいなやつに甘えちゃダメです、お酒飲み過ぎもダメ! ダメだよ、姉ちゃん!!! キスなんて言語道断だからね!」

 ……でも、俺は姉ちゃんの弟だから。

 今両親がいない中で、唯一姉ちゃんに注意できる肉親である弟だから。


 だからいつまでも俺も興奮してちゃダメ、いくら姉ちゃんが可愛くてえっちで色々大変でも、姉ちゃんは姉ちゃんなんだから!

 だから俺は姉ちゃんを注意しないといけない、こんな風になる姉ちゃんを注意しなきゃいけない!


「にゃ~、ヤダ~! ゆじゅ、ゆじゅ~! ちゅ~、ちゅ~! お姉ちゃんとちゅ~! ちゅ~ちゅ~! にゃんにゃん!」


「……ダメだって、姉ちゃん!」

 ……本当に最近は我慢ならない事の方が多いけど!

 可愛いしえっちだし、上目遣いでキスおねだりしてくる表情も声も身体の密着具合も全部、とろとろ甘々ふわふわで、大好きな彼氏さんに甘える彼女さんにしか見えないし、このまま……ってダメダメ! 姉ちゃんにそう言う事しちゃダメ!!!


「う~、ゆじゅ~! ゆ~じゅ! ちゅ~、ゆじゅ! ちゅ~!!!」


「姉ちゃんダメ! ダメ!!!」


「にゃ~にゃ~……ゆじゅ~、ゆ~じゅ、ちゅ~……にゃ~ん、ゆじゅぅ~……」


「……くそ可愛いな、おい!」

 ……正直、生殺しだけどね。

 こんなとろとろで可愛い姉ちゃんに引っ付かれたら……うん、早く彼氏作ってね、姉ちゃん!!!



 ☆


「ゆじゅ~……す~す~」


「やっと寝た……まーじでしんどかった」

 しばらく身体を密着させて、キスをおねだりしながら甘えてくる姉ちゃんを色々我慢しながらたしなめていると、小さな寝息が聞こえてくる。


 ふ~、やっと寝たよこの酔っぱらいで可愛い最強生物繭姉ちゃん……それじゃ、いつものように運びますか。

「ん~、ゆじゅ……むにゃむにゃ……ちゅ~、んちゅ……ふへへ……ゆじゅ~!」


「どんな夢見てんだよ、姉ちゃん。よいしょ、ごめんよ姉ちゃん……お~いしょ……うおっ!?」

 いつものように姉ちゃんを部屋に運ぼうと、お姫様だっこするけど、今まで感じたことのないようなずっしり感が身体を襲う。


 あれ、なんでこんな……ああ、そっか。

「……美鈴、めっちゃ軽かったんだな。姉ちゃんと比べ物にならなくらい……ふふっ、美鈴のせいか、こんちくしょ……ふふふっ」

 そっか、今日美鈴もしたんだな、お姫様だっこ。


 それでそっちの重さにちょっと慣れちゃったから、俺は姉ちゃんを……ふふっ、困ったなぁ、美鈴!

 もう美鈴の事、忘れられなくなってんじゃん、美鈴を基準に考えてるじゃん……美鈴の事、大好きになっちゃってるな。


「ふふっ、美鈴……ふふふっ」

 俺だけの美鈴の事、多分好きになってる。美鈴がいないと、ダメになってる……明後日からは、また手塚君と委員長だけど、耐えられるかな?

 あんな経験して、それで……ふふふっ、美鈴と普通に、接することできるかなぁ?


「んんっ、ゆず……うううっ!!!」


「ちょ、姉ちゃん服にキスしないで、暴れないで、危ないから……姉ちゃん!」

 まぁ、学校の事は学校が始まってから考えよう。


 取りあえず今は、俺だけの美鈴なんだから。



「ゆじゅ~、ちゅ~……んちゅ……えへへ、ちゅちゅちゅ、ちゅ~……んちゅ、ちゅぱっ、くちゅ……えへへ」


「……で、どんな夢見てるの、姉ちゃんは?」

 普通にえっちだし、俺の服にキスしてくるし……ああ、もう! やっぱり姉ちゃんは最高だ! 最高の生殺しだ!!!



 ★★★

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