配備計画
Cosmic Dark Age 0.4
「先生は知ってたんですね。……
「これまでに一体何人の遠心能力者を見てきたと思っている。時には肉親だからこそ話せないこともあるものだ。……それにしても、あいつが本気を出すとはな。何があった?」
「……喧嘩を……しました」
分類不能と判定された
「冷えてきたな。何か飲むか?」
「……いえ、私は――」
「お前は、時に人に甘えるということをすべきだ。無論、人ならざる者――それこそ
「……」
真顔で言うので、冗談を言っていることに初めは気がつかなかった。
「将来のヴィジョンは成長を促す――とは、何度も言ったな。なぜ、
「……私が……悪いんです」
「お前はどうしたいんだ? 卒業したらやりたいことは?」
沖縄。そう言いかけて
「沖縄は当面トレンドであり続けるだろうが、次のトレンドは萩と秋田だろうな」
「どういうことです?」
「
二〇二二年。某国によるミサイル発射実験はかつてないほどに活発化し、過去最多の三十七回を記録した。ほとんどは
降りかかる厄災から人々を守り、日本の安全保障の一翼を担う存在となる。その姿は、さながらドラマのなかで
――ボク、寒いのは苦手だけど、暑いのはもっと苦手だなぁ。
「じゃあ……第六以上の子は……兵器として……?」
「教官として兵器を育てたつもりはない――と言いたいが。抑止力という言葉で納得してくれと言うほかあるまい」
第六分類以上の遠心能力者であれば、ミサイル防衛能力や対艦ミサイルを持つよりもはるかに安価に抑止力となることが出来る。したがって、防衛大学付属岩国学園遠心科に与えられたミッションは、第六分類以上の遠心能力者の育成であった。要するに、遠心能力とかいうクズみたいな力でも、馬鹿と
「時代のせい……と片付けてしまうのは簡単だな。だからこそ、お前たちには将来のヴィジョンを大切にして欲しい。それは自らの能力を高めるという意味以上に、どう生きたいのかを見出して欲しいからだ。こんな世界だからこそな」
そうしなければ、忽ち猜疑心に飲み込まれてしまう。
一方でH遠心は世界への広い視野を持つ。世の中の事象を、連結させては、自分の世界を作り出すことに成功する。
そんな居場所のない遠心少女たちにも、ささやかな逃げ場があった。カフェ・ビビッド。ビビッドと言う名の遠心科卒業生が営むカフェだ。だから
「だが、あいつは再試験で考え方を変えた。変な気を起こした可能性もあるが、私が考えるに……あいつは、何か答えを見つけたんじゃないのか?」
「何かって……何です?」
弱弱しい声で訊く
「それを考えるのが、双子の姉であるお前の役目だろう、違うか? ――だが、そうだな。思うにV遠心は軸なんだ。V遠心がしっかり者であれば、H遠心は好き勝手できる。何ってことは無い。H遠心は帰る場所があれば安心できる単純な奴らなのさ」
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