暁の双子
Cosmic Dark Age 0.4
「ほんと人は分かりやすいよね。力があるって分かった途端に、みんなボクにぞっこん。これまで興味も無かったくせに、途端に手のひらをくるりだ」
君もそうなんだろう
「寒いよ? 戻ろ?」
「この期に及んで姉のつもり? 心配しなくても、ボクは全然寒く無いよ」
朝が来れば
「〈
「まさか。サボるよ」
「サボる……って……」
つまり、隕石落しをするってこと、とは訊けなかった。訊くまでもない。当然だ。それ以外に何がある。そして、おそらく言い訳はなんとでもなる。V遠心じゃないから、うまく制御できない、とか。けれど同時に、H遠心を持つ
「お別れのついでに、もう一個だけ教えておいてあげるよ。むかしからボクは
おかしいよね。目立つことをしてるのはボクの方のはずなのに、みんな真面目な
――仲直りのやり方が分んなくなっちゃった。
「ああぁっ!! そうですか、そうですか」
途端に、
「分かりました、分かりました。そっちがその気なら、もう勝手にすれば? 地球だろうが何だろうがぶっ壊して、ヒャッハーすればいいよ。どうぞご自由に」
「……」
「酷いこと言って『ごめん』って謝ろうと思ったけど、やめたわ。やっぱ、あんたのこと嫌い。大っ嫌い。注目されなかったからってイジけてさ、そうやって一生不貞腐れてればいいよ。つきあってらんねぇー」
「はぁ?」
「姉とは思わない? ははっ、こっちから願い下げだね。誰があんたの姉になってやるかってんだ。ふざけんな!! あんたがチャランポランなせいで、私は真面目になんなきゃならなかったわけ。分かる? そんな真面目な私が嫌いですか、そうですか。
「教えてよ!!
雪かと思った。
気がついた時、
「寒くないとか嘘じゃん。つめた……」
「そう思うなら、高度下げて。流石に寒い」
「温めるから我慢して。……
「わわっ、
いつもの
「って、ちょ、あんたどこ触って!?」
「いいじゃん。誰も見てないし。それにボク、もう堪えらんない。温めてくれるんでしょ?」
「いや、そう言う意味じゃ……」
「じゃあ、やめる?」
「いや、だって……だってぇ……」
「菫ってさ、ホント可愛いよね。もう無理」
ずっとこうしたかった。なに恥ずかしがってんの。もともと一つだったじゃん。そうやって耳元で責め立てるくせに、
「ねぇ、それで
「?」
「そんなんだから、
「……
「いいから手伝って。――んで、下界のクズたちに見せてやろう。本当のイタズラってやつをさ」
「将来のヴィジョンは成長を促す。お前たち、卒業したらやりたいことは?」
「「二人で一緒に、イタズラがしたいです!!」」
――
天上を覆う闇に向けて、中空には石英と黒曜が散りばめられる。形成されるは、
目標座標――設定。
自己座標――固定。
D遠心能力――臨界。
「「宇宙の果てまで飛んでいけってんだ、こんのクソッタレがあああぁぁぁぁ!!」」
こんなもんを衛星軌道上に置いてんじゃねぇ!! 二人の慟哭、いや全ての遠心少女の叫び声が束ねられ、夜明けの空に響き渡った。
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