カウントレス・フィクショナルバレット
Cosmic Dark Age 0.4
H遠心第三分類、〈
再試験を開始します。
短い警告音ののちに、金属製の筒からボールが射出される。H遠心能力の受験者は、自分めがけて飛んで来る球状のオブジェクトを遠心能力で弾くか、あるいは空中で制止させる。いずれにせよ、受験者の身体に当たらなければ試験は継続され、当たってしまった時点で試験終了――スコアに応じて判定が下される。
「
射出される
―― H遠心第三分類、〈
――
「――なんだ。思ったより軽いな」
顔先七センチ。四方から迫りくる疑似弾矢を、ギリギリまで引き付けては制止させる。そして、疑似弾矢が持つ運動エネルギーの死に際に、ふっと息を吹きかけては
『しかし、別人みたいだな』
『それにあの
『〈
教官たちの隣で試験の様子を見守っていた
「もう……。もういいよ、
――
「――くだらない」
――
目を開ける必要性は無かった。どこから飛んで来ようと、H遠心は水平方向三六〇度に影響を及ぼす。第六程度の試験オブジェクトなら弾くなんて造作もない。むしろ、全力で弾き飛ばせば壁に穴が空いてしまう。だから飛翔物の運動エネルギーを遠心力で吸ってやる。やり方は簡単。小さい頃にやったみたいに、すっぽ抜けないように水風船を振り回す。……なるほど、その程度のことがボクに課せられた卒業試験らしい。
――
八方向から迫る弾丸の雨。
――
ほんとつまらないよ。
――
茶番だな。
――
―― H遠心分類限界、〈
「……誰?」
闇に沈んだ黒曜石の双眸。そこには、何も映っていなかった。第十分類――それは、もはや人の形をした神。全ての真理に至った、超越的な存在。遠心力が強くて良いことなどない。
「――人間やめたし、世界でも滅ぼすか」
距離にして二十メートル。
そこに自分と同じ顔をした神が一柱。
無限にも思える壁が隔てられていた。
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