スィンネス・ソード
季節の行事の為に
「いてっっ!」
唐突に、レインの声がする。転んで足でも
程なくしてレインのところに到着する。彼は指先の方を見ており、どうやら指を切ったのだと予想がついた。指先から、血の雫が
薄くて弱そうなものに指を
この世界では、紙や葉っぱなどの薄いもので指を怪我することをそう呼ぶ。
「‟薄いものに斬られた”んだな。芒は葉が
とりあえず軽く治療しなければ。俺は魔法使いなのだが、治療系の魔法には
「おーい、サフィー!」
「どうしたの? ご主人」
草叢の中から、サフィーが顔を
「レインの切り傷を治してやってくれ」
「はいはい。いつものやつね」
またか、といった表情をする。レインがよく怪我をするので、こういうやり取りは慣れっこなのだ。
「サブちゃん、手袋しないとダメよ。ちょっと指見せてね」
「だってぇ、手袋したらうまくものを
「そういう時は呪文を使って芒を切ればいいじゃないか」
「たしかに! ヌシ、ありがとっ!」
「ほら、動かない動かない。」
サフィーが傷の程度を確認する。
「この程度なら、軽いのでいいわね……パルンダ」
そう言って呪文と唱えると、レインの傷が
「はい、これで大丈夫。また切っちゃわないように手袋はしてよね」
「はーい!」
「これでいいわね?」
サフィーはこちらを
「ああ、ありがとう。サフィー」
レインが手袋をはめるのを見届けて、サフィーは草叢に消える。レインも、サフィーとは違う方向の草叢に入っていって姿が見えなくなる。
俺たち3人は再び散らばって、芒を集め始める。3人の頭を、それを囲む枯草まじりの草原を、秋の空気を含み始めた風が優しく
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