第41話

 桜と共に久しぶりの湯舟へと浸かり、体を休ませた僕は桜に案内され、一つの部屋へとやってきていた。


「それで?この家と僕の関係について話してもらえるんだよね?」

 

 なんか壁に高そうな掛け軸なんかがかけられている広い和室……そこで桜と向き合っている僕は口を開く。


「えぇ。もちろん……わかっているわ。長々と話してもなんだからサクッと一言で簡潔に告げるわね」


「うん」


「お兄ちゃんと私はこの家の本家の人間で、あの偉そうな爺は私たちの大叔父にあたるわ。私たちはバリバリこの家を継いで当主になる素質があるわね」


「……な、なるほど」

 

 若干、そんな予感はしていたが……マジで僕はこの馬鹿みたいにデカい家の子なのね……本家なのね。使用人の子供とか、分家とかでもなく。


「そんな私たちの家についての概要を教えていくわね」


「うん。お願い」


「私たちの家は鎌倉時代から続く商家の一族であり、ずっと莫大な富を維持し続けてきた一族よ。開国の時には海外にも進出。五大財閥にも数えられているわね。戦後の財閥解体時にも海外に持っていた伝手と金を使って抵抗することで表上では解体したことになっていたけど、裏では影響力を変わらず維持し続けたわ」


「……」

 

 え?何それ。


「経済界では不動の地位を確立し、政界でも強い影響力を持っている私たちの一族はこの日本という国を裏から支配している一族と言えるわね」


「……」


 え?何それ。


「何か質問はあるかしら?」


「……」


 質問どころしかないけど?何?日本を裏から支配しているって。どんな影響力を持っているの?化け物じゃん。怪物じゃん。

 どうなっているの……?僕ってそこら辺の一市民に監禁されていて良いはずの人間じゃなかったよね?


「なんで」

 

 一番気になっているのはこの家の規模とかについてなんだけど……そこらへんを聞いてもよくわからないし、聞いても仕方がないので僕は今、聞くべきなのは僕の扱いについてだろう。


「なんで僕は今日の今までその事実を知らされず、今日まで過ごしてきたんだ?桜はこの家のことを知っていたの?」

 

 なんで一応本家の人間である僕はここまで何も知らされず、過ごしてきたのか……そんな素朴な疑問を桜へと投げかけた。

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