第35話

「えっ?」

 

 いきなり聞こえてきた爆発音。


「わわッ!?」


 そして、次にやってきたのは僕の体を揺らす強い振動。


「え?な、何?何なの?」

 

 何の予兆もなく僕の元へと届いてきた爆発音と振動に僕は困惑し、首を傾げる。


 パッパッパッ

 

 突然の爆発音。

 これだけでも驚愕なのに、その後さらに聞こえてくるのは銃声である。


「ど、どういうこと……?」


 一体僕が閉じ込められている部屋の外で何が起きているのだろうか?

 僕は何がなんだかわからず、首を傾げる。

 

 もし、警察が監禁されている僕を助けに来たとしても、幾つもの銃声が聞こえてくることなんてないだろう。

 この国は暴走した車に向けて銃を発泡することにすら賛否が生まれるような国なのだから。


「気になるけど……何も出来ないよなぁ」

 

 僕の四肢は鎖によってこの部屋のベッドに繋がれ、身動きが取れないような状態なのである。

 僕じゃどうすることも出来ない。

 ……いくら、琴美が僕のことを監禁するような奴だとしても彼女は僕の幼馴染なのだ。殺されるような真似にはならないと良いんだけど。


「ふぅー」

 

 僕は深々と息を吐く。

 たとえ、外にいる連中が何者だったとしても。

 たとえ、外にいる連中が琴美を殺す者だったとしても。

 たとえ、外にいる連中が僕を殺す者だったとしても。

 僕に出来ることは何もない。

 

「うぅ……なんでこんなことになっているんだし」


 半ば命すら諦め、部屋の方へと近づいてくる人の足音と銃声に体を震わせながら僕はただ待つ。

 待つことしか出来ないので。


「……ッ」


 銃声がなおも響く中。

 とうとう僕の部屋の前へとたどり着いた足音が止まり……ゆっくりと扉が開かれる。

 ここに入ってくるのは琴美か、それとも違う人物なのか。


「見つけた」

 

 琴美以外の人の声が僕の元へと届く。 



「……ッ!!!桜……」 

 


 部屋の中に入ってきた人物。

 それは僕の妹である桜であった。


「ど、どうし、て……こ、こぉ……ぃ」


 桜が現れたことに対する僕の驚愕の言葉。

 それをすべて言い終わるよりも前に、僕の意識は暗黒へと包まれたのだった。

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