第28話

「ん……うぅ」

 

 暗闇へと落ちていた僕の意識……それがゆっくりと浮上していく。


「ふわぁ……」

 

 意識が浮上した僕はゆっくりと体を起こ……ガチャガチャ。


「ん……?」

 

 僕は絶対に聞こえてはいけないであろうガチャガチャという金属音が耳へと入り、首を傾げる。


「何の音……ってなにこれッ!?」

 

 ここでようやく僕は己の四肢を拘束している金属の鎖があることに気づく。


「え?ちょっ!?は?な、なんで僕は拘束されているの……?」

 

 僕は己がガッチリと拘束されている状況に動揺し、慌てて周りを見渡す。

 

「……どこだ?ここ」

 

 自分が寝かされている巨大なベッドがぽつんと置かれているだけの部屋であり、床も壁も天井もすべて鉄製。

 窓などは一切なく、外の様子を知ることは出来ない。

 僕を拘束する


「一体誰がこんなこ……こ、琴美か……」

 

 そうだった。

 僕はなんか修羅場の雰囲気を醸し出し始めた琴美と間宮さんに恐怖を抱き、二人の元から逃亡。

 その後にホラー顔負けの登場をした琴美を見て僕は気絶しちゃったんだった。


「じゃあ、ここは琴美の家?」


 僕は琴美の幼馴染である。

 当然彼女の家に行ったことがあるが……こんな部屋はなかった。


 ガチャ。

 

 僕がそんなことを考えていると、この部屋にある唯一の扉が開かれる。

 部屋の中へと入ってきたのは満面の笑みを浮かべる琴美だった。



「あっ。起きたんだ!



「こ、琴美……」

 

 一体何を考えているのか、僕を監禁している状態でにこやかな笑みを浮かべて僕の方へと近づいてくる琴美を見て僕は静かに体を震わせた。

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