第27話

 琴美が僕の教室に入ってきて、それに間宮さんが相対して……二人で睨み合い、言葉を交わし、それからどうなったのか……僕はもうわからない。

 なぜなら僕は逃亡を選択したからだ。

 

 どうやら僕は間宮さんと琴美に異性として好かれていたようなのである。

 二人がお互いを罵り合いながら、聞いている僕は重いとドン引きしてしまうような愛を語っていた。

 彼女たちの言葉を前にして僕は二人に好かれていないと思うのはありえないだろう。

 失礼にも僕のことを鈍感だと言っていた我空は正しかったのである。

 

 ……好意を向けられるのは嬉しい。

 でもなんかわからないけど、あの二人は怖い。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 どうしてもあの雰囲気に耐えられなかった僕は窓の外へと体を投げ出して逃亡。

 僕は全力で学校から逃げ出し、街の中を爆走していた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」


 家の近くにある公園にまで来た僕は息を切らしながら、ふらふらと歩く。

 いつから降っていたのだろうか?

 ザーザーと雨が降り注ぎ、僕の体温を奪っていく。


「さむ……どこか、雨風をしのげるところは……」


 僕は公園に設置されたブランコ……その台に何故か開けられている隙間の中へと体を滑り込ませる。


「ふーっ」

 

 僕は一息つき、水に寝れた地面へと腰を下ろす。


「……冷たい」

 

 冷たい風が僕を襲い、湿った地面が容赦なく僕を濡らしていく。


「……」

 

 僕が寒さに凍えながらも、なんであんな二人に対して僕が逃げ出したくなるほどの恐怖心に駆られたのかを考えていると─────雷が鳴り響く。

 そして、人影が僕を支配する。

 

「みーつけたッ」

 

 ホラー耐性のない僕は雷の光で照らされる琴美を見て気絶した。

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