第25話

 朝のHR前の時間。


「ふにゅー」

 

「……今日はちゃんと寝ているな。鈴木さんに管理されなかったのか?」


「ゲームを求める僕の心は誰にも止められない……ッ!」


「名言ちっくに言っているけどなん……」


「んにゃ?」

 

 学校の朝、いつもどおり半分睡眠状態で我空と会話していた僕は自分の目の前に間宮さんが立っていることに気づく。


「僕の前に立ってどうしたの?何か用?」


「いつも、お昼ごはん食べているかしら?」


「食べてないねぇ……お昼はどうしても寝ちゃうんだよねぇ」

 

 夜のうちほとんどゲームをしているショートスリーパーどころか普通の人よりもたくさん寝る側の僕は学校のほとんどを寝て過ごしている。

 

「そう……じゃあ、はい」

 

 間宮さんはカバンからお弁当箱を取り出す。

 

「ん?これは……?」


「作ってきたの。あなたに食べてほしくて」


「へぇー。料理、出来たんだね」


「……別にそれぐらいは出来るわよ」


「ふーん。そっか。じゃあ、ありがと……これはありがたく頂くね」

 

 僕は弁当箱を手に取り、それをありがたくもらうわ。


「美味しく頂いてくれると嬉しいわ」


「うん。ありがとー」

 

 お弁当を僕へと渡した間宮さんは満足し、自分の席へと戻っていく。


「お、お、お、おいッ!?


「えっとねぇー……」

 

 間宮さんと関わりのある理由を話そうとした僕は間宮さんの驚愕のテストの点数を思い出す。

 ……勉強を教えているとは言わないほうが良いよね。


「うーん。秘密、かな?」


「えっ……」

 

 我空は信じられないと言わんばかりの表情を浮かべ、視線を僕と間宮さんの間で行き来させている。

 そして、その反応をしているのは我空だけでなく、クラスメート全員だった。

 何だったら泣いている人までいる。

 

「え?みんなどうしたの?」


「……なぁ。お前のその鈍感さはどこから来るんだ?おかしいだろ。若干苛ついてきたぞ?猫かぶって……いや、それはないか。それともあれか?制約なのか?ラブコメ主人公になるという誓約の代わりに負う制約なのか?」


「え?え?え?」

 

 僕はなんで我空がそんなことを言っているのか理解出来ず首を傾げた。僕が鈍感なわけないじゃないか!

 両親から僕はものすごく鋭いと言われて育ったのだから!

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