第24話
何故か妙に女子たちから話しかける頻度の多かった憂鬱な月曜日の学校生活を乗り越え、間宮さんの家に勉強を教えに来ている僕は間宮さんが勉強しているのを見ながらスマホゲーに勤しんでいた。
「……ね、ねぇ」
一日中、どこかよそよそしかった間宮さんが急に勉強していた手を止め、僕のことを呼ぶ。
「ん?」
「か、神崎くんが鈴木さんと幼馴染ってほんとなの?」
「うん。本当だよ。あそこで僕が嘘つく意味ある?」
「そ、そっか……」
僕の言葉に間宮さんは頷く。
そして、間宮さんは勉強することもなく僕のことを見ながら沈黙する。
……。
…………。
え?何、この時間。
「……わ、私の家、はね」
「うん」
長い沈黙の後、ようやく話し始めた間宮さんの言葉に、なんでいきなり間宮さんの家が出てくるのかわからなかったけど、僕はとりあえず頷く。
「父と母は仕事で忙しくてほとんど家に居なくて、友達も居なく、私はどこであってもずっと一人だったわ」
「う、うん」
なんか急に重くなりそうな話をし始めた間宮さんに僕は困惑しながら彼女の言葉に頷く。
「……だから。あなたが初めてなのよ。ここまで親しくなれた人が」
「そ、そうなんだ……」
「ずっと、一人だった頃は良かったわ。でも、私はもう人の温かさを知ってしまった。もう、一人は耐えられない……」
「僕以外の人とも仲良くすれば良いじゃん」
「それが出来たら苦労はしないわ……私に近づいてくる男たちからは下衆な考えが、女たちからは嫉妬が……味方なんて誰もいないわ」
「……」
金が目的で近づいている僕も普通に下衆だと思うんだけど……なんで僕はすり抜けているんだ?
「ねぇ、神崎くん。私とずっと一緒に居てくれる……?私を一人にしないって約束してくれる?」
「んー。別に良いよ?」
何歳になっても繋がっていられる友達関係って素晴らしいものだと僕は思うからね。
僕が間宮さんの言葉を拒否する理由がない。
「……ありがと」
僕の言葉を聞いた間宮さんは笑顔を漏らし、そして何故か僕の方へと体を倒してきた。
「そんなことより勉強は?」
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