第23話
「うぅ……結局この土日全然ゲーム出来なかった……」
僕の生きがいであるゲーム。
土日のほとんどをゲーム時間に割いている僕であるが、今回の土日は琴美に連れ回されたせいでほとんどゲームが出来なかった。
「お?なんか今日のお前ってば元気じゃん。どうしたんだ?」
机に突っ伏して眠ることなく不貞腐れていた僕を見て我空が意外そうな声をあげ、近づいてくる。
「わかっているよぉ。僕だってらしくないことくらい……でも琴美が僕のことを連れ回すせいで夜通しゲーム出来なかったんだよ」
「……なんでそこで鈴木さんの名前が出てくるんだ?」
「あれ?言ったことなかったけ?僕と琴美は幼馴染。昔から仲いいんだよ?」
なんでもないことのように告げた僕の言葉。
「「「は???」」」
その言葉を前にワイワイガヤガヤと各々会話していたクラスメートたち全員が一斉に話をやめ、驚愕の言葉と共に僕の方へとアホ面を見せてくる。
その驚愕はあのクールで有名な氷の女王、間宮さんまでアホ面を晒して驚愕の声を漏らしているのだから相当のものだったのだろう。
「……?」
だが、なんで僕はみんながそんなに驚いているのかわからず首を傾げる。
「おま……ッ!知らないのかッ!?うちのクラスの間宮さんと並んで絶世の美少女と評される鈴木さんはすべての告白を幼馴染が好きだから、って言って断っているんだぞッ!?つまり……そういうことだろォ!?」
「ん?でも、琴美は僕のことを好きじゃないと思うよ?その幼馴染は別の幼馴染だから気にすることじゃないよ」
そんな僕を見かねた我空が絶叫とも言えそうな声を上げる。
「いや……お前は超がつくほど鈍感だからお前の言葉は信用ならん」
「え?なんで鈍感扱い?」
「別に付き合いがそこまで長いわけではないが、それでもわかる。お前は天性の人たらし、女たらしだ」
「えぇ……そんなことないよ」
「それが鈍感であることの証明なのだ……」
僕の言葉に我空が天を仰ぎ、呆れたように声を漏らす……人のことを女たらし扱いとはひどくない?
僕は女たらしなんかじゃないのに……それを否定したら呆れられる僕は可哀想な子だと思う。
「むぅ」
「膨れるな。膨れるな。お前は天性の女たらしにして、超絶鈍感のラブコメ主人公体質だ。誇れ、モテるぞ」
「ずっとゲームしているラブコメ主人公とか失格でしょ。それにモテたことなんてないよ。告白されたことないもん。僕」
「……お前、彼女募集中なの?」
「募集中だよ?だって僕もれっきとした高校生……クリぼっちは回避したい」
ガタッ
「……はぁー」
僕の言葉を受けてまたもため息をつく我空。なんたることか。
……というか、さっきめちゃくちゃ椅子の動く音がしたけどなんだろうか?
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
そんなことを考えている間にHRの開始を知らせるチャイムが鳴り響いた。
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