第22話

 僕と琴美はこの市で一番大きなショッピングモールへとやってきていた。


「これも良いかも!これも着てみて!」


「えっ……?まだ着るの?」

 

 そこで行われているのは僕の大イメチェン会である。

 まずは長かった僕の髪の散髪。次にほとんどレパトリーのない私服の買い物を行っていた。

 かれこれ僕は一時間以上様々な服に袖を通すマネキンと化していた。


「当たり前じゃない!もっともっと着てもらうわ」


「……そんなに着てどうするの?どんだけ買うつもりなん?んな、お金ないでしょ……」


「あるわよ?」


「……え?」


「ほら」

 

 彼女の財布から出てくるブラックカード。

 

「ちょっとゲームで課金するためにそのお金使わせてくれない?」

 

 僕は目の色を変えた。

 琴美がどうやってそれを手に入れたかなんて重要じゃない。

 

「駄目だよ?ちゃんとお金は計画的に使わないと。際限なくゲームに課金しちゃ駄目なんだよ」


「……ちっ」

 

 あえなく断れられた僕は舌打ちを打つ。


「僕は拗ねた……もう服なんて着ない」


「わかったわ。十万円課金していいから、買い物に付き合って?」


「わーい」

 

 現金な僕は彼女の言葉に喜び、大人しくマネキンになり続けたのだった。




 ■■■■■

 

 クリスマスイブに何を書いているんだろう?と作者がメンタルブレイクしたため、今日はいつもよりも更に短め。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る