第20話

 強制的に早くに寝かされ、早くに起こされた僕は恋人がやるような『ごめん、待った?』『ううん。今来たとこ』をやりたいと言う琴美に従い、一人先に待ち合わせ場所へとやってきた。

 待ち合わせ場所である駅前のオブジェで琴美のことを待っている強制的にオシャレさせられた僕。


「ね、ねぇ……お兄ちゃん。今、一人?」


「良かったら私たちとお茶していかない?」


「……え?ぼ、僕?」


「うん。僕」

 

 そんな僕は人生初めてとなる逆ナンを経験していた

 ……逆ナンって本当にあるんだね。


「お兄ちゃん


「……お兄ちゃん。どこをどう見ても僕よりもお姉ちゃんたちの年齢上そうだけど」

 

 僕は高校生で、話しかけてきた女性たちは大学生くらいに見える。

 それに僕は高校生とはとても思えないような小さいボディをしている。


「ううん!めっちゃかわいいショタからのお姉ちゃん呼びヤバいわ!」


「でも、女性に年齢聞いちゃ駄目よ?それに私たちだって高校生だから、同じくらいの年だと思うよ?」


「え?なんで僕が高校生だってわかるの?」


「カバンから学生証はみ出ている。ふふふ……そこらへんはちゃんとしなくちゃ駄目なんだよ?」


「あっ……」

 

 僕が逆ナンしていたきた女の子たちと会話していると。


「何しているの?」

 

 どこからか、冷たい声が僕の元へと聞こえてくる。

 背筋に寒いものを感じながらもその声が琴美のものであることに気付いた僕は声がした方へと視線を向ける。


「ん?あ、琴美……びぃ!?」

 

 そんな僕は情けない悲鳴を上げる。

 声がしたほうにちゃんといた琴美……そんな彼女の表情はあくまで無表情だ。

 しかし、とてもじゃないが無表情とは思えないほどの憤怒と威圧感を持って琴美はそこに立ち、僕に話しかけてきた女の子たちを睨みつけてた。

 ま、間違いない。あの目は確実に人を何人かやっている目だ。


「彼女です……邪魔しないで?」

 

 無言で僕の方へと近寄り、そのまま僕の体を強引に掴んで抱き寄せた琴美が静かに……だが、圧倒的な威圧感を持って僕に話しかけてきた女の子たちへと告げた。

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