第18話

 なんとなく気恥ずかしい気持ちになりながら料理を待っていた僕。

 そんな僕の元に待ち望んでいた料理が届く。


「ほら、お二人さん。お待ちどうさま」


「ありがと!おばあちゃん」


「ありがとうございます」

 

 僕と琴美はゴロゴロと小さなタイヤによって動く銀の台座を引いて料理を運んできたおばあちゃんへと感謝の言葉を口にする


「良いのよ。良いのよ……私もこうして久しぶりに顔を見せに来てくれてうれしいわ」


「えへへ。おばあちゃんがそう言ってくれるならうれしいよ!またこれからも来るようにするね!」


「えっ」

 

 琴美の言葉に僕は固まる。


「ん?どうかした?」


「い、いやなんでも。うん。これからも来るようにしますね」


「そう言ってくれると私も嬉しいわ」


「……」


 学校の友達と勝手に来れば良いんじゃ……そう思った僕であるが、おばあちゃんの手前、そんなことを言うわけにもいかず沈黙する。


「それじゃあごゆっくり」

 

 おばあちゃんはゴロゴロと台座を転がし、定位置である会計のところへと戻る。


「……僕、そんな高頻度で外に出たくないんだけど」

 

 僕は引きこもりゲーマーだ。

 高頻度でお外へと出ることなんてしない。お外は危険が一杯なのだと割とマジの表情で桜が言っていた。


「ふふん。いつも引きこもってちゃ体に悪いでしょ?また食べに来ようよ。ここ、美味しいでしょ?」


「まぁね」

 

 僕が頼んだのはデミグラスオムライスで琴美が頼んだのがナポリタン。

 昔からいつも頼んでいる奴である。

 ここのデミグラスオムライスはびっくりするくらいおいしいのだ……当然他の料理もおいしい。


「だとしてもなんだけど」


「だとしても私が強制的に引っ張るから関係ないわ」


「……ひどくない?」

 

 僕は琴美に対してぶさくさと文句を言いながら口にデミグラスオムライスを運んで行った。


「ふふふ……」

 

 ……文句を言えるうちは良かった。僕がそれを知るのはもう少し後である。

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