第17話

 夜ご飯を食べるために夜の街へと二人で繰り出した僕と愛梨はダラダラと喋りながら街を歩いていた。


「……結局ここなんやね」

 

 結局、僕たちがやってきたのは寂れた商店街。

 そこの一角で細々と運営しているカフェとへとやってきていた。

 僕は自分の目の前に座っている琴美に向けて一言呟く。


「やっぱ、私たち二人が外食するとなったらここだよ!」

 

 このカフェは初めて僕と琴美が二人で食べに来たところであり、それからも結構来たことのある思い出の場所である。


「久しぶりだねぇ……ふたりとも」

 

 僕たち以外の客は誰も居ないカフェでこの店を営んでいるおばあちゃんが話しかけてくる。


「うん!久しぶり!」


「久しぶりですね……今日もよろしくお願いします」

 

 3、4年ぶりに会うおばあちゃんへと僕は頭を下げる。


「うん。うん。それで?お二人さんはいつもので良いのかい?」


「うん!それでお願い」


「僕もそれでお願いします」


「ちょっと待っておくれな……」

 

 おばあちゃんはいつものように僕たちの元からキッチンの方へとゆっくり歩いていく。


「ここは何も変わっていないね!」


「ふっ。僕たちだって何も変わってないでしょ」

 

 僕は昔からゲームが大好きで引きこもっていたし、琴美も昔から元気でいつも僕を連れまわしていた。


「えー」

 

 そんな僕の言葉に対して琴美は少しだけ不満げに言葉を漏らす。


「ふふふ……私は、変わったよ?」

 

 そして、琴美は妖艶な笑みを浮かべる。


「……ッ」

 

 何故だろうか。

 その笑みを見た僕の背筋に何かが走り、頬が熱くなる。 

 

「……そ、そう」

 

 僕は琴美にそう返すので精一杯だった。

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