第10話
真っ暗な部屋で光り輝くPC画面を前に。
「ふわぁ……」
僕は大きなあくびを浮かべる。
間宮さんに勉強を教えていたときにちょいちょい寝ていたとは言え、それでも十分な睡眠時間を確保出来たとは言い難い。
僕は普通にお眠であった。
『おやぁ?レテン氏はお眠なのかなぁ?』
「……学校があるから睡眠時間足りてないんだよ。何しているかわからないリテン氏とは違って忙しいんだ」
僕が中学生のときから交流のあるリテン氏。
彼女の本名、顔、年齢、何をしているか……そのすべてを知らない。彼女のリアルは本人が一切語りたがらないため、その素性は一切謎に包まれている。
まぁ、あくまでネッ友なんだし、リアルを知らないのは当然なんだけど。
僕だって自分が高校生であることくらいは話しているけど、それ以外は話していないし。
『んご!?……ず、随分と痛いところをついてくるんだねぇ。真実は時に嘘よりも人を傷つけるんだよぉ?』
「しかし、人は心地良い嘘の中に居ては腐り、堕ちてしまう」
『ぐぬぬ……あぁ、言えばこういうぅ。全く君は可愛くない男の子に育ってしまったよぉ』
「僕はあなたに育てられた記憶はないけどね……それよりも、だよ。今日はどこ行く?個人的には氷華の材料足りていないから氷山の方に行きたいんだけど」
『よし……じゃ、じゃあ今日は氷山に行くとしようかぁ。私も氷華の材料が欲しかったからねぇ』
「じゃあ、今日も元気に素材ほりほりと行こうか。出来れば今日中に階級を一個上げたいな」
『うん。頑張っていこうかぁ。私もレテン氏が階級を上げられるよう全力でサポートするからねぇ』
夏休みが明け、久しぶりの高校。
久しぶりに会う幼馴染。
その初日で起きたラノベのようなイベント。
何故か不機嫌かつスキンシップの激しく、料理を作った人間は食べる人にあーんしてあげなきゃいけないの!という謎の理論であーんしようとしてくる妹。
夏休みが明けて初日だと言うのになんか少しばかり内容の濃い一日を僕は振り返り……それらを些事として脳の端っこへと追いやり、僕はいつも通りリテン氏と楽しくゲームに勤しんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます