第11話

 結局。

 レテン氏と夜中までゲームし、寝不足だった僕は授業中の大半を寝て過ごした。

 そんな僕は放課後、家庭教師としての仕事をこなすため、間宮さんの家へとやってきていた。


「……すっご」

 

 間宮さんの家。

 流石は大富豪と言うべきか……ここらへんで一番高いタワマンの最上階が間宮さんの家なんだそうだ。

 ……この家の家賃一ヶ月分でどれくらい課金出来るだろうか?

 それを考えるだけでめまいがしてきそうだった。


「すごいのは私じゃないけどね……ちょ、ちょっと待っててくれる?」


「ん?……なんかわかんないけど良いよ」

 

 家の玄関の前で。

 突然そんなこと言い出した間宮さんの言葉に僕は頷く。


「ありがと……少し待ってて」

 

 玄関の前に僕を放置し、間宮さんは家の中へと入っていく。


「……ぽへー」

 

 僕のスマホは現在通信制限中。

 出来ることは何もなく、ぼーっとして間宮さんがまた出てくるのを待つ。


「おまたせ」

 

 僕がしばらく待っていると、少しだけ息を切らした間宮さんが玄関の扉を開けて僕へと顔を見せる。


「ん。待った。もう入っていいの?」


「えぇ。良いわよ」

 

 僕の言葉に間宮さんが頷き、僕は間宮さんの家の中へと入る。


「おじゃまします」

 

「えぇ。いらっしゃい」

 

 間宮さんの家の中……僕の家は家でなく犬小屋なんじゃないかと思うほど広さの違いがある家。

 パッと見はきれいに見えるが……よく見ると普通に汚れているし、埃が積もっている。

 僕を待たせていた間に急いで掃除したのかな?

 というか、ものが少ないな。


「んー。僕はどこで勉強を教えれば良いのかな?」

 

「普通にリビングのテーブルで良いわ」


「ん。わかった。じゃあ、早速勉強していこうか……結局昨日は小学生の分野で終わったんだよね……まず今日は昨日やったところを確認する小テストをやってから、中学生の内容に入っていくよ。出来れば今週中に終わらせたいな。科目は数学だけじゃないしね。時間はあんまりないから頑張っていくよ」


「うん。わかったわ……りゅ、留年しないように頑張らないとね」


「僕のお金のためにちゃんと勉強頑張って成績を伸ばしてね」


「……頑張るわ」

 

 僕と間宮さんはリビングに置かれている椅子へと座り、大理石のテーブルに勉強道具を広げて、勉強を初めた。


「あっ、Wi-Fi繋げていい?ゲームしたい」


「……良いわよ」

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