第3話
大地を焼かんと言わんばかりに燃え盛る太陽の下。
苦しみながら僕は高校へと向かう通学路を歩いていた。
「ドーンッ!」
「うんご!?」
そんな僕の背中を押す無慈悲なるものが一人。
「久しぶりだね!碧衣!」
それは僕に対して元気よく挨拶してくる少女だった。
「いきなり僕のことを押してこないでよ……琴美」
僕が後ろを振り向くとそこにいるのは輝かんばかりの金髪に赤いコンタクトを入れたギャルのような風貌をした美少女。
僕の幼馴染である鈴木琴美がそこに立っていた。
「にしし。ごめん、ごめん。君と実に久しぶりに会うからテンションが上っちゃってね」
「テンションが上がった、ってだけの理由で僕に突撃してこないで?結構痛いから」
「それはもうねぇ……逆によ?私のテンションを上げた碧衣がいけないんだよ!夏休み期間中ずっと会ってくれなかった碧衣が悪くない?」
「何をどうしたら逆になるの?」
「そこは気にしなくていいの!私が言いたいのは夏休み……一回も会ってくれなかったこと!RINEで結構遊びに誘ったよね?私。全部未読スルーされているよ?泣いちゃうよ?私」
「RINEなんか僕が見るわけ無いだろ。discortの方に送ってこい……まぁ、それでも無視するけど」
「無視する!?なんてひどくない!?ボッチで彼女のいない寂しい碧衣の夏休みにちょっとした華を添えようと私がせっかく誘ってあげたのに。高校生のうちからそんなんだったら将来結婚できなくなっちゃうよ?」
「余計なお世話なんだよ……僕はゲームと結婚するからいいんだよ」
今、一番仲の良いリテン氏も冗談交じりに将来結婚しようと話しているし、ゲーム内では結婚しているので、実質的に結婚しているようなものである。
「駄目だよ!碧衣は私と結婚するんだよ?幼稚園でそう誓ったでしょ?」
「幼稚園の頃の約束を持ち出して何を言っていやがる」
「にしし」
僕は結構久しぶりに話す琴美とワーワー言い合いながら学校に向かった。
「お願いだから、電車の中では静かにしてね?」
「それくらいのモラルは私にだってありますぅ」
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