第26話 エピローグ
玲華さん達が日本に帰ってから、一週間がたった。
レティシアが玲華さん達に貸していた客間に置いてあった荷物も、一部が消えていた。
ノアが言うには小柄な女性くらいの大きさはある巨大なトランクがいくつかあったらしいけど、それらはいくら探しても見つからなかった。それらが、玲華さんのスマートグラスから聞こえてきた携帯型相転移エミュレーター・ユニット、とやらだったのではないか、というのがノアの予想だ。
ほかの荷物はそのまま残されていたけど、着替えや洗顔料などの身の回りの物ばかり。それらを残して、玲華さん達と重要そうな荷物はきれいさっぱり消えてしまっていた。
「あああっ、カナトくん! だめッ! もうダメッ!!」
ベッドに寝転んだ僕の上で、ノアの肢体が跳ねる。
いま僕たちがいるのは、レティシアの屋敷の寝室。
領主の屋敷の寝室という場所で、僕たちは真昼間から全員で絡み合っていた。このところ重点的に攻められているのは、ノア。ノアはあの後、僕たちを裏切ったことへの罪悪感や自己嫌悪、結局会う事の叶わなかった日本の両親への申し訳なさなどから、ひどく落ち込んで部屋から出てこないような状態だった。
そんなノアへの僕たちを裏切ったことへのおしおきとして、セックス漬けにしてあげるのだと言い出したのはユキノだ。レティシアを従順に変化させた実績がある方法だと胸を張っていたけど、じつはノリで適当言っているだけなんじゃないのかと僕は疑いを抱いている。とはいえ、無我夢中でお互いの身体を貪りあっている間は、余計な事を考えることも無い。
「ああぁ、ご主人様の寵愛、羨ましいのです! わたくしにも、わたくしも愛が欲しいのです!」
そんなノアを、はふはふと鼻息を荒くして見つめるのがレティシア。
玲華さん達がこの世界に来てから、いちばん変わったのはレティシアだろう。僕のせいなんだけど、キスと聞いただけで顔を赤くしていた純粋な彼女は、ことあるごとにセックスをねだる様な子になってしまった。……まぁ、以前の純粋な彼女が今はこんなに乱れているのだと考えると、正直興奮するんだけど。
でも、なんだかんだ領主としての仕事もしっかりとこなしている辺りは、やはり基本的には真面目なんだろう。
……まぁ、真面目に仕事した後はかならず求めて来るけど、そんなレティシアも可愛いし、まぁそれくらいは構わない……いや、むしろ嬉しい。ノアの次に胸がおおきく、しかもきゅっと細くなった腰とすらりと伸びる手足。アニメのヒロインのようなスタイルの彼女に積極的に求められるというのは、男としてやっぱり喜びを感じる。
「すごいよ、ノアさんもレティシア様も……。疲れちゃったよ、ファニ……」
ベッドの上で、僕の足を枕にぐったりとしているのがファニ。
ファニともかなりセックスしたはずだ。
ユキノとノアは冒険者としての戦闘をこなすため、結構トレーニングしている。でも、ファニは冒険者ではあるけど純粋な魔術士スタイルだから、身体能力はそこらへんの人と大差ない。。そのため、ユキノやノアと同じペースでセックスをし続けると、一番早くバテるのはファニだ。
レティシアは……なんだか何かが壊れちゃったような感じで、セックスでバテて寝たりはあまりしない。ごめんね……。
ファニはぺちゃぱいでいわゆる幼児体型だけど、不思議と安心するというか、腕の中にすっぽりと抱え込める様な納まりの良さがある。それもこれもファニは僕がこの世界に来てから、いや、前世を合わせても初めてセックスした人で、特別な思いがあるからかもしれない。
正直レイプと言っても差し支えない初体験だったけど、それでもファニは気持ちよかった、と言って微笑んでくれた。今でもずっと慕ってくれている彼女には、正直感謝しかない。彼女が僕に思いを向けてくれている限りは、全力でそれに応えていきたいと思っている。
「んふふふふぅ~~」
そして、みんなの様子をベッドの上にぺたんと座り込み、にこにこしながら見つめているユキノ。
ユキノは、たまにそんな様子を見せる。いまだに心の中が読めない事がある、時に突拍子もない事をして困らされる僕の大好きな人。
そう、僕はユキノに告白して、ユキノも受け入れてくれた。
だから僕はそれまでの優柔不断な、いわゆるハーレム状態を捨ててユキノだけを愛するつもりだった。なのに、ユキノは僕がノア達とセックスするように積極的に誘導し、そして今のこのハーレム状態を嬉しそうに眺めている。
「みんな気持ちよさそうで、わたしも嬉しいよぉ~~」
そして、そんなことを言う。
そんなユキノも、もちろん全裸だ。ちょっと控えめだけど形の良い胸と、白い肌にすらりと伸びた手足。ユキノはすっと立ち上がると、横に回り込み、僕の上で喘ぎ声をあげるノアの顔を覗き込む。
「ああッ! も、もうだめッ! ゆるしてェッ、もう裏切ったりしませんからァッ!」
「んふふふふっ、ノア気持ちよさそぉ~~」
ユキノはノアの顔を両手でやさしく包み込むと、その唇に自分の唇を合わせる。
「んッ……」
「あふッ……」
お互いの唇を絡めあうユキノとノア。
二人の美少女が熱に浮かされたようにお互いの唇をむさぼり合う様子は、ひどく淫靡で背徳的で、僕の視線は自然と引き寄せられる。
「ぷあっ……。ノア、わたしと一緒にカナトに可愛がってもらおうねぇ~~?」
ユキノが唇を離すと、ふたりの唇の間に唾液が糸を引く。
そのきらきらとした様子から、目が離せない。
「ん? にひひひっ、カナト、もしかして嫉妬ぉ~~?」
「ち、ちがっ、そんなんじゃ?!」
そんな僕に気が付いて、笑うユキノ。
なんだか見透かされたようで思わず否定すると、ユキノが楽しそうに、にひひと笑う。
「大丈夫だよぉ? カナトがいちばんだからねぇ~~?」
そして、合わさる僕とユキノの唇。
「んっ……」
「ユキノ……」
見せつけられたユキノとノアのキスにも負けないように激しく、濃厚に。
唇を貪りあい、舌を絡め会う。
唇が離れると、襲って来る喪失感。
そんな僕に、ユキノが問いかけてくる。
「カナト。いま、幸せ?」
言葉少ない問いかけ。
ユキノの瞳がゆらゆらと揺れる。そこに映るのは、不安。
でも、その問いへの回答は決まり切っている。
この理想的な世界で、大好きなユキノやみんなとずっと生きていけるんだ。こんな幸せな事ってないよ。
「もちろん、幸せだよ」
そう言うと、ユキノは「そっか」と優しく笑う。
透き通るような、純粋な笑顔で。
断絶のレジリエンス ~日本に帰って来いと言ってももう遅い、ハーレム最高です~ 蘭駆ひろまさ @rakunou
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