第12話 バーニング ルスト
俺達は卒業式を終える。
そして今、俺は逃げている、全力疾走で。
「大昔の儀式じゃねえか!」と叫びつつ。
多くの生徒が俺を追っかけている!なぜか!
俺の制服のボタン目当てだ!
「お!アスティ!お前もか!」とバローロ!
「おう!お前もか!」と俺。
「ファルツが陥落した!あいつも人気あったからな!
もう向うでズタズタにされてるぞ!それはもう
無残だ!ボタンどころじゃねえ!
制服が只の布になるほどになってるぞ!」と走りながらバローロ。
俺達は走る!全力で!しかし!バローロが何かに
つまずき転ぶ・・・。
「バローロ!」と俺は振り向く。
「振り返るな!俺の屍を超えていけ!お前は前だけを見て!
うぁああ!ぎゃああああ!」と最後のバローロの声。
「バローロ!バローロ!」と俺は振り向かず、叫びながら
全力疾走をつづけた。
なにやってるんだ、俺達は!
「あれは!」俺はあるモノに気づく!俺はそれの
扉を強引に開けて乗り込む。
「はぁはぁ、助かった。コルンの馬車があって。
さすがに王子の馬車には乗り込んでこないだろう」と俺。
「大変だな、人気者は」とコルンは笑うが・・・。
御者が言う。「囲まれて動けません!」と!
「しかたねえなぁ」と俺は呟くと服に付いていたボタンを
全部取り窓から遠くへ投げた。
ソレに群がる生徒たち。そのすきに馬車は門を出た・・・。
「俺のボタン。誰が拾ったんだろうな・・・」と考えつつ。
俺はコルンに家まで送ってもらった。
待ち合せは5日後の城門で。と言い合い別れた。
俺は翌日には冒険の準備を整え家族に別れを告げ家を出た。
「これも持っていきなさい」と母上はアイテムボックスを
俺に渡した。極上品ではないが結構な量が入るらしい。
俺はそれを受け取ると馬に乗り振り返らずに走り出した。
行く先はキアンティ嬢がいるカンパーニア商会。
何故か、それはキアンティの母上に話を聞くためだ。
そう、聖獣と言うがアレはバイクだった。
俺は2日夜営を繰り返しカンパーニア商会がある街に着いた。
「すみません、イタリアンヌ商会から来たアスティと申します。」と
言うと同時に白いヒグマがドア出てきたので、俺は思わず
神器でぶっ殺すところだった。
「おっと」といいながら剣をも出した。
「わざとでしょ」と白いヒグマのキアンティ嬢。
「母様、アスティさんが来られましたよ」と。
俺は椅子に座る。
「自己紹介がまだだったわね、私はこの子の母親の
セレスよ。今後ともよろしくね、アスティさん。」
その女性、セレスさんは飲み物を出しながら言う。
俺はその飲み物を飲む。
「!?これコーヒーじゃないですか!」と言っちゃった。
しまった。この世界にはコーヒーはなかった。
「やっぱり知ってるのね。貴方何者?」とセレスさん。
俺は正直に話すしかないと思い、全部話した。
「ウケる、笑える。」と非常に大笑いをして喜んでくれた。
「信じるんですか?」と聞くと
「私の先祖は、と言っても500年前だけど転移者だったのよ?
聖獣もバイクだしね。バイクに精霊の力を付与して
動かしているのよ。」と教えてくれた。
「500年も前のモノが良く動きますね」と聞くと
素材的に劣化しないらしい。『向こうの世界の素材』は。
どうやら俺の前世の世界とその転移者が来た世界は同じ世界。
しかし、時間軸が大幅にずれている。が、気にはしない。
「お願いがあるの。聞いてくれたらあなたの手助けを
色々としてあげるわよ?」とセレスさん。
「お願いとは?何かを探すとか?」と聞くと頷きながら
「勇者を探してほしいの。」と。
勇者。本で読んだので確かに知っている。しかし、最後に
存在が確認されたのは500年前だ。
「勇者の末裔を探すって事ですか?」と聞くと首を振るセレスさん。
「本人よ」と!
どうやら勇者は10年に1年ほどしか歳をとらないらしい。
なので当時の年齢を考えると今は大体70~80歳くらいの外見。
無論どこにいるかはわからない。
そして一通の手紙を俺に渡す。
「それを渡してほしいの。ただそれだけよ」と。
手紙の裏には差出人だろうか「テージョ」と書かれていた。
「じゃよろしくね、本当に渡せたらバイクを1台あげるわ」と
言われたので俺は「全力で頑張ります」と敬礼をした。
そして俺は白いヒグマとセレスさんに別れを告げコルン達と
待ち合せの場所へと向かった。
「お、みんな揃ってるじゃねえか!」と俺。
「そりゃもう、全員やる気満々だ」とコルン。
「あれ?バローロ、髪型変えた?」と俺。
「変?」と聞かれたので似合ってると返してあげた。
「ファルツはポニテにしたのか」と俺。
「変?」と聞かれたので似合ってると返してあげた。
「コルンは髪染めたのか?」と聞くと
「白いヒグマに会った時から色が薄くなっていってさ。
アノ金髪が今じゃ白金色だ・・・。」と。
とりあえず似合ってると言ってあげた。
俺達は馬車に乗る。向かうはグリューンと言う国にした。
そこは駆け出しの冒険者の多くが訪れる街。そして
冒険者登録が出来る街でもあった。
近くには低級の迷宮があり、腕試しにはちょうどいいからだ。
3日ほど夜営を繰り返し俺達はグリューンへと着いた。
俺達は早速冒険者ギルドへ向かう。
「お!新しく冒険者になりたいだって!?」と受付の
屈強な親父。
「じゃあこれに全員の名前な、そしてリーダーの名前。
そしてパーティ名な。お前達単独じゃないんだろ?」とも。
俺はそれを受け取り全員の名前を書いた。
勿論リーダーはファルツにしてあげたら泣いて喜んでくれた。
「なんでアスティじゃないんだよぉ!」と歓喜の声。
「パーティ名を付ける権利をあげよう」と言ったら
何故かそれは考えていると言われた。
「バーニング ルスト」です!・・・と。
燃える欲望・・・って。おい。
俺達はまだ知らなかった。この名前がもたらす悲劇を。
「じゃ試験な。この先に地下4層の簡単単純な迷宮がある。
その4層にある石板を取ってくるんだ。あー大丈夫。
弱っちい魔者しかいねえから」とその親父。
俺達は記入を終え迷宮へ向かった。
「え?あの迷宮ですか!?3年間誰も行ってないので
どうなってるかわかりませんよ!?」と若い受付。
「え?まじ?ま、まぁスライムとか小鬼とか数匹
しかいねえから、いや、いなかったから
大丈夫だろう・・・うん。」と親父。
「ふ、増えてないですよね」と若い受付。
「そ、そこまでは増えてないだろう。あ、あいつら
強そうだったから大丈夫って事にしよう」と親父。
次回 第13話 これは脱ぐしかない!
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