第11話 呪いを解く旅

前世ではそう言った話は多かった。

何故婚姻できないのか?とかとか。

俺的には「いいんじゃない?」としか思っていなかったが。


「その事ご両親は知っているの?」と俺が聞くとキアンティ嬢は

頷く。今回の婚姻は『そういった事』が発覚する前の話で

キアンティ嬢が嫌だと駄々をこねたらしい。

ご両親は5年くらいでどうにかなるだろうと思い『白い熊』の

着ぐるみを着て出席をさせた。『呪い』って事にして。


あわよくば破談でもいいかなぁと思っていたが国王が

『呪い』を信じちゃって今に至る。


「これはチャンスなんじゃないか?」とコルンに俺は言う。

「その話に乗っかっちゃえよ」とも。


なんでと?コルンが聞いてきたので

「お前、冒険者になりたいなぁとか言ってたし」と俺は言い、

キアンティ嬢の『呪い』を解くために冒険に出るんだよ。

そうしたら直近で婚姻って事はないだろ?それにキアンティ嬢も

その間、自由に出来るし。

俺はキアンティ嬢を見ると『うんうん』と頷いていた。


「よかったな、自由じゃねえか。」とコルンの背中をバンバン叩く俺。

「ありもしない呪いかぁ。でも5年後はどうすればいいんだ?」と

聞かれてきたので


「腹を決めろ」といい、次のシナリオを話す。

お前はその間に好きな人とか出来るかもしれない。その人と

結婚すればいいんだよ、裏で。キアンティも裏で好きな人と

結婚すればいい。

お前の子供を二人の子供ってことにしてさ、表向き。

公務の時だけ一緒に居ればいいじゃねえか、キアンティとは。


「な、なるほど。うまく行くかな」と言ってきたので

うまく行かせろと言ってあげた。お互いが好きな人は侍女にすれば

いいじゃねえか。とも。


「これで俺と同じ冒険者だ、良かったな。

 どこかのギルドであったら一緒に仕事しようぜ」と

俺は言ってあげたら、何故かコルンの眼は潤んでいた。

「一緒のパーティじゃないのかよ!」とコルン。

「え?」と俺は思わず言ったらコルンはマジで

「一緒に行こうよ!」と大粒の涙を流してしまった。


「す、すまん。俺と一緒が良かったのか。」と謝る俺。

「ぼ、僕も連れてってください!」と横からファルツ。

ファルツは説明する。「僕は魔法を探すんだ!」と!


この世にはあるはずだと!その魔法が!

大きいモノを小さくする魔法がっ!

それを探すんだ!ってか探してほしい!一緒に!と。


「だったら俺も一緒に行かせてくれ」とバローロ。

俺は探したいんだ!この世にある『神器』を!

俺は剣が大好きだ!武器の本は全部持ってる!

1本でもいいからこの目で見てみたい!俺の夢だ!


そう力説して来たので親父から貰った『神器 フラガラッハ』を

取り出し机に置いた。

「これ、神器らしいぞ?よかったな、夢がかなって。

 手に取ってみていいぞ」と俺。

「お、おう」とバローロはその剣を手に取りなめるように見る。

「た、確かに本に書いてあった特徴と同じだ。文様とかも」と。


沈黙の後。

「だったら俺も一緒に行かせてくれ」とバローロ。

俺は探したいんだ!この世にある『魔剣』を!

俺は剣が大好きだ!武器の本は全部持ってる!

1本でもいいからこの目で見てみたい!俺の夢だ!


「まぁこいつらとならいいかなぁ」と俺は思っちゃったりした。


話を纏めると。

俺達4人は『キアンティの呪いを解くために旅に出る』表向き。

実際は、コルンは好きな人を見つけるために!

ファルツは魔法を探すために!

バローロは『魔剣』をこの目で見るために!

俺は最後の男子を謳歌するために!


そして俺達は国王にその事を話す。もちろん「表向き」のほうを。

「それでこそ!男子だ!」とコルンをほめちぎる。

話だけ聞けば有名なRPGゲームのノリだが。


そして俺達は解散する。卒業までに準備を怠るな!と言い合い。



「ただいまぁ」と俺は自宅へ戻ると。

「よくぞやってくれた!アスティ!」と親父。


どうやらキアンティ嬢の家、カンパーニア商会と大きな

取引が決まったらしい。相当に俺の事をキアンティ嬢の

両親が気に入ってくれたらしい。

どんな風にキアンティが言ったのかは知らないが。

その他にも城の備品等々、カンパーニアが扱っていない

モノに関しては納入できるとの事。


城から俺が帰るよりも早く実家につくのか・・・。

どんな移動手段なんだろう。と、気になっていたら

まだ、そのカンパーニアの人がいるらしく。


「ぶ!キアンティ嬢の母上じゃないですか」と俺。

「貴方面白いわね!気に入っちゃった!」とその方は言ってくれた。

耳元で「貴方のご両親は信じちゃってるわよ」とも。


「旅に出る前にカンパーニア商会に寄りなさい」と言うと

そろそろ帰るらしく俺達は見送る事にしたが。そこにあったのは!


「バイクじゃねえか!」と俺。思わず叫んでしまった。

「あら、良く知ってるわね。この聖獣の名前。あぁそうか

 キアンティに教えてもらったのね」と言われた。

「あなた・・・何者?」とも耳元で言われた。


勿論、キアンティに教えてもらったわけではない。前世の知識だ。

話を合わせてくれたのか、この人。

「初めて知りましたぞ!聖獣の名前を!」と俺の親父。


そして俺達はその方がバイクで走り去っていくのを見送った。

「カンパーニア商会はな、500年前ほど前に栄華を極めた国の

 末裔らしい。いまじゃもうその国はないがな。一夜のうちに

 消え去ったらしい。少しの人間を残して」としみじみと言う親父。


その後、俺は家の皆に『表向き』の理由を伝え王子と冒険者となり

旅に出る事を伝えた。勿論全員が賛成してくれた。


そして俺達は卒業まで各自準備をし卒業式を迎えた。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る