第3話 王子が仲間に?
明日から冬休みだ。
最後の授業を終えると教室の全員が
冬休みの計画について色々と話をしている。
「アスティは冬休みの予定とかあるのか?」
コルンが数名を連れてやってきて尋ねる。
その一言、その瞬間に教室の話し声が途絶える。
「あぁ、俺は明日と明後日は店に立つんだよ。
人手不足でさ。レジ打つよ」とげんなりしながら
言っちゃうと?
教室のほぼ全員がいきなり席を立ちどっかへ行った!
残ったのはコルン達だけだった・・・。
「来るなよ?忙しくなるから」とマジで言う俺。
「雇われたいって奴、多いだろうに、お前んとこ」と
聞いてくるが俺は首を横に振る。
「親父が厳しいんだよ、面接。家柄とかじゃなく
人柄を見るんだよな」俺がそう言うとコルンが
「確かにお前んとこは亜人とか平気で雇ってるしな」
そうコルンが言ったのが俺は少し気に食わなく、
「亜人と言う呼び方はどうかと思いますよ?王子」
と、こんな風に王子に対して言えるのは俺くらいだ。
「す、すまん。つい」と俺に謝ってくる。
「だから、この国の王子が簡単に頭下げるなよ」と言うと
「いや、だからこそだ。間違いを認める事が正しいと思う」
そう言うコルンを俺は尊敬している。
「俺みたいな奴でもこういう風に話してくれる
お前の事、本当にすげえと思うよ」と言っちゃう。
「よ、よせよ。友達・・・じゃないか」と何故か照れる王子。
「話を戻すが、店の手伝いが終わったら俺に付き合えよ。
4泊5日でどっかに遠征しようぜ」と言ってくる。
「コルンが言うなら断れないな。いいよ?因みに
どこに行くんだよ」と少しニヤニヤしながら聞くと
「サボルチの街にな、新しい温泉宿が出来たんだよ。
招待券を親父から貰ったんだ。4人分」と
自慢げにチケットをチラチラさせている。
「ちょっと早い卒業旅行だな、乗った!」と俺は
笑顔で返事をした。
どうやら出発は店の手伝いの後、すぐらしいので
俺は家に帰り親父達に話した。
「ほお!王子が直接誘ってくれたのだ!行ってこい!
粗相のないようにな。そしてさり気なくでいいから
商会の事も、な?」と親父。
粗相も何もため口なんだが、の一言は飲み込んだ俺。
そして翌朝
「アスティ、開店の時間だ。今日は新商品の化粧品が
目玉だ。接客もよろしくな」と親父。
「へいへい」と軽く返事をし、実際はそこまで客は
来ないだろうと思っていた。うん。
店に扉を開けると客がなだれ込む。と同時に
「きゃああああ」という黄色い声が響く。
どんだけ人いるんだよ。悲鳴も聞こえてるし。
新商品は化粧品と言うのに何故か半数が男だったのは謎。
なんだろう、この満員電車的な密集。ってか!
誰か俺のケツをまさぐってるし!
耳にも変な桃色吐息がかかって来るし!俺は
カウンターに避難しようと・・・しようと、出来ない!
頭来たので俺のケツをまさぐっている手をグイっとつかむ。
どんな痴女だよ!と思ったら、おっさんでした。
俺は引きつりながらも笑顔で
「ひと撫で銅貨5枚ですよ」と言っちゃったら
店の中で銅貨が飛び交った・・・。
「う、嘘ですって!ってかこんなことに金使うくらいなら
新商品を買ってください」と慌てて言ったら
どこからか。
「買ったら撫でていいの!?」と今度は若めの女性の声。
よくみたら同級生でした、おい。
なんかCD買ったら握手できる券の事を思い出しつつも、
流石にケツは嫌なので不遜ながら「握手なら」と
笑顔で答えたら、
500個の新商品が完売しちまった。というか。
阿鼻叫喚になったので握手はレジの会計時にした。
「アイドルも大変だったんだなぁ」と今更しみじみと
思う俺だった。ってかい、いい加減手を離せ!おっさん!
そう言う事が2日続き、俺はクタクタになりながら
ソファーに寝転がった。
「もうアスティ様様ね」と姉さんと母さん。
「なんだろうな、あれ。俺ってそんなにかっこいいか?」
とマジで聞いてみたら
「うーん。どっちかって言うと綺麗だしなぁ、美人だし」
と真顔で二人。
「だから俺は男だってば!女性に見られるの
嫌なんだよ!」と言いながらマジで思った。
「坊主にしてみるか」と。まぁしないけど。
その後に俺は旅行の準備をしていた。・・・ら。
「なんだ?剣とかも持っていくのか?」と親父。
「うん。コルンが、いや、王子がさ。道中は
魔獣を狩りながら野宿が1回あるぞって言うから」
そう俺が言うと親父はどこかへ行き、そして戻ってくる。
「これ持って行け。絶対に王子の足手まといになるなよ?
お前が凄いのは知っているが、完璧をきせ」と
俺に渡したのは家宝でもある細身の剣。
「大昔だが、この剣は神器とされていた、らしい。
名は『神器 フラガラッハ』だ!、・・だ!」と親父。
「まぁ今では真偽はわからんがな」とも笑いながら言う。
まぁでも家宝という事には変わりないので俺は
ありがたく頂戴する。
そしてそして翌朝。
「5日ほどアスティ君と旅行をしたいと思います。
了承いただき誠にありがとうございます」と
コルンは俺の親父に丁寧にあいさつをする。
「これは王子!私どもの、この『やんちゃ』な者を
誘っていただくとは感謝に堪えませぬ」と親父は大喜び。
「いえいえ、アスティ君にはいつも助けてもらっています。
今後とも良い付き合いが出来ればと思っています」
とマジデ丁寧な王子。
「そこまで言っていただけるとは!光栄です」と親父。
「アスティは俺の『仲間』ですよ」とコルン。
「おいおい」と俺。そして俺達は出発する。
次回 第4話 野営で飯を食う
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