18話目 珈琲と恋心

 そうだそうだと思ってはいたが、近頃ますますそう思う。

 僕と彼奴は気が合わない。

 それは端から端まで、インスタントコーヒーの淹れ方一つ取ってもそうだ。

 僕はインスタントコーヒーの粉をカップに最初に入れてから、後からお湯を入れる。

 そうするとお湯の流れに粉がうまく攫われて、かき混ぜずともある程度混ざってくれる。

 しかし彼奴はお湯の上からパラパラ、まるでふりかけのようにインスタントコーヒーの粉を撒くのだ。それではティースプーンでも使って混ぜなければ、水面に粉は留まったままになる。

 とても信じられない。

 洗い物を増やす、地球と僕の敵だ。そんなことを思いながら、僕は静かに立っていた。

 あの日僕が砕いた君の心は、上から暗い海へぱらぱらと撒いて無くしてしまった。僕の理論が正しければ、君の心は、溶けて消えてはいないはずなのだが。

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