10話目 Bird in the cage

「分かった、分かったから」


白状するよ、と漸く彼は両手を挙げて、此方に恐々と視線を送った。


「確かに、僕が君を好きなことは事実さ。大好きだ!!君のことが好きな宇宙中の生物トップファイブでも君の家族とだってさえ闘える自信があるよ。でもでも、それとこれとは関係ないじゃない」


そう彼は此方の視線に対して愛情を疑われているとでも勘違いしたのか、身振り手振りで少し慌てて弁明してみせる。

彼との出会いは五分前。半分が抉れて割れた、少し荒廃した地球で。


「僕だって人間を愛してるんだ。実家で五百匹飼ってたくらいなんだから。でもしょうがないじゃない。豊かな自然だってあげたし酸素だってあげた。数え切れないけどいっぱいいっぱいやって、いつのまにかできてた四角いかわいくないゴミなんか地震とか台風でなんとか処理しようとこっちは甲斐甲斐しく色々やったんだよ?ちょっとお高い津波なんてやってさ。君達を愛してる、本当さ。でも潮時なんだ」


そう言って、彼は引き金を引いた。


「だってこんなでっかい地球ケージをあげたのに、勝手に収まり切らなくなってるとは思わないじゃない」

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