第3話 マズい飯を食って大暴れ
前回の続きで、私が最も影響を受けていて、かつ、最も好きな作家である、ろくごまるに先生の話。
カクヨムでこれをやるのはどうか、という意見には目をつぶってやります。
で、今回のタイトルは、ろくごまるに先生のデビュー作『食前絶後』をわかりやすく一言で説明した場合、どうなるのかって感じです。
ただし、これはキャッチコピーではないですね。
おそらく、この説明で本作を読みたいと考える人って多くないと思うので。
じゃあ、どう勧めれば、読みたいと思って貰えるのか……。
んー、ビブリオバトルの要領で考えるべきでしょうが(やったことないけど)、私が好きすぎてあんまり冷静に評価できる気がしないんですよね……。
「好き」は「面白い」よりも強いって、こういう時に思いますね。
理屈じゃない、あくまでも主観の問題なのです。
客観的データも大事だけど、主観的な好き嫌いも大事って思い出す時に読むことさえあります。
ただまぁ、知らない人にオススメできるポイントとして、ストーリーに盛り込んだ論理の美しさですかね。
この作品には『調味魔導』という魔法が出てきます。
マズい飯を食うことで身体能力が跳ね上がる、という魔法です。
それを説明する際の会話は、次のような流れでした。
「人間は砂糖を食べたら太るよね? では、もし砂糖と全く同じ甘さの物を食べればどうなると思う?」
「砂糖と同じ味の合成要素に、人間を太らせる物質があれば太る」
「普通はそう考えるよね。けど調味魔導はそうは考えない。砂糖と全く同じ味を再現すれば、その味は砂糖と同じ効果を人間にもたらす。と考える」
「何をふざけた事を」
「ではこう考えて、人間が砂糖の甘みを感じた時の反応が起こると」
「それはまあ、砂糖と同じ味やったら人間は砂糖に対する反応を起こすやろうけど」
「ある種の毒と同じ味を合成すればその味で人を殺せると思う? 人間はその毒に対する拒絶反応で死ぬんだとしたら」
「…………」
「これが調味魔導の基本理論。次は高度な応用理論ね。では、この世に存在しない味を人間に食べさせるとどうなるか?」
この続きはぜひ本編で確認して欲しいですね。
結果として論理の飛躍はありますが、流れとしては非常に美しいと当時のオレは考えましたし、今の私も同感です。
この作品は一貫してこういう論理が流れているので、都合の良い奇跡は起きません。
人が死にそうになった時も、涙一つで回復、みたいな奇跡は起きないのです。
でも、個人的には熱意や愛だけで解決する方が嫌でした。
だって、それなら解決できなかった場合、熱意や愛が足りないみたいじゃないですか。
『失敗したとしても、負けた側だとしても、納得できる理由が欲しい』。
これは今の自分も大切にしている部分です。
それを教えてくれた根底にある作品がこの『食前絶後』でした。
この文章を読んで、少しでも興味を持ってくれたら嬉しいですね。
また、自分の小説も気になったら読んでもらえるとより嬉しいです。
ではまた。
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