5話目 シェリアク
「おー坊ちゃんたち励んでるねぇ~~」
ふと冒険者に声を掛けられる。
「なんだい服を作ってるのか?」
「作ってるんじゃなくてほつれたところを直してるんだよ」
「ほつ…?難しいことするもんだねぇ」
そんなつまんないことしてないで、と冒険者は言う。
「ちょっとオジサンの自慢聞いてかない?」
「おっさんの自慢話聞いても何も得ないんだけど…な、レン?」
「それなら裁縫していたいです」
ねー、と頷き合う二人にしょうがないなと冒険者は左腕の袖をまくった。
「ほらこれ見てよ」
「「聞けよ」」
ドヤッとする冒険者に二人揃って抗議をする。
しかし冒険者はまぁまぁと笑うだけだった。
「オジサン話し相手いなくて寂しかったんだよーほらこれせっかく手に入れたんだぜ?自慢したいだろ~???」
「は?何言って……は!?痛ッ!?!」
冒険者が見せた左腕にある物を見た瞬間、リュミリスは思わず二度見をし
驚いた影響で針を軽く指に刺してしまう。
「痛ってぇ~…やば、血!血出てるよ何コレ!!!!」
血が苦手だといつの日か教えてもらったのだが、ゆっくり流れ出てくる血に
軽くリュミリスはパニックになる。
「レン!レンちょっ回復「それならオジサンに任せなさい」えっ」
冒険者が左腕につけたソレを指に近付ければ、青色の優しい光が指を包み、
光が止んだころには指の血も止まっていた。
「おっさんそれ…」
リュミリスは指をさす。冒険者の左腕についたソレは青と赤、お手玉ぐらいの
大きい球体が白銀色のチェーンで繋げられていた。
そしてそのチェーンをぐるぐる巻きにして冒険者は左腕に付けており、
白銀色のチェーンは所々七色に色を変えているのが分かる。
「そう星体!どーだすごいだろ?!この前行ったダンジョンで見つけたんだ。名前は“シェリアク”って言ってな、等級は三級。ちなみにこれ組み合わせあるんだぞ」
「あんの!?」
星体という言葉に、よっぽど好きなのか今まで興味のなかった
リュミリスが食いつく。
「シェリアクは他にも…何だったかな、“スラファト”・“アラドファル”があって。そして最後にはなんと“ベガ!”これを組み合わせれば“リューラ”だ!!!」
ドヤッと自慢げに話す冒険者へ、リュミリスは大興奮。
しかし当の蓮は何が何だかさっぱりだった。
「えーっと…リュミリス、リューラ?」
「リューラはプトレインの星座その一つなんだよレン!!!」
ひっきりなしに喋るリュミリスに何がなんだかわからないものの、一つだけ分かる
単語があった。ベガだ。小学の頃、夏の大三角の一角として習って…
「このシェリアクは回復の力を持っててな~!」
「でもおっさんそれ三級だろ?盗まれないよう気を付けなよ!」
「そうだねぇ!でもこれを手に入れたからにはリューラ欲しいだろ?頑張って見つけるつもりさ!突き進むロマンほど良い物はないからね!」
じゃあお達者でな~と自慢話もとい自慢であるシェリアクを見せて満足したのか、
冒険者は陽気にチェーンを振り回しながら去って行った。
…そんな扱いして大丈夫なのか。
「レンは星体見るの初めて?」
「そりゃ記憶なくして(この世界に来て)からずっとここにいるし…冒険者と喋ったの今が初めてだし……リュミリスは?」
「貴族時代は結構見てたけど、教会に来てからは遠目越しだったんだよな~やっぱ見るのは間近に限るね!!!!!」
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
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