113てぇてぇ『バレンタインってぇ、速さが必要なんだってぇ』

※近況ノート掲載のバレンタインストーリー、せっかくのバレンタイン回なので、こちらにも。【ワルプルギス】ノエverバレンタインボイスです。エピソードは近況ノートに。


『バレンタインストーリー・ノエの料理』


今日はバレンタインデー前日。

誰もがそわそわしながら明日を待っているだろう。そんな日に。


ノエ:さ、頑張って作るわよ


エプロン姿のノエさんがそう言って気合いを入れる。

何故こんなことになったのか。

それは実にシンプルな理由。


ノエ(回想):明日の友チョコ作るから、あんたも手伝って、あんた料理得意なんでしょ?


それで連れてこられた。まあ、得意だけどさ。

こう……なんか……期待している身としては……悲しい。

だって、目の前でっていうか、一緒にチョコを作らされるなんて、拷問じゃないか。

友チョコだからって、さみしい……。


ノエ:ほらほら、ぼーっとしてないで手を動かす。


ノエさんは手際よく準備をしながらせっついてくる。

それにしても……


ノエ:ん? なによ? なんか文句でも……は、はあ!? エプロン姿がかわいいぃいい!? そ、そんなことはいいからさっさと手を動かしなさいよ!


怒られた。なので、大人しく作り始める。難しいレシピじゃないし、よかった出来そうだ。


ノエ:あ、あのさ……。


二人で並んで準備をしていると、ふいにノエさんが口を開く。


ノエ:そ、その……さっきかわいいって言ってたのはさ。その、エプロンがってことよね?


顔を赤くしながらちらりとこちらを上目遣いで見るノエさん。

あまりの可愛さと予想外の質問にびっくりして思わず頷いてしまう。

すると、ノエさんは顔を真っ赤にして。


ノエ:そ、そ、そっ……そーよねー! そーだよねー! あははは! なーんだ! うんうん!


ノエさんは大声出してチョコの方に向き直る。

違う! そうじゃなくて!


ノエ:いいわよ、いい、いい……ちゃんと分かってたから。そうだ、友チョコは、やっぱ自分で作るから


びっくりして頷いたけど、そうじゃないことをノエさんに教える。


ノエ:……ふえ? ちがう? 何が? エプロンもかわいいけど、それより、エプロン姿のノエさんがかわいい? は、はあ!? 何よ! だって、さっきは! さっきは……びっくりして思わず頷いた? なにに? 質問が予想外だったし……? ん? だったし、なによ? はっきり言いなさいよ! ……はあああああ!? 上目づかいで聞いてくるあたしがかわいかったからだなんてばっかじゃないの!?


怒られた。なんで? かわいかったよ。


ノエ:うっさいうっさいうっさい! そういうことを平気で言うから……やだったのよ! ああーもう!


ノエ母:あらー、ノエちゃん。


ノエ:ママ!? なんでいるの!? お友達とお茶会じゃ……


ママ!? ノエさんのお母さん!?


ノエ母:急用できたってちゅうしになったのよー。あらあら、昨日頑張ってたもんねノエちゃん、がんばってね。


そう言ってノエさんのお母さんはどこかへ行ってしまう。

ノエさんは何も言わず俯いて、あとは冷やすだけのチョコレートを冷蔵庫に……あれ? 持って帰ってきた? いや、違う。さっきのとは違う。黄色い包みに入った物凄くこったデコレーションのチョコレートだ!

ん? そういえば、ノエさんって料理うまかったよな? 手伝う必要あった?


ノエ:こ、これ……あげる。そのみんなにいる場だとあんた変なこと言いそうだし。


そう言ってノエさんは手に持っていたすっごくきれいなチョコレートをくれる。


ノエ:一日前なら、あたしが一番でしょ……?


上目遣いにそういうノエさんは……


ノエ:はあああ!? だから、そうやって簡単にかわいいって言うな! もう帰れ! 手伝ってくれてありがと!


怒られたし、追い出された。帰りにノエさんのお母さんがお返しよろしくねと言って、ノエさんに怒られてた。

ノエさんから貰ったチョコレートはすっごく綺麗で、そして、ちょっぴり塩味がきいたいっぱい考えてくれたんだろうなって思わされるもので、食べ終わった底にはメッセージがあって、一日早いその言葉に思わず笑ってしまう。


ノエ:ハッピーバレンタイン!


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