クビになったVtuberオタ、ライバル事務所の姉の家政夫に転職し気付けばざまぁ完了~人気爆上がりVtuber達に言い寄られてますがそういうのいいので元気にてぇてぇ配信してください~
104てぇてぇ『れもねーどってぇ、一人でも頑張るつもりだったんだってぇ』
104てぇてぇ『れもねーどってぇ、一人でも頑張るつもりだったんだってぇ』
「こっわ、きっも!」
アタシは思わず声にして言ってしまう。
だって、
「なんで、アイツ、そんなことまで知ってるの?」
アイツが、天堂累児ってマネージャーが作ってきた資料はとんでもない量で、軽くミーティングして決まった内容で貰った資料は減ったとはいえ膨大な量で、しかも、アタシの情報をしっかり集めていて怖かった。
「え? アタシのストーカー? じゃなければ、アイドル時代の熱狂的なファン?」
あの売れなかったアイドル時代でもファンはいた。熱狂的なファンってのは大体誰にでもいたりして、嬉しくもあるけど距離感が難しいってことは誰もにあったように思う。
だけど、あんなのいたかな?
まあ、メッチャイケメンってわけでもないし、ザ。フツメンだ。印象には残りにくいかも。
だったら、やっぱりストーカーだろうか。
アタシのことを分かり過ぎている。
ただ、
「ふーん、ああ、ふーん」
気持ち悪いけど、分かってくれてるなあとは思った。
歌を中心にやっていきたいと思っているアタシだったけど、天堂マネもその方向でいきたいと書いてくれている。オリ曲も早めにいけたらとも。
悪くなさそうだ。
だけど、油断は出来ない。
アイドル時代もそうだった。凄くニコニコしながら近づいてきた大人たちがあっという間に手の平返して去って行くのを見てきた。
裏でぼろくそに言っているのも聞いてきた。
アイドルの時のマネージャーも言う割には本気じゃなかった。
『いやー、好きですよー』
その言葉に何度も裏切られた。
だから、自分でやらなきゃいけないんだ。
自分で。
グループ時代と違ってて、今は一人だ。自分ひとりで全てが決まる。
アイツは飽くまでサポートだ。深く食い込ませちゃいけない。
どうせ売れるのはアタシだ。アタシが自分で何とかしなきゃ。
「やるぞ、絶対にもう一度、ステージに戻るんだ」
アタシは決意を込めて立ち上がった。
だけど、その決意も一瞬で挫かれる。
「え?」
「歌枠はやってもいいけど、あまり多くはやらないように。オリ曲も予定にはないということでした」
マネはそう言って申し訳なさそうに頭を下げていた。
これだ。
上は、アタシ一人のことに興味なんてないんだ。
歌枠をあまりさせたくないのは喉を酷使させたくないから、出来るだけ長く使い潰したいから。オリ曲は金がかかるから無理、そう言う事なんだろう。
「はあ……まあ、そんな事だろうとは思ったよ」
「す、すみません! でも、俺がんばりますので」
「いい、いい、ってことは、登録者数とかが増えれば文句も言えなくなるでしょ。一先ずそこを目指しましょ」
「は、はい!」
ゲームやトークでなんとかしていけって事だろう。
なら、やってやる。それで上に行ってやる。
「あの、僕もそう考えていまして、一応参考に出来そうなVの動画を纏めておきましたので良ければこちらを」
は?
「あ、大丈夫です! 見やすく分かりやすいように編集しているので、前回みたいに膨大な量ではないです」
「いや、じゃなくて、アンタ、昨日社長にそう言われたんでしょ? いつ、これ作ったのよ」
「昨日、帰ってすぐに纏めました! あ、大丈夫です! ちゃんと寝てます」
いや、だって、動画纏めるなんてそんな楽じゃないでしょ。
そう思ったけど、動画のクオリティにもよるかと思いデータを受け取り、家に帰って確認すると……。
「いや、めっちゃ分かりやすいんだけど……」
ここが良いってトコロにしっかりテロップを入れてくれていて、しかも、どんなVtuberかって情報もしっかり入れてくれていた。
その上、渡された書類には、それに合わせた解説やアイディアが書かれていて、あと、アタシが好きなクマのイラストが描かれていて、『がんばりましょうクマ!』とか吹き出しにあって、
「ぷ」
笑ってしまっていた。
クマの絵も吹き出しもそうだし、動画も面白くてVtuberの面白さが分かるし、それに……すっごく頑張ってくれたんだろうなあってのが伝わってきて……。
「やってやる……こんなん貰ってやる気出ないわけないじゃん……!」
アタシは、野菜ジュース片手に夢中になって動画を見続けた。
そして、初配信の日がやってくる。
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