第9話 話し合い
俺、清世ちゃん、羽地は空き教室の机と椅子をくっ付けてそこに座った。まるで三者面談みたいだ。俺の隣に清世ちゃん、それに向き合って座っているのが羽地である。これなら、俺が親、清世ちゃんが生徒、そして羽地が先生だな。
「で、この小学生は何なの?なんで、私のブラウスをめくったの?」
「ああ、それは・・・」
俺が説明しようとしたが、清世ちゃんがそれを止めた。
「神木さんが言っても信用できないでしょう。私が説明します。」
「ちょっとまてよ。なんで俺が信用できないんだよ。」
「女子の下着を見るという大罪を犯した神木さんが信用されると思ってるんですか?」
・・・まあ確かにそうだな。だけど俺は清世ちゃんに頼まれてやったんだぞ。だが、そこまで言わなくてもいいじゃないか。
そして、清世ちゃんは話し始めた。清世ちゃんが神様だということ、清世神社に封印されていた妖怪がにげて羽地に憑りついたこと、そして、このお札をはれば妖怪がお札の中に妖怪が封印されることなどだ。
最初は懐疑的だった羽地だが、清世ちゃんが透明になるところを見せると信用してくれた。
「ふーん、確かに私、昨日お風呂に入ったときおへそのあたりにあざが出来ていたけどそのせいだったのかあ。なんであざが出来たのだろうって私、めちゃくちゃあせちゃった。」
そう言って、羽地はこう続けた。
「じゃあ、そのお札をはらせてもらうね。だけど、そんな理由があるなら言ってくれればよかったのに。」
「・・・」
俺と清世ちゃんは羽地の言葉に黙ってしまった。俺がはる必要はまったくもってなかったのだ。普通に話してお札を自分ではってもらえばよかったのだ。俺がじーっと、清世ちゃんを見つめると、気まずそうに清世ちゃんは目をそらしながら言った。
「うっ、だって羽地さんが自分ではると、とりついている妖怪が暴れる可能性があったんですよ。」
「それなら清世ちゃんがはったら良かったんじゃないの?」
普段の羽地ならこうやって人を攻めるようなことが言わない。多分今回は理由があったとしても自分のブラウスを男子にめくられて、怒ってはいなくても、機嫌が悪いのだろう。
「いやあ・・・その・・・」
清世ちゃんは羽地の言葉にまったく反論できず押し黙ってしまった。
なんか、気まずい雰囲気になったので、俺が口を開いた。
「そのことはあとで清世ちゃんを追及するとして、お札をおへそに貼ってくれないか?」
「うん、わかった・・・だけど神木くんは部屋から出てくれない?」
羽地にそう言われたので俺は素直に出て行った。
部屋に出てから1分ぐらいしたら、部屋に呼び戻された。さっき座った椅子に座る。そして、清世ちゃんが首をかしげながら言った。
「妖怪を封印することが出来なかったです。」
「はいっ?」
俺はそれを聞いて変な声を上げてしまった。
「うーーん、このお札で封印できるはずなんですけどね?・・・はっ、もしかして・・・」
そう言って、清世ちゃんは羽地を見た。俺も封印できない理由が分かったのかと思い清世ちゃんに期待した目を送った。
「羽地さんが頭も良くて、性格も良く、運動神経も良く、それに加えてめちゃくちゃ可愛いからですね!」
俺は期待した目から死んだ目になったかもしれない。・・・そりゃあ、羽地は可愛いし性格も良いけれども・・・それが理由で封印できないわけがないだろう。物語によくあるご都合主義じゃあるまし。
「それなら・・・神社でお祓いをしますか!」
「???」
俺と羽地は頭に疑問符を浮かべた。
「お祓いを行うことで羽地さんに憑りついている妖怪を外に出すことが出来ます。そして妖怪は憑りついていた人から出た直後、動きが鈍くなります。なのでその鈍くなっている間に妖怪を封印するのです。」
「なるほどな。だけどどうやって封印するんだ?」
俺がそう言うと清世ちゃんは緑色のお札を取り出した。
「これを妖怪に貼ったらいいんです。一応、神木さんにも一枚、渡しときます。」
そう言って清世ちゃんは俺にお札を渡した。
「えっ!私の分はないの?」
そのお札には『直接封印』と書かれていた。・・・『憑りついた人間に貼って妖怪を封印するお札』に続き名前が実用的だ。
「ごめんなさい、羽地さん。2枚しかないんですよ。・・・神社にはあるんですけど」
「そっかー、分かった」
「では、神社に行きましょう。多分これで解決します。」
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