第8話 美少女のおへそにお札をはろう!
俺はどうやったら羽地にお札をはれるか考えた。まず、普通の女子よりお札を貼るのは難しい。羽地はクラスの人気者なので常に周りに人がいるのからだ。なので、もしはることを失敗したらクラス全員にマークされてしまう。
俺はこの難しい問題を解決するために、数学の時間も、現国の時間も、古文の時間も授業を聞かず、ひたすらに考えた。そして、悩みに悩んだ末、俺は昼休みにお札をはることにした。
昼休みになり、俺が羽地がいるところに行こうとするところを見た、清世ちゃんが透明なまま話しかけてきた。
「やっと行く気になったんですね!私は少し離れたところで見てますよ。・・・私は羽地さんと話して、コミュ障が発動する神木さんを」
「とても具体的なことを予測するな!当たったらどうするんだよ。・・・まあ・・・がんばるぜっ!(にっこり)」
俺は清世ちゃんの言葉に対し、誰が見ても一瞬で分かるぐらいの作り笑いで言った。
「なんか嫌な予感がしますね。」
清世ちゃんが何か言ったが俺は華麗に無視した。そして、俺はあらためて羽地のいるところに向かった。
「羽地、ちょっといいか?」
俺はスクールカーストトップの人と話している羽地に声をかけた。それに気づいて、話していた人も含めてこちらを向いた。
この人たちは無言でこう言っているのだ。「お前みたいな陰キャが、羽地に何のようがあるのか?」と。そんな決して好意的ではない目線で見つめられるのはコミュ障にとっては結構キツイ。なので、早く言いたいことを言おう。
「いや~、委員会のことについて話したいことがあるから、ちょっときてくんない?」
俺がありったけの勇気を出して言った。すると羽地と話していた陽キャの男子が俺に話しかけてきた。
「今、俺たちが羽地とはなしているから後にしろよ。それにお前と羽地違う委員会だろ。」
「あー、広報委員会で新聞作るための、取材だよ。」
俺が言うと羽地たちは「あ~、広報ね。」という納得した表情をした。
「おっけー。だけど、緊急じゃなければ放課後にしてくれない?・・・ほら、今友達と喋ってるのにどっか行くのって良くないじゃん。」
羽地は俺にすまなそうに言った。・・・なるほど確かにその通りだ。俺が悪かったな。
「わかりました。じゃあ放課後で。あ・りがとう・・・ございます。」
俺はそう言って、陰キャが陽キャにするよう小さなお礼をし、そそくさと自分の席にもどった。後ろで「あいつ、同学年なのに敬語じゃんwww」という男子の声が聞こえたが無視した。
「けっけっけ、やっぱり面白いですね。」
「なんだその、悪魔みたいな笑い声をあげた後の丁寧語は!」
俺は自分の席に着いた瞬間に透明のまま話しかけてきた清世ちゃんに言った。
「けっけっけ、この笑い声のことですか。・・・それは、なんとなく笑いたくなったんです。」
「なんとなくで悪魔みたいな笑い声を出す清世ちゃんが怖い。」
「ほかにも、『ぐふふ、お前を驚かせてやるぜっ』と神木さんが言ったのにもかかわらず、話し方がコミュ障すぎて面白かったからだよ。」
(清世ちゃんって大体、語尾に『ですます』をつけるけど、たまに『だよ』ってつけるんだよなあ。違和感しかないぜ!)
俺は素晴らしいこと(現実逃避)を考えた。・・・そう、あれは清世ちゃんが俺のことをなめていたので、そのことをぎゃふんと言わせたかったのだ。だから意味ありげに笑ったのである。
もちろん!清世ちゃんになぜ意味ありげに笑ったか言うつもりはない。もしここで言ってしまったら、もっと馬鹿にされるだけである。ヒエラルキーが変人から人間以下になるかもしれない。
「ああ、それは羽地にお札をはった後に分かるぜ。」
俺はとっさに良い言い訳が思いつかず、こう言ってしまった。・・・自分でハードルを上げただけである。
「そうですかあ。」
清世ちゃんは少し疑わしそうにこちらを見たが、それ以上は追求しなかった。
というわけで放課後が来た。午後は普通に授業を聞いただけなので面白くないの割愛させていただく。俺は羽地がいるところに来て言った。普段なら周りにスクールカーストトップの方々がいるのだが、今回はいなかった。
「じゃあ羽地さんちょっとついてきて。」
「おっけー」
俺はそう言いって教室を出てあらかじめ調べておいた人目のない教室にむかった。
「ちなみに、何についての取材なの?」
羽地が歩きながら俺に聞いてきた。・・・やべっ、考えていなかった。俺はとっさに思い付いたことを口にする。
「期末テストの勉強法だよ。羽地はテストの成績良いから。」
羽地 知由は成績が良いのだ。決して永遠の学年1位とか、そういう、ラブコメの設定みたいなやつではないのだが、大体トップ10には入っている。俺たちの学年は250人近くいるのでとても凄い。
「あーーなるほどね。だけど私それほど頭良くないよ。」
(謙虚だなー)
俺はそう思った。俺は10位とか取ったら池松に威張ったり、煽ったりするのに。
「ここで取材するから。」
俺はそう言いってあらかじめ調べておいた人目のない教室に入った。羽地もそれに続く。
「じゃあ、さっそくだけどいつも期末テストの時ってどれぐらい勉強してるの?」
「えっとね、テスト前は〇〇問題集を・・・」
羽地が話し始めたが俺は全く聞かなかった。心臓が大きくなっている。羽地が答えることに集中しているうちにお札を貼るのだ。
俺はポケットからお札を羽地にばれないように取り出した。そして俺は勇気を出すために、心の中で1,2,3と数えてから俺は行動に出た。
まずお札を持っていない方の手で羽地の丸襟ブラウスのおへそのらへんをつかむ。そしてそれをおもいっきり上た。
そして俺は驚きのあまりに手が固まってしまった。
なぜなら俺はは、その下におへそがあると思っていたのだ。女子が制服の下にはブラと、タイツと、パンツぐらいしかはいていないと思っていた。だが違うらしい。
そう、女子が着ている丸襟ブラウスの下にはシャツがあった。
「っっっっ!」
最初ははきょとんとしていた表情をしていたのだが、状況が分かるにつれてどんどん顔が赤くなってきた。俺は羽地の顔を見て罪悪感がこみあげてきて、羽地の下着姿をできるだけ見ないようにしようと、後ろを向いた。
「ちょっとなんでこんなことをしたの?」
羽地は俺にシャツが見えないように後ろを向きながらとても小さい声で言った。
「いや・・・その・・・えっと・・・羽地を助けるためだよ。」
言ってすぐに後悔した。そんな、突拍子もないことを言っても信じてもらえないに決まっているし、『俺が羽地の下着姿を見ることでどうやって羽地を救うの?』と思われかねない。
「これが修羅場というやつですか。見てる分にはとても面白いですね。」
そんな清世ちゃんの面白がっている声が聞こえた。
「えっ・・・ちょっ・・・まって、お願い、羽地に説明してあげて。」
俺が小声で言ったが、応答はない。・・・どうやら自分で何とかするしかないようだ。俺がそう思い羽地に意識を向けようとした瞬間、ものすごい殺気が俺に向いた。羽地からだ。
確かに、俺は羽地の下着を見たのだから、殺気を向けられるのは当たり前なことだけれども、これは異常だ。あきらかに人間が放っていい殺気を超えている。たとえライオンでも、虎でも、クジラでも、この殺気をあびたら、一瞬で逃げだすはずだ。
俺は口をあんぐりと開けて羽地を見上げた。あれ・・・見上げた?・・・俺は気づかぬうちに腰を抜かしていたらしい。そして俺はまた息をのんだ。羽地の目の色が青色なのだ。普段、羽地の色は普通の日本人と一緒でブラウン色なのにも関わらず!
普段とは雰囲気が全く違う、まるで操られているみたいだ。・・・本当に操られているのかもしれない。羽地は俺に向かって一歩、一歩、近づいてくる。俺は死を覚悟した。本当に、殺されると思った。
「羽地さん!それ以上すると神木さんが死んでしまいます!そこで止まってくださいっ。」
そこで清世ちゃんが焦ったように声を上げた。俺が腰を抜かしたまま清世ちゃんの声がした方向を見ると、清世ちゃんの姿が見えた。透明ではなかったのだ。どこにでもいる私服姿の小学生姿だ。
「えっ、なんで小学生が!」
羽地は何もないところから急に現れた清世ちゃんを見て驚いた声をだした。そして羽地は俺が腰を抜かしていることに驚いていた。目の色は・・・よかった。青色ではなく元のブラウン色だ。
「ふーーー、良かったー。」
俺の安堵のため息と、心からの安心の声に羽地はぎろりとにらんだ。だけどさっきのと比べたら可愛いもんだ。それに普通に可愛い。
「ちゃんと説明してくれるよね。・・・その小学生のことも。」
羽地はそう言ってまたキッとにらんだが、殺気は全く感じられず、ただ可愛いいだけだった。
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