第7話 羽地 知由

 俺は右手の些細な事件があったが、無事、学校に登校した。自分の教室につき、扉を開けた。自分の席に座る。すると、池松がやってきた。


「あーあ、昨日は羽地に告ったこと、今めちゃくちゃ後悔している。」

 だるそうに答えた。・・・そういえば昨日だったな。昨日会ったことが多すぎて忘れていたぜ。


「この人、昨日羽地さんに告ったんですか!どんな感じだったか教えてください!」

 隣にいる?透明な清世ちゃんが俺に聞いてきた。だが無視する。もしここで答えたら、


「お前何やってんの?とうとう二次元彼女が、妄想彼女になったのかよ。」

 と、池松に言われるに決まっているのだ。なぜなら池松には清世ちゃんが見えないからだ。


「お前が悪いんだよ。あんなので羽地がOKするわけないだろ。」


「そうなんだよな!だけどなぜかあの時は羽地に対する好きという感情が、限界を突破して、それを表現せずにはいられなかったんだよ!」

 こいつやばっ!これが女子なら最高のヒロインになるのだが、あいにく池松は男なので、ただキモイだけだ。


「ちょっと、なにがあったんですか。めちゃくちゃ知りたいんですけど。乙女に恋バナを途中までしか話さないとか、死刑ですよ。」

 そう言って清世ちゃんは俺の左肩を突っついた。・・・まあ、俺には透明になっている清世ちゃんが見えないから絶対とは言い切れないのだが。


「なんか悲しくなってきた。一人にしてくれ。」

 池松は急にそう言ってどっかにいった。・・・池松自ら、俺のところに来たくせに!それになんとなくだけど、流れ的におかしいだろ。


「ほらっ、池松さん?、もどっか行ったみたいですし話してくださいよ。」

 清世ちゃんがそう言って俺の肩を揺らしてきた。


「しかたがねーな。」

 そういって、池松が羽地に告白したことを話した。


「ふーん、なんかあまり面白くないですね。陰キャand人見知りが陽キャに告る時の典型例ですね。」

 思ったより反応が薄い。もっといい反応を期待していたんだだけのなあ。


「だけど、その羽地さんってのが気になりますね。だって、池松さんをあんな男に仕立て上げたのは羽地って人なんでしょ。」


「もともと、池松はあんなやつだ。」

 俺の突っ込みに清世ちゃんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。


「なるほど、テロリストよりも池松はヤバイということですか。まあ神木さんと池松なら神木さんのほうがやばいですけど。」


「テロリストと池松なら、池松のほうがやばいことは認めるが、テロリストとか、

 池松よりは俺はまともだ」


「そんなにいうなら、あなたの悪行を上げましょうか?初対面の見た目女子小学生の神様に対してお姫様抱っこをして、セクハラ発言を連発して、その日のうちに同じ部屋で寝て・・・」


「お・・・おう、あっ、あれが羽地、羽地知由だ。」

 俺はこれ以上話されてはかなわないと思い、話をそらすことにした。あまりに、露骨すぎたかもしれないが。


「んっ、あれは・・・」

 そう言って清世ちゃんは険しい表情をした。


「どうしたんだ。そんな顔をして。」

 俺は疑問になって答えた。・・・いやまてよ。もしかして羽地に妖怪がとりついているというのだろうか?ありそうだ。なんてたって、羽地はウルトラ、スーパー、パーフェクト美女だ。若くて可愛い女性にとりつく、という条件にぴったりだ。


 そんな俺の考えをよんだのか、清世ちゃんは言った。

「神木さんのご想像どおりです。羽地さんには妖怪がとりついています。」


 やっぱりか~という気持ちになった。だけど、俺は羽地みたいな陽キャとまともに話せないのである。羽地どころか同級生の女子と話せないのである。俺が絶望の表情をしながら無理に笑っている顔になるのも仕方がないことなのである。


「うわっ、神木さんが壊れてます・・・このお札をどうぞ、」

 そう言って清世ちゃんはポケットから封印のお札らしきものを取り出した。なんか見た目は普通の半紙で達筆な文字で『憑りついた人間に貼って妖怪を封印するお札』と書かれている。そしてその下には、美化された清世ちゃんの似顔絵がそこにはあった。この絵だけならば20才と言われても通るだろう。


「これを羽地さんのおへそに貼ってください。そしてお札が黒色になったら、妖怪がお札に封印された証拠です。」


「うん。」

 笑うしかねえ。話すだけでなく制服を少しめくっておへそにペタッ、と貼らなくてはならないんだった。こんなの陽キャでも無理だっ!


 だが、清世ちゃんを家に連れて帰ると誓ったのだ。今後の学校生活が地獄になる覚悟を決めよう!

 俺はお札を羽地に貼ることだけを考えて作戦を練ることにした。

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