第6話 2人で学校登校
「はああ、絶対に無理っ!そんなことするなら清世ちゃんとは絶交だからな!」
俺、神木晃は清世ちゃんを助けるのをあきらめた。・・・みなさんはおかしいと思っただろう。ついさっきの文章で「俺は清世ちゃんを助けるぜ」みたいなかっこいいセリフを心の中で盛大に言ってしまったからな。なぜこうなったか順を追って話そう。
俺はいつもより早く起きた。床で寝たからだとおもう。俺がベットに目をやると清世ちゃんはまだ寝ていた。
俺は起こさないように、静かに着替えて静かにリビングがある一階におりた。・・・んっ、清世ちゃんが部屋にいるのになぜ着替えただって?それはリビングで着替えたりしたら妹が騒ぎ出してめんどくさいからさ・・・大丈夫、ちゃんと清世ちゃんから見えないところで着替えたから。
俺は朝食を食べ終わり自分の部屋に戻った。まだ学校に行くまでに時間があったので、なにをしようかなー、と自分の椅子に座って考えていた。すると清世ちゃんが起きたのだ。そして清世ちゃんは俺の姿を見ていったのである。
「それは、制服ですね。・・・若い男女が学校に行く時に着るやつ。」
清世ちゃんの言葉に俺が肯定すると、清世ちゃんが名案を思いつきましたよ!みたいな表情をしていった。
「私も学校に行きます!」
と言ったので俺が本気で断ったのだ。だって考えてみてほしい。いままで普通だった男子高校生が急に見た目が小学生の女子と高校に登校するのだ。女子生徒からは軽蔑した目でみたれ、池松とかからは煽られるに決まっている。そして最後は職員室にお呼び出しでチェックメイトだ。
清世ちゃんがいつもの調子でふざけてくるのかと思ったのだが今回は違った。清世ちゃんは真剣な表情で話し始めた。
「この美少女系神様である清世様と一緒に行ったら注目を集めるのは分かりますが我慢してください。」
「そんなわけないだろ!」
訂正、全然清世ちゃんは真面目ではなかった。
「まあ、冗談はともかく学校には若い女性が通っているんですよね?なら、私の神社から逃げた妖怪がいる可能性が高いじゃあないですか。」
「あれっ、そんなこと言ってたっけ。若い女性に害があるとは言っていたけど。」
「そこまでしか話していませんでしたか。実はその妖怪、若い女性に取り付いて体をとりつくのですよ。最初はおへそのあたりにあざができるだけなので気づきにくいんですけど、最後はあざがどんどん広がって、最後は乗っ取られるんです。」
やばいじゃないか。なんかとりつき方が典型的だが。
「でもどうやってそれに気づくんだ?だって最初、そのあざはおへののあたりにできるんだろ。まさか、女子高生に、君のおへそを見せて、なんて頼むんじゃないだろうな。そんな変態中年男みたいなことを言いたくないぞ」
俺が言うと清世ちゃんは俺が女子高生に話しかけて女子高生がドン引きする姿を想像したのか笑いながら言った。
「神木さんが頼んでいるところを見るのは非常に楽しそうですが、違います。私って神様だからたとえ、とりついていても近くに妖怪がいたらわかるんですね。・・・と、いう訳で一緒に学校に行きましょうか。」
俺はその説明を聞いて考える。それなら学校に連れて行かなくてはならないな。と、思った。だまされたかもしれないが・・・まてよ、そういえば清世ちゃんは神力で透明になれるじゃん。
「透明で行くならいい・・・。」
俺が渋々言った。透明ならまだ我慢できる。
「気づいちゃいましたか。神木さんと私が登校して問題になったところで私が姿を消して大問題を起こそうとしたんですけどね。」
冗談だよな・・・それだったら俺、退学だからな。
そんなことを話しているうちにそろそろ学校に行く時間になった。
「ほらっ、学校にそろそろ行くから、透明になって」
俺が嫌々言うと清世ちゃんは透明になった。俺はそれを確認して部屋のドアを開けた。そして清世ちゃんが転ばないようにゆっくりと降りた。玄関にたどり着き、
「いってきまーーす。」
俺が元気な子を作って言うと、
「いってらっしゃーい。」
母親の声が聞こえた。男子高校生は思春期で、親に「いってきます」を言わない人が多いのだろうが、俺は違う。中学生の時に思春期は経験し終わったのだ。
「・・・いるか?」
俺がちゃんと清世ちゃんが家を出ているかどうか、声を潜めて聞くと応答があった。
「はい・・・ちょっと迷子になるかもしれないので手を握ってくれませんか。」
「・・・分かった。」
俺が小声で言うと、清世ちゃんのすべすべしている小さい手が俺の右手に触れる感触?があった。俺はその手を握る。
はたから見ると、何もないところで手を握るポーズをして、その手をちらちら見ている男子高校生なのだがそれは気にしない。
「ちょっと、やめてください。ごちそうが目の前にあって舌なめずりをしているハイエナみたいな触り方をしないでください。」
ハイエナが舌なめずりをしているような触り方とは何ぞや。俺はそんなことしていないぞ!ただ握っているだけだ!
俺はそう思って自分の右手を見ると・・・ものすごい動きをしていた。これはハイエナが舌なめずりをしている動きかたなきがする。・・・あれぇ、おかしいな。無意識にやっているってことだよな。うんっ!今、俺は自分の右手にお仕置きをとてもしたいっ!
「ちょっと、ボーと見ていないで、この気持ち悪い動き方をやめてください。」
「・・・分かった。」
俺はそう言って右手に集中すると普通に戻った。・・・何だったのだろうか。こわすぎるだろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます