第5話 神様を家に泊める
「そろそろ透明になってくれないか?」
俺の家の目の前で俺は清世ちゃんに言った。
「はいはーい。分かりました。」
俺が横を見ると確かに清世ちゃんは透明になっていた。ちょっと清世ちゃんがいたところを触ってみる。・・・おっつ、触れた。固いな。
「ひゃっ、ちょっと神木さん。どこを触ってるんですか。」
「んっ、どっこって・・・背中とかじゃないの。」
俺が不思議そうに言うと急に俺の隣から負のオーラが漂い始めた。清世ちゃんがいるところだ。その直後に、俺の脇腹に強烈な痛みがおそった。。まるでハンマーで殴られたような痛みだ。
「神木さん・・・あなたが触ったところは・・・私の胸です。おっぱいです。」
そう言われた直後、次は右足に激痛みがおそった。
「ちょ・・・たんま、たんま。見えなかったから分からなかったんだって。」
俺はそう言ったことをすぐ後悔した。
「見えなかったから・・・普通なら感触で分かりますぅー。この変態っ」
そう言われた直後、次は左足に激痛がおそった。
「す・・・すみません、すみません。どうか許してください。」
俺がそんな感じで誤っても、右手、左手とどんどん痛くなっていき最後は体全身が痛くなった。
「ああああああああー。やめてください。すみませんでした。清世ちゃんの豊満な胸を触ってすみませんでしたっ!」
俺が世紀末の叫び声を発し始めたぐらいでやっとお許しが出た。
「これぐらいでいいでしょう。」
清世ちゃんはそう言いった瞬間、痛みが止まった。
「じゃっ、ドアを開けでください。入りますよ。」
俺は息が切れ気味だったのだが、それを無視していった。
「分かったよ」
俺がドアを開けるとさっさと風の音がした。清世ちゃんが素早く入ったのだろう。
「ただいまー」
俺は大声で言った。もう19時だ。この時間は家族がまだ帰っているかどうが微妙な時間だ。なのでこれで「おかえりー」と言われたら、家族はいる、言われなかったら家族はいない、そういうことだ。
「・・・」
「清世ちゃん、もう透明になってなくてもいいよ。家にはまだ誰も帰ってきていないようだかな。」
俺が言うと清世ちゃんは俺の隣に姿を現した。
「ざざざーーーー」
んっ、この音は・・・トイレの水を流す音だ。俺は急いでトイレがある部屋を見る。
がちゃっ
ドアが開いた。そして人が出てくる。
「んっ、
その声は俺が怒られそうなことをしている時に会いたくないランキング2位の母さんだ。(ちなみに一位は妹)
やばい。母さんのこの口調はガチギレしてる時のやつだ。普段はフレンドリーに話してくるのだが怒ると、意識高い系の教育ママみたいな口調になるのだ。
俺は焦っておばさんに通報された時と同じ行動を取ってしまった。・・・そう。清世ちゃんをお姫様が抱っこして逃げることである。
「あっ・・・ちょっと待ちなさい。」
母親の声を無視して、俺の部屋がある2階の階段を駆け上がる。
「ぎゃーーーー、
清世ちゃんはおばさんから逃げる時に言ったセリフと全く同じことを叫んだ。
俺は部屋に飛び込み急いでドアの鍵を閉めた。俺が清世ちゃんをおろして一息ついているとドンドンとドアたたく音が聞こえた。
「ちょっと晃、早く開けなさい。私は女子小学生を部屋に連れ込むような人間に育てたつもりはありませんよ。」
しばらくそう言って母さんはドアをたたいた。
「このドアをあけるから覚悟しなさい。」
そう言って下に降りて行った。多分10円玉を取ってくるのだろう。俺の部屋のドアは10円玉などをドアの溝のところに入れたら簡単に開く仕様なのだ。
「おい、透明になってくれないか?」
「いや~。自業自得ですね。がんばってください。神木さんのことは一生忘れないよ。」
そういって清世ちゃんはニヤニヤしながら親指を立ててきた。・・・とてもむかつく。
「あのさあ、清世ちゃんが外で一夜を過ごすのを忍びないと思って家に連れてきたんだよ。さすがにひどくね。」
「そう・・・でしたね。神木さんが清世神社に帰ろうとする私を強制的にお持ち帰りしようとした・・・と、記憶が上書きされてました。」
精神病院行け!俺はそんなことしてねーよ。
「じゃあ透明になりますね。」
清世ちゃんはとてもざんねんそうに言って透明になった。そしてその直後、ドアがガチャリと開いた。
「はあ、はあ、さっきの女の子はどこに行ったの?」
母さんが息を切らしながら言った。
「女の子なんていないよ。」
俺はきょとんとした表情を作っていった。
「本当?ちょっとどきなさいっ!」
そう言って母さんは、押し入れ、引き出し、カーテンの裏など隅々まで探した。
「・・・いないっ!・・・ごめんね。晃、疑っちゃって。」
よかった~。母さんがいつもの口調に戻っている。
「じゃあ。ご飯あと15分ぐらいでできるからね。」
そう言って下に降りて行った。
「ふーー、もういいよ」
俺がそう言うと俺の隣に清世ちゃんが現れた。
「これからは俺の言う通りにしてくれよ。」
「分かりました。・・・善処します。」
あ・・・これは絶対に言う通りにしないやつだ。なぜか分からないが直感で分かってしまった。
てか清世ちゃんの晩飯とか風呂とかどうしよう。晩飯は冷蔵庫からなにかてきとうなものを取ったらなんとかなるけど・・・家の風呂に清世ちゃんを入れるのはすごく抵抗があるぞ。
「それで・・・風呂ってどうする?」
「え・・・それって、一緒に風呂入ろうぜ、っていう暗喩的なお誘いですか?それなら丁重にお断りさせて頂きます。」
ドン引きされてしまった。確かにそう聞こえるかもしれない。だけどそんなつもりは全くないから安心してほしい。それに一緒に入ったら最終的に神様の力でハンマーで殴られたような痛みとともに風呂からだされるに違いない。
「それに、私は神様なのでお風呂に入らないことによって体が臭くなったりしません。」
「ふーん、トイレとかはどうなんだ?」
「うわー、いくら私の見た目が女子小学生だとしても、そんなことをド直球に女性に聞くのは良くないと思いますよ・・・食事は必要なんですけど・・・今日はポテチをたくさん食べたから夜ご飯はいらないです。」
たしかに、今日ポテチ13袋食べたもんな。だけどそれなら今夜心配はいらなさそうだ。
「じゃあ俺は下で飯食べてくるな。」
俺はそう言って部屋を出た。
俺は見が目が女子小学生の神様を家に泊めようとしていることをばらさずに無事、夕食を食べ終えることが出来た。ついでに風呂にも入った。そして絶対に俺の部屋が荒らされていると確信と共に部屋に戻った。
だがしかし、以外にも部屋は荒らされてはいなかった。俺のベットに漫画が数冊置いてある程度だ。そして清世ちゃんは俺のベットでぐっすり寝ていた。
寝顔が可愛い。無防備な愛らしい顔、髪はよく見るととてもサラサラだ。・・・なんか
俺は床でごろ寝するか。一緒のベットで寝たらそれこそあらぬ疑いをかけられてしまう。
という訳で俺は清世ちゃんに向けていた目を離し電気を消した。なんか疲れたし俺もさっさと寝ようと思ったのだ。床に横になる。目をつぶると今日の出来事の情景が思い出されてた。
知らないおばさんに通報されたり、
見た目、女子小学生の神様をお姫様抱っこしたり、
見た目、女子小学生の神様を無断で家に泊めたり、
今日初めて会った見た目、女子小学生の神様と同じ部屋で寝たり、
・・・あれぇ、俺って結構やばくねーか。これを一日でやったと思うと自分でもドン引きなのだが。
まあ冗談はともかく、清世ちゃんっていう神様と友達になることが出来て、その清世ちゃんの神社に封じられていた妖怪を封じるとお願いされただけだ。・・・うん、やっぱりやばいよ。全然普通じゃあないな。
だけど、清世ちゃんは妖怪に逃げられたせいで
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