第66話 親子再会

「パパ、ママ」


「クロエ、半年以上ぶり?会いたかったよ」


「ママ...」


クロナは無表情だが、嬉しそうな雰囲気を出していた。


「おい、パンダ」


するとマグナがパンダの前に立った。


「確かに私はクロエを幸せにして欲しいと頼んだ。だが、クロエが望んだ事を全て叶えれば、本当に幸せになるなんてないんだよ」


「...」


「まぁ、説教はまた後でにしましょう。少し時期が早いが、証拠は充分に集めたんだ。国を取り返して貰うぞ」


「取り戻すって、こっちは人数的に不利だぞ?」


「ふむ、そうだな。それじゃ、君に質問をしよう。君はこの国、デザートラベル帝国の事はどう言う国か知っているか?」


「いや?」


「ふむ、そうか。なら、後ろのお嬢ちゃんは?」


「へ?わ、私ですか?」


 いきなり指名された事にシャーロットは戸惑うが、質問された内容をちゃんと答えるのだ。


「た、確か。し、市民の人達に、ぶ、武闘派の市民が多いと聞いた...き、聞いた事があります」


「そう、正解だ。この国は血の気の多い武闘派な連中が多い。でも、今外で君達の仲間が暴れているのに、何故市民たちは手助けするどころか、ずっと建物の中に隠れていると思う?」


「た、確かに。き、聞いた事があります。く、国を攻めにきた...他国の兵隊を....し、市民が倒したと言う話を聞いた事があります」


「うんうん。君はよくこの国の事を聞いてるね。偉いぞ」


「つまり、何が言いたい?」


「簡単に言うと、この国の市民は私達の味方だ。私が合図をすれば共に戦ってくれるぞ?」


「...もしかして、俺達が国堕としをしなくても、アンタらが自由になっていたのか?」


「ああ、そうだが?ただ、証拠を集めるのに、これが楽だからな」


「なら、アンタらが捕まる前に、最初からクーデターを起こせば良いじゃねぇか?」


「それは無理だ。証拠もなく王族に手を出してみろ、みんな打首だ。それに私は誰も犠牲を出したくないんだ。1番厄介なのは、砂を使うサガと言う小僧。私の息子でさえ勝てない。あれは天才だ」


「息子?そう言えば、そいつはどこにいるんだ?」


「さぁな?別の所に隔離されているだろう。まぁ、アイツは大丈夫だ。まずは、そのサガをどうするかが、問題だ。アイツは強すぎる...どう倒すか作戦を立てよう」


「その必要はない。どうせ、お前らは俺に殺されるんだから。いくら、頑張っても無駄なんだよ」


廊下の奥からサガが歩いてきた。

 サガが一歩一歩近づく度に落ち殺意で潰されそうな感覚を感じる。


「最悪だ。1番警戒するべきの相手があっちからやってきやがった」


「...マグナさんよ。確かにアレの言う通り、作戦は不必要の様だよ。作戦は最初から決まっている。アイツは俺1人でやる」


「1人だと?!アイツは本物の天才だ。叶う相手じゃねぇ!」


「パパ、大丈夫。彼は未来の剣帝の剣で、未来の魔導王になる男。彼が負けるなんて、絶対にない」


 そしてクロエはレイヤに近づき、レイヤの背中に頭をくっつける。


「勝って。絶対に無理はしないで」


「人の事は言えない口だろ?まぁ、そっちは任せるぞ」


「うん」


 そして、レイヤは自分の影からドクちゃんが現れる。そしてクロエ達は密かに計画をしていた作戦を実行するるのだ。

 口の中から阿修羅刀陣丸と呪魔ノ剣を出して構えた。


「よぉ、また会えたな。砂男」


「あの時の報いを返させて貰うぞ。雷男」


サガは自分の両腕にゴリラの様な豪腕を作り上げる。

 そして一瞬の時間2人は睨み合い、同時に踏み込み攻撃をする。レイヤの刀は剛腕で受け止めて、片方の腕で殴るが、片方に持っていた短剣で受け流した。


「それは業物か?俺の攻撃で壊れないとは、なかなかの頑丈さ」


「コイツは硬さだけなら、俺の持っている武器の中で上位に当たる。コイツが簡単に壊れる事はない」


 レイヤはクルリと短剣を指で回して、刃を下向きに持ってサガに向かって振り下ろす。頭に直撃する寸前にサガは空中に砂の壁を作り防ぐのだ。


「なるほど、この様な言葉を聞いた事がある。どんな物を斬る剣より、壊れない剣の方が厄介って言葉は頷けるな」


「だろ?俺のお気に入りなんだ。可愛がってくれよ」


 レイヤはサガを蹴り飛ばし、刀で素早い一撃を放った。サガは手を強く叩くとレイヤの周りに2つの厚壁が現れて、挟む様にレイヤを襲う。だが、レイヤは稲妻の様に速いスピードで後ろに下がるのだった。


「んで、なんでまだ、アンタがいるんだ?マグナさん」


「いやいや、この戦い。私の目で見届けたいと思っていたな。大丈夫だ。あちらにはクロナがいる。少々無口だが、強い。それに長男を見つけ出せばより、確実的にこの戦いは勝利する」


「それで、アンタは呑気に観戦を?」


「ああ」


「そう、勝手にしな。その代わり、これからの俺の攻撃に巻き込まれても、責任は取らないぞ?」


「ふん、いらん心配だ」


そしてレイヤは全身に雷装を纏う。

 ビリリっと感電が走るレイヤの攻撃力は凄まじいものになる。サガは腕を伸ばしてモーニングスターの様な形に変化してレイヤに叩きつける。


「速い!」


 サガのモーニングスターをすり抜けた様に見える程の速さで避けてサガに近づく。レイヤは刀で素早いスピードでサガに一撃を放つが、サガは体を自分の性質を砂に変えて、自分の体を真っ二つにして避けた。


「?!」


 レイヤは一瞬驚くが、サガの腕から伸びる刃に反応して後ろに下がるが、一足遅かったのかレイヤの身体にクロスを描く様な刃の切り傷を喰らう。


「(なんて事だ。あの歳で自分の身体を元素の性質に変化させるとは...恐ろしい天才だ)」


マグナはサガの天才ぶりに驚くのだった。

 そして、レイヤは傷から流れる血を触り見るのだった。


「やるな。なるほど、本当に無敵の様な男だな」


これじゃ、天叢雲剣でアイツの魔法を打ち消す事は無理だな。アレは当てたら効果が発動するからな...コイツには当たらんな


「なら、コイツはどうかな?屍鬼天狗呪鎖しきてんぐじゅさ


 レイヤはドクちゃんの口の中から鎖を出して、呪魔ノ剣につけてブンブンと振り回す。


「さぁて、第二ラウンドと行こうか」

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